教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『単元縦断×教科横断 主体的な学びを引き出す9つのステップ』

 京都市梅小路小学校の木村明憲 先生の著書、『単元縦断×教科横断 主体的な学びを引き出す9つのステップ』をお送りいただきました。

単元縦断×教科横断――主体的な学びを引き出す9つのステップ

単元縦断×教科横断――主体的な学びを引き出す9つのステップ

  • 作者:木村明憲
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 木村先生の授業は、前任校である京都教育大学附属桃山小学校で何度も何度も参観させていただいて、このブログでもレポートをさせていただいています。大変お世話になっている先生であるとともに、情報活用能力を育む授業の作り方というのを学ばせていただいている先生です。
 そのご縁で、今回は帯を書かせていただきました。監修に黒上先生、堀田先生の名が連なっているこの著書に、僕なんかのコメントが帯に載っていていいのでしょうか…。
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 帯のコメントにも書きましたが、GIGAスクール構想で実現する1人1台の情報端末は、配備されてゴールなのではなく、そこから「どういう授業を作っていくのか」という先生方にしかできない仕事が始まります。そのために、単元を見通す「単元縦断」とすべての教科・領域に連なる「教科横断」とをかけ合わせて、主体的な学びを引き出していくためのヒントが書かれています。

  • 第1章 授業と教材研究を見直す
  • 第2章 単元縦断×教科横断
    • ステップ1 問いを見出す
    • ステップ2 解決策を考える
    • ステップ3 情報を収集する
    • ステップ4 情報を関連付ける
    • ステップ5 情報を吟味する
    • ステップ6 考えをつくる
    • ステップ7 新たな価値を創造する
    • ステップ8 創造した価値を発信・伝達する
    • ステップ9 単元の学習を振り返る
  • 第3章 単元縦断型の授業
  • 第4章 単元縦断×教科横断型授業を実現させる教材

 授業設計のしかたのステップをこうして言語化してもらうことで、自分がしている授業設計を客観視することもできるのではないかと思います。もちろん、そこから自分なりにアレンジをしていくこともできると思います。
 1人1台の情報端末が整備されるこのタイミングで、情報活用能力を身につけられる授業を設計するための力になってくれる本だと思います。

(為田)

【メディア掲載】月刊私塾界 9月号

 月刊私塾界9月号が発刊されました。特集は「塾経営者12人に聞いた2020年この夏まで、そして9月から」です。学習塾は、「通塾」と「オンライン授業」とを両方用意して、生徒にどちらの形で学んでいるか選んでもらえるようにしているところも多いと思います。オンライン授業を行うときの機材などに関しても、「家庭で用意してください」という形でどんどん進めているように思います。
 塾の経営者の方々が、どのようなサービスを準備しているのかを知ることは、学校の「これからの姿のひとつの可能性」として見ることができるのではないかと思います。「塾に通わせる意義を明確にしなければならない」という言葉が特集のなかにあったのですが、こうした視点をもってどうオンライン/オフラインの場を作っていくかは大事なポイントだと思いました。
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 いつもどおり、僕の連載記事も掲載されています。7月のころの記録です。少しずつ、学校へいけるようになっていった時期でした。
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(為田)

石巻市立河南東中学校 授業レポート(2020年9月4日)

 2020年9月4日に、石巻市立河南東中学校の藤原英治 先生が、3年生の技術・家庭科の授業で先日ブログで紹介した、茂木外務大臣の会見の記事と動画を生徒たちに見てもらい、素直に感じたことを書いてもらうという授業をされたそうです。藤原先生から伺った情報をもとに、授業レポートをします。

 授業では、先日問題となった茂木外務大臣の記者会見に関する記事と、記者会見動画を教室でみんなで見ました。生徒たちは、つい最近の出来事だと知り、とても興味をもって取り組んでいたそうです。
www.youtube.com

 こうして、起きてすぐのニュースなどを教材として使うことができるのは、ICTを活用することによる利点の一つだと思います。

 記事と動画を見た後で、どう感じたかを課題として提出できるように、藤原先生がGoogleフォームを作りました。授業の流れは、以下のようでした。生徒たちはPC室でGoogleクラスルームからアクセスして答えました。

