教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

奈良女子大学附属中等教育学校 授業レポート No.3(2022年10月19日)

 2022年10月19日に奈良女子大学附属中等教育学校を訪問し、二田貴広 先生の担当する5年生(高校2年生相当)の基盤探究Ⅱ(コロキウム類型)の授業を参観させていただきました。65分授業×2コマ連続で行なわれた授業では、受講している12人が3グループに分かれて「日本古典文学の学びのための360°動画教材」を作る活動をしています。

 今回、生徒たちが作っている発表資料は、公開研究会の前にClusterを使ってメタバースで発表の予行練習をすることになっているので、2コマ連続の2コマ目の授業では、Clusterを使ってメタバースで発表をする準備を進めていきました。
 学校のiPadを一人1台ずつ配布して、Clusterにログインしてもらい、メタバース上にみんなで集まります。それぞれ自分のアバターを選んで、Cluster上で操作をしています。

 バーチャル空間であるメタバース上で、同じ教室にいるクラスメイトのアバターを見つけて、一緒にポーズをとったり、スクリーンショットなどを撮影していました。「メタバースで集まる」という行動は、さまざまなゲームなどでも実現できていることであり、生徒たちの方が僕たち大人よりもずっと慣れているようにも感じました。

 生徒たちが作成している発表資料は、PowerPointまたはGoogleスライドで作られています。このファイルを、PDFに書き出すことで、Cluster上で発表を行えるようになります。こうした活動を通じて、二田先生は「メタバースでの学びがどんなものかを体験し、どんな学びが生みだされるかを共に考えたい」とおっしゃっていました。

 この授業で生徒たちが作ったような360°動画教材をオンライン上で見られるようになり、メタバースで同じ場所にいないクラスメイトとも一緒に授業を受けられる環境になったとき、そこでどのような学びが生まれるのか。それが既存の学び方とどう違うのか、生徒たちは探究をしています。この活動を通じて、生徒たちはメタバースでの新しい学びの形を展望できるのではないかと思います。
 それと同時に、授業者である二田先生も新しい学びの形を探究しています。探究は、生徒たちの学びがどんな方向に進んでいくかがわからないからこそ、生徒たちの探究を邪魔せず、どんな方向にでも進んでいけるように先生(学校)がサポートしてあげることが大切だと、改めて思いました。

◆ ◆ ◆

 今回の授業で生徒たちが取り組んでいた、「日本古典文学の学びのための360°動画教材」は、2022年11月18日に開催される“「探究」的な学びをデザインする”をテーマにした公開研究会・SSH研究成果発表会で発表されます。ここで、生徒たちと、二田先生の探究の成果が発表されるのではないかと思います。

https://nwuss.nara-wu.ac.jp/media/top/2022kenkyuukaiannnai.pdf

(為田)