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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

Education Dayレポート #2: 実践事例発表「Skypeを利用した校外との学びの接続」(姫路市立安室小学校 吉田雄一郎先生)

イベント 取材 教育ICT利用の目的 目的-9. 学習環境拡充

 11月28日にEducation Day 実証に学ぶ―新たなICT活用の実践と展望(主催:Windows クラスルーム協議会)に参加しました。

 午後、ずっと実践事例セッションの方に参加をし、MS Showcase Schoolsの実践事例発表を聴きましたので、レポート代わりのメモを公開いたします。

Skypeを利用した校外との学びの接続

 2つめの実践事例発表は、姫路市立安室小学校の吉田雄一郎先生による、「Skypeを利用した校外との学びの接続」です。
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最初に吉田先生は、姫路市のICT環境について説明してくださいました。

  • 姫路市のICT環境
    • 小中学校(104校)すべての普通教室に「大型ディスプレイ」「書画カメラ」「指導者用PC」が配備されている
    • 一人1台のPCがコンピューター教室に。
    • 協働学習用に4人に1台のタブレットPCが各校にある。
    • 教育用クラウドサービス Office365
    • 遠隔交流学習用機器(Webカメラ、集音マイク、ヘッドセット)が、各校3セットずつ。
  • 市内すべての小中学校と交流が可能に。


 そうした環境において、Skypeを利用した校外との学びの接続の実践を紹介してもらいました。

 実践1は、「繋がる喜びから始まる学習」ということで、校内接続、国内外の学校との交流について紹介してもらいました。

  • 実践1 繋がる喜びから始まる学習
    • 特別支援学級(病弱)と交流学級との校内接続
    • 福島県新地町駒ヶ嶺小学校との交流(4年生 平成27年3月10日)
      • 最初に地図を見せて、それから交流を行った。
      • お互いにプレゼンテーション
    • フィジーとの交流(6年生 平成27年2月4日~6日)
      • 青年海外協力隊でフィジーに派遣されている人との交流。
      • フィジーでの生活の様子をスライドで紹介してもらった。
        • 現地での生活は、子どもたちにとって非常に興味深いものだった。
    • わかったこと
      • 繋がる喜びと児童の興味・関心の高まり
        • 違う学校の人たちとの交流によって、意欲が高まった
      • 学び合うことによる新たな価値の獲得
        • 自分たちと違う環境で学んでいる子どもたちの発表を聴く
      • 事前の綿密な打ち合わせが重要
      • 学習前後の継続した交流によって成果を実感できるものに。
      • 何を学ぶのかを明確に→これがないと、単なる交流になってしまう。

 最後に書かれているように、Skypeを繋いでの授業は、その場での修正がなかなか難しいこともあると思いますので、事前の綿密な打ち合わせが重要になります。吉田先生がおっしゃった「何を学ぶかを明確にしておかないと、“単なる交流”になってしまう」というところは、「交流は目的ではなく手段なのだ」という考えを明確に示していて、とても重要なところだと思います。
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 実践2は「小中一貫教育での活用」として、小中連携と小-小連携についての紹介でした。

  • 実践2 小中一貫教育での活用
    • 平成27年2月24日に実施した研究授業
    • 小中連携
      • 中学校教諭の授業への参加
      • 中学校の学びとの接続
    • 小-小連携(3年生)
      • 総合的な学習の時間
      • 安室東小3年生と大規模校同士の交流
      • 近くて遠い学校の交流


 また、実践3は夜間中学校との交流です。

  • 実践3 学びを深める
    • 夜間中学校との交流(6年生・道徳)
      • 『学ぶ』ということ 兵庫県版人権教育資料「ほほえみ(改訂版)」より
      • 主題…希望を持って努力しよう
      • 尼崎市の夜間中学校との交流
    • 6年生児童の実態
      • 最高学年としての意識の高まり
      • 自主学習への取り組み
      • 協調性の高まり
      • 自分で考え、判断することが苦手
      • 目標を持ち、努力することへの意識の薄さ
      • 「学ぶ」ことで世界が広がり、楽しみや喜びを得られるということを実感させたい
    • 学習のねらい
      • 21世紀型スキル育成のために。
        • 自ら課題を見つける、自ら学ぶ、自ら考える ようになってほしい。
    • 夜間中学校との交流授業までの足取り
      • 夜間中学校教諭への交流依頼
      • 夜間中学校教諭との打ち合わせ
      • わかりやすい課題把握のための自作教材作成
      • 関係を深めるための事前交流
      • 非識字体験の実施(英語や韓国語でもって、「読めない」環境を作った)
    • 児童の学びはあった

 Webカメラなどの性能が上がり、回線も速くなってきているなか、オンラインでの会話はどんどん敷居が低くなってきていると思います。それぞれの教室がそれぞれにプレゼンをしている、というような感じにならないように、先生方の事前準備は大変だと思います。
 そうした点を、成果と課題として、吉田先生はまとめてくれました。

  • 成果と課題
    • 遠隔交流でしか得られない学びがある
    • 他校や社会とつながることで、子どもたちの世界が広がる
    • 何を学ばせたいか、どんな学びの姿を期待するのかを明確に持つ
    • 相手方との綿密な計画を立てる
  • つなぎっぱなしではなく、効果的な活用を。
  • 互いの成長を実感できるような流れを作る。

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 事前準備をしっかりして、授業設計をしてあれば、教室で先生だけが話すのとは圧倒的に違うリアリティでSkypeで繋がっている向こう側の一人称の話を聴くことができます。これは、学習として非常に大きなメリットがあると思います。最後の夜間中学校との交流などは、まさにこうした例だと思います。

 こうした教室の枠を超えて、学びの場を、対話の場を、拡張していくために、どんどんICTが活用されればいいと思います。

(為田)