  1. 記事の説明
  2. 全体で動画視聴
  3. 個別で課題作成
    • Googleクラスルームにより動画とフォームを配布
    • 自分のタイミングで動画を再視聴しながら、課題に取り組む
  4. 課題提出
  5. 授業終了
  6. Googleフォームで集計結果確認

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 Googleフォームでは、「茂木外務大臣と外国人記者のどちらの発言や態度が気になりましたか?」「記事と動画を見て感じたことを書きましょう」という質問に答えてもらいました。
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 藤原先生に見せていただいた回答結果を見ると、回答総数25人のうち、「茂木外務大臣の発言や態度が気になる」「外国人記者の発言や態度が気になる」と答えた生徒はそれぞれ数人だけでした。そして、半数以上の生徒たちが「その他」の回答になっていました。どちらも悪い、というような印象をもった生徒がほとんどだったようです。

 「記事と動画を見て感じたことを書きましょう」の回答には、以下のような書き込みがありました。
 今回の授業では、生徒たちは一斉に動画を見た後で、個別に課題に取り組んでいるときに、自分の好きなタイミングで何度も動画を見返すことができます。それによって課題の記述内容が濃いものになったのではないか、と藤原先生は言っていました。

  • 記事だけを見ると茂木外務大臣が悪く見えた。動画を見て外国人記者側の質問の仕方が難しいと思った。
  • 私は記事を見て茂木外務大臣が圧倒的に悪いと思ってました。ですが、実際に会見を見て記者の人の英語で返された時の反応も強く言いすぎではないかなと思いました。(略)記事の書き方でこんなに印象が変わるんだなとびっくりしました。
  • 会見の動画を見て僕は、外国人記者も茂木外務大臣もお互いの気持を考えて話すべきだったと思います。茂木大臣は英語で話したほうがわかりやすいと思って英語を使ったのだと思います。しかし、外国人記者は馬鹿にされたように感じたのだと思います。これは二人が自分の言葉に対する責任が足りなかったから起こったのだと思います。これから、自分の言動に責任を持って生活していきたいです。
  • 私は、この動画を見て、茂木大臣は相手の記者のことを思って英語で言ったと思いました。だから私は、茂木大臣は悪くないと思うし、外国人の記者の捉え方がすれ違ったと思いました。記事を見たときは、茂木大臣が悪いと思ったけど、動画を見て考えが変わったので、自分なりに調べたり、考えたりしてこれからニュースを見ていきたいです。
  • 私は動画と記事を見て、二人のすれ違いだと思います。大臣側は記者さんの日本語を聞き取ろうとしていた場面もあったし、英語の返しもよかれと思ってやったのではないかと思います。記者さんは、それを馬鹿にされてると思った。たしかに、最後の一言は余計だったけどそこは見逃してもよかったのではないかと思います。結果、二人がもっと相手のことを考えていればこんなことにはならなかったと私は思います。

 「記事と動画とを見て、感じ方が変わった」と書いている生徒が何人かいることに気づきます。こうした体験をするのも、ICTを活用することの良さだと思います。
 あらゆることは、それを伝える人の視点が入りますし、編集の仕方によって感じ方が変わることもわかります。メディアから公平に情報を得ることができるようになるよりも、「たくさんのメディアに接して、自分で判断をしなければならない」と実感することはとても大切だと思います。そのために、多様なメディアに接する機会を授業の中でもち、それをクラス内でみんなで見ていくことは重要だし、学校で学ぶ意義が大きいところだと感じました。

 今回のこの授業では、記事と動画に簡単にアクセスするという箇所と、Googleフォームを作り、実施し、簡単に集計するという箇所に、ICTを活用しています。こうしてテクノロジーを簡単に教室で使えるようになれば、「先生がやりたい授業」をより簡単に実現できるようになると思っています。テクノロジー+先生方の授業設計力で、どんどん学びの幅を広げていってほしいと思います。

(為田)

『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』 ひとり読書会 No.9「第9章 自己調整学習のためのインストラクションのデザイン」

 C.M.ライゲルース、B.J.ビーティ、R.D.マイヤーズ『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』をじっくり読んで、Twitterハッシュタグ#学習者中心のID理論とモデル 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。

 今回は「第9章 自己調整学習のためのインストラクションのデザイン」を読んでいきます。そもそも、「自己調整学習とは?」というところから話は始まります。

 自己調整学習を「自分で勉強できるようになってほしい」くらいの定義で言うならば、初等中等教育で重要だと思われているものだと思いますが、これを「学習者中心」で自己調整学習を行う、となるといままでの学校や授業とはだいぶ形が変わってくるように思います。

