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『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』 ひとり読書会 No.9「第9章 自己調整学習のためのインストラクションのデザイン」

 C.M.ライゲルース、B.J.ビーティ、R.D.マイヤーズ『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』をじっくり読んで、Twitterハッシュタグ#学習者中心のID理論とモデル 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。

 今回は「第9章 自己調整学習のためのインストラクションのデザイン」を読んでいきます。そもそも、「自己調整学習とは?」というところから話は始まります。

 自己調整学習を「自分で勉強できるようになってほしい」くらいの定義で言うならば、初等中等教育で重要だと思われているものだと思いますが、これを「学習者中心」で自己調整学習を行う、となるといままでの学校や授業とはだいぶ形が変わってくるように思います。

 教育の焦点が「学習者を選別すること」=受験から、「全学習者の学習を促進すること」に移ってきている、というのはいい言葉だと思います。どちらのほうが、中長期的に重要かは明らかだと思います。

 自己調整学習(SRL)スキルを教えるための方法が6つ紹介されていました。以下にメモを公開します。

自己調整学習(SRL)スキルを教えるための方法(p.249-259)

  1. 問題指向またはプロジェクト指向のタスクを使用する
    • 学習者が現実社会の課題に従事している場合に学習はより促進される
    • 問題基盤型の学習、プロジェクト基盤型の学習、探究型学習などの学習者中心のアプローチが望ましい
    • 指導者はインストラクターではなくガイドやメンターの役割を果たす
  2. 準備のための十分な時間とガイダンスを学習者に提供する
    • 学習ゴールと課題を明確にする
    • ゴールの個人差を受け入れる。「指導者は設定するゴールに個人による違いがあることを受け入れるべき」
    • 学習者が関連する過去の経験を思い出すようにする。
  3. 継続的な評価を確実にする
    • 自己調整学習での評価は、モニタリングとフィードバックの方法を重視する
  4. 学習者のためにSRLのモデルをみせる
  5. 応用の機会を学習者に提供する
  6. SRLスキルと知識に関する直接的指導を学習者に提供する
    • 「学習者が特定のSRLスキルと関連知識に精通していない場合には、学習に対するオーナーシップと責任を彼らに与えても、学習の成功は保証されない。最悪の場合には、学習者がSRLで困難さだけを経験し、最終的に学習への興味と動機づけを失うかもしれない。」

 自己調整学習(SRL)教育の実現には、時間も手もかかるのはもちろんのこと、「児童生徒を信じて任せる」ということがなければいけません。そのうえで、「どうやったら自己調整できるようになるのか」をモデルを見せたり、方法を伝えたり、転移させたりといろいろしなければなりません。


 No.10に続きます。
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(為田)