2023年1月25日に、奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広 先生が担当する5年生(高校2年生相当)の基盤探究Ⅱ(コロキウム類型)の公開授業「日本古典文学の学びのための360°動画教材をつくる生徒たち ―メタバースでの学びを展望して―」をオンラインで参観させていただきました。
2時間続きで行う公開授業の前半では、『平家物語』から「宇治川先陣」の360°動画を制作した生徒たちによるプレゼンテーションが、メタバース空間であるcluster上で行われました。
clusterにログインすると、自分自身のアバターを選ぶことができ、そのアバターを自由に操作することができます。僕はiPadのアプリから参加しましたが、操作方法に慣れてきたら、あちこち歩いたり、斜面に座ってみたり、いろいろなことをしてみました。
その間にも、続々と参加者が増えていきます。アバターもみんなそれぞれ違うし、名前もみんな好きに付けているので、全然誰かわかりません。
cluster上に大きなスクリーン、サブスクリーン、掲示板の3つがあり、そこで生徒の発表資料を見ることができるようになっていました。cluster上でアバターを座らせたり、拍手をさせたり、いろいろな表現をすることもできます。
今回のプレゼンテーションでは、「制作した動画と現地イメージとの差や共通点から考える古文の授業での活用方法」について、生徒たちから発表がありました。
実際に教室で発表する生徒が前に出てプレゼンテーションをするのと同じように、clusterのスクリーンに資料が表示されてプレゼンテーションが始まります。スクリーンの前には、参観者のアバターがたくさん並んでいます。
生徒たちが「宇治川先陣」の舞台である宇治川へ行って、自分たちで撮影してきた360°動画を編集して作った動画教材(その授業の様子はこちらでレポートしています)について、写真や挿絵とどのように違うのかについて、プレゼンテーションがされました。
あるグループは、360°動画教材は情報量が多くてわくわくする一方で、逆に情報量が多すぎて違うところに注目してしまう、と長所と短所の比較をしていました。
また別のグループは、オリジナルの「宇治川先陣」の挿絵は情報量は少ないが、「挿絵は、ただの絵でなく、「こうやって見てほしい」というように描かれているのではないか」という仮説を発表しました。
また、古典以外の授業でも360°動画教材を応用できるのではないか、と提案をしているグループもありました。
こうして自分たちで撮影・編集して作った360°動画教材についての発表が終わりました。
プレゼンテーションが終わったときに、画面上のアバターが一斉に拍手をしているのを見るのは、なかなか一体感があります。Zoomなどのオンライン会議でビデオをONにしてパチパチと拍手をするのとは、また少し違う感じがします。これが、コミュニケーションにどういう影響を与えるのか、学びにどういう影響を与えるのか、ということについては、引き続き考えていきたいと感じました。
No.2に続きます。
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(為田)