 教育の焦点が「学習者を選別すること」=受験から、「全学習者の学習を促進すること」に移ってきている、というのはいい言葉だと思います。どちらのほうが、中長期的に重要かは明らかだと思います。

 自己調整学習(SRL)スキルを教えるための方法が6つ紹介されていました。以下にメモを公開します。

自己調整学習(SRL)スキルを教えるための方法(p.249-259)

  1. 問題指向またはプロジェクト指向のタスクを使用する
    • 学習者が現実社会の課題に従事している場合に学習はより促進される
    • 問題基盤型の学習、プロジェクト基盤型の学習、探究型学習などの学習者中心のアプローチが望ましい
    • 指導者はインストラクターではなくガイドやメンターの役割を果たす
  2. 準備のための十分な時間とガイダンスを学習者に提供する
    • 学習ゴールと課題を明確にする
    • ゴールの個人差を受け入れる。「指導者は設定するゴールに個人による違いがあることを受け入れるべき」
    • 学習者が関連する過去の経験を思い出すようにする。
  3. 継続的な評価を確実にする
    • 自己調整学習での評価は、モニタリングとフィードバックの方法を重視する
  4. 学習者のためにSRLのモデルをみせる
  5. 応用の機会を学習者に提供する
  6. SRLスキルと知識に関する直接的指導を学習者に提供する
    • 「学習者が特定のSRLスキルと関連知識に精通していない場合には、学習に対するオーナーシップと責任を彼らに与えても、学習の成功は保証されない。最悪の場合には、学習者がSRLで困難さだけを経験し、最終的に学習への興味と動機づけを失うかもしれない。」

 自己調整学習(SRL)教育の実現には、時間も手もかかるのはもちろんのこと、「児童生徒を信じて任せる」ということがなければいけません。そのうえで、「どうやったら自己調整できるようになるのか」をモデルを見せたり、方法を伝えたり、転移させたりといろいろしなければなりません。


 No.10に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)

Anker商品を気に入っています&AnkerもXoogler(ズーグラー)?

 これまでもリモートワークは仕事のスタイルとして行ってきていましたが、オンラインでワークショップのファシリテーションをしたり、研修講師をしたりすることが増えたので、会議用のスピーカーフォン Anker PowerConfを導入しました。

 実際に使ってみると、ずっとイヤホン(有線でも無線でも)を通じてコミュニケーションをとるのとは、少し違う感覚があるように思います。イヤホンで話すと、自分の身の回りに向けて話しているように僕は感じますが、スピーカーフォンを使うと、話す相手というか投げかける言葉の行き先がちょっと遠めになるように思っています。
 価格も12,980円と安い。これくらいの投資+Zoomで、かつてのテレビ電話会議システムが実現できてしまうというのはすごいことです。教室にこうした会議システムやスマートスピーカーを実装してみるというのもやってみたいと思っています。

 もうひとつ、仕事ではないですが身の周りのテクノロジーのアップデートとして、移動中に使っていたワイヤレスイヤホンを新調しました。コードにリモコンがついているタイプをずっと使っていたのですが、夏にコードが肌にまとわりつくのがいやで、コードがなく耳にスポッと入れるだけのタイプであるSoundcore Life P2を購入しました。
 Soundcoreは、Ankerのオーディオ部門です。4,999円と低価格で品質にも満足しています。(ときどき左耳からだけ、落ちそうになりますけど…)

 どちらもAnkerの商品です。Ankerは、モバイルバッテリーや急速充電器などのスマートフォンタブレット関連製品の開発、販売を行うハードウェア・ブランドです。
www.ankerjapan.com

 まだまだ、子どもたちはAnkerの商品を使う機会はあんまりないかもしれませんが、大人のテクノロジー周りでは存在感が出てきているように思います。松村太郎『Anker 爆発的成長を続ける 新時代のメーカー』などで、会社の成り立ちなども読んでみたいと思いました。

◆ ◆ ◆

 Ankerは2011年に創業。Googleでエンジニアとして働いていたスティーブン・ヤンを中心に、Google出身者で作れた会社なのだそうです。Googleで働いている人たちのことを「Googler(グーグラー)」と言いますが、Google出身者のことは「ex-Googler=Xoogler(ズーグラー)」と呼ぶそうです。Ankerもズーグラーによる企業と言えるのかな、と思います。
 こうして、「○○出身者」がどんどん出てきて世界を変えるというのはいいな、と思います。Googleだけの話ではなく、日本企業でもこうした話はたくさんあるように思います。企業でなくても、プロジェクトでもいいかもしれません。「あのプロジェクトに関わっていた人」ということで文化を感じさせられるような、そんな仕事をしたいな、と思いました。
forbesjapan.com

(為田)

【イベント情報】成城学園初等学校 第38回教育改造研究会@Zoom(2020年9月26日)

 2020年9月26日に開催される、成城学園初等学校 第38回教育改造研究会@Zoomに参加させていただきます。詳細は、こちらの告知ページで見ることができます。
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  • 8時50分~   受付(Zoom)
  • 9時10分~   全体会
  • 9時20分~   実践報告①
    • コロナ禍での本校の取り組み 
    • オンラインHRにおける取り組み(低学年)
    • オンラインHRにおける取り組み(高学年)
    • 教科の動画配信の取り組み
    • コロナ禍での本校体育科の取り組み
  • 9時45分~   実践報告② (内容は、実践報告①と同じ)
  • 10時10分~  全体会  (この後の説明)
  • 10時30分~  授業公開および協議会
    • 授業Ⅰ:国語(2年生 授業者:大槻俊也 先生)
      • 講師:吉永安里 氏(國學院大學 人間開発学部 准教授)  
    • 授業Ⅱ:数学(算数)(6年生 授業者:高橋丈夫 先生)
    • 授業Ⅲ:舞踊(2年生 授業者:桐谷乃宇奈 先生)
    • 授業Ⅳ:英語(4年生 授業者:梶山健太郎 先生)
    • 実践報告の質問&オンラインに関する座談会(ファシリテーター:秋山貴俊 先生)
  • 12時30分    閉会 

 Zoom開催となっていますが、授業公開は6年生の数学(算数)と2年生の舞踊の授業は学校で児童が授業を受けている様子を配信、2年生の国語と4年生の英語は児童も自宅からZoomに参加するオンライン授業となるそうです。オンライン授業という授業フォーマットだけでなく、「舞踊」という成城学園らしい授業なども見ていただけるのではないかと思っております。
 僕は、公開授業と協議会の後に行われる「実践報告の質問&オンラインに関する座談会」に講師として参加をさせていただきます。成城学園情報一貫推進検討委員会アドバイザーも務めておりますので、精一杯やらせていただきたいと思っています。

 お申し込みはこちらのGoogleフォームからお願いします。

(為田)

『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』 ひとり読書会 No.8「第8章 学習のためのゲームのデザイン」

 C.M.ライゲルース、B.J.ビーティ、R.D.マイヤーズ『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』をじっくり読んで、Twitterハッシュタグ#学習者中心のID理論とモデル 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。

 今回は「第8章 学習のためのゲームのデザイン」を読んでいきます。「学習にゲームなんて!」という人もいるかもしれませんが、学校、特に小学校の教室とかにはゲーム性がたくさんありますよね。「今日1日○○ができたら、ゴールドシール。ゴールドシールが20枚たまったら、クラスレクをやりましょう」「やった!がんばる!」みたいな仕掛けとかもゲームを取り入れていることになると思います。僕の小学校のときのクラスは漢字テストで覚えた字数によって東海道本線を西へ進んでいくようになっていて、燃えたのを覚えています。
 その他にも、コーエーテクモゲームス歴史シミュレーションゲームを使って授業をやってみる、というプロジェクトも参加したことがあります。「大航海時代Online」を実際にやってみて、いかに喜望峰をまわってアジアへ行くのが大変か、香辛料がいかに富を生むのかを疑似体験することもできました。

 この第8章では、ゲーム基盤型の教育アプローチについて説明されていました。

p.208~209には、ゲームを学習に使用する理由が書かれていました。まとめていきたいと思います。

ゲームを学習に使用する理由(p.208-209):

  • ゲームは、行動と認知との関係(行うことで学ぶ;learning by doing)を利用する
    • うまく設計されたゲームは、特定の役割と文脈で考え、作業することで真正な練習を提供することができる。
    • 有用性のない知識を獲得するのではなく、プレイヤーは障害物をクリアしゴールに向かって進むために、問題を解決する目的で知識を使用する。または必要な新しい知識をジャストインタイムで獲得し続ける。
    • ゲーム体験を通して、プレイヤーは自分の失敗や成功をふりかえることを学ぶ。
  • ゲームはチーム力開発や社会的学習、そして社会的結束を促進する
    • すべてのゲームはある種の競争を提供するが、プレイヤー同士の協力を必要とするようにゲームを設計することもできる。
    • 協力的なゲームプレイは、分散した知識や他のチームワークスキルの練習となり、プレイヤー集団としての効力の向上をもたらす。
  • ゲームは学習者のエンゲージメントと努力を増進する
    • ゲームは喜びの気持ちを生み出し、動機づけを高める。
    • うまく設計されたゲームをプレイしている間にプレイヤーが経験する没入感とフローの感覚は、長期にわたる集中的なエンゲージメントをもたらす。
    • ゲームをプレイし、失敗し、ふりかえり、そして成功するまでやり直すというサイクルを繰り返すことで、プレイヤーは制御感と自律性を獲得する。結果として生じる自己効力感が、新しい学習課題を引き受ける意欲と持続性への重要な影響を及ぼす。
  • ゲームは学習のための安全な環境を提供する
    • 命と身体を危険にさらす前に、ゲームとシミュレーションで必要な能力を身につけるように学習者に足場かけすることができる。
  • ゲームはカスタマイズ可能である
    • ゲームは、適切かつ可変レベルでの真正性を提供するように設計できる。
    • 初心者や熟達者向けにレベルを変えることで、最適レベルでのチャレンジを提供できる。
    • これにより、その課題が学習者の進歩の形成的評価として機能するようになる。
    • 形成的評価が足場かけとしてゲームに組み込まれると、人による指導の必要性が大幅に減少し、コストが削減できる可能性もある。また、いつどこで指導を受けるかも柔軟になる。

 ゲーム設計の文脈で書かれているのですが、これは「デジタル教材設計」と読み替えてみてもいい部分なように思います。

 続いて、ゲームの目的に関する価値と手段に関する価値が書かれていました。

目的(学習ゴール)に関する価値(p.210):

  • 状況に埋め込まれた問題を解決するためのスキルの開発(克服するために推論に基づく行動を必要とする障害物を学習者を提示することによってゲームが促進)
  • 実世界の課題への移転の促進(真正性と行うことで学ぶことによってゲームが促進)
  • 自己効力感の強化(リスクのない安全な環境を提供し、協働と社会的学習を可能にし、さまざまな足場掛けを提供することによってゲームが促進)
  • 学習経験の基本的な源泉として遊びの価値を認めること

手段(指導方法)に関する価値(p.210):

  • ゲームの目的は学習の目的と密接につながっていること
  • 行うことで学ぶことを促進する、真正性のある設定と課題をゲームに含めること
  • 没入とフロー状態を促進するために、学習者の現在の知識とスキルに最適化された興味深い課題をゲームが提供すること
  • 学習者の行動は自然な結果をもたらし、適切な場合には説明的フィードバックを追加すること
  • ゲームには、難易度を調整し、指導と支援を提供し、必要に応じて部分課題練習を提供する足場かけを含めること
  • 学習目標にチーム開発と協働のスキルが含まれる場合、ゲームには協力的なプレイとプレイヤーのための真正性ある役割があること

 ゴールがあって、ルールがあって…ということを考えると、学校とゲームには共通性があると言うこともできると思います。僕がフェローとして参加しているLudix Labでは、そうした観点からのプレゼンテーションを聴いたこともあります。いま読みかえしても、非常におもしろいプレゼンテーションだったと思いますので、興味のある方はぜひお読みいただければと思います。
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 また、ここで出てきた「状況に埋め込まれた」という言葉は、個人的に思い入れのある言葉でした。

 教科学習ももちろん重要ですが、学んだことが「どう使われるのか」ということも大事です。使うために知識も知恵もスキルも身につけるので、当然だと思っています。そうしたところを書いている本です。また読み返してみたいな、と思いました。

状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加

状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加

  • 発売日: 1993/11/01
  • メディア: 単行本

 No.9に続きます。
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(為田)