教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

令和元年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果

 文部科学省のサイトで、令和元年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果が公表されました。教員研修を全国各地で行うので、会場となる自治体の数字を見て、先生方の実感を伺って、研修を行っていますので、年に何度も何度も見に行くページですが、令和元年度にアップデートされました。

 以下の2つのデータをいつも関心をもって見ています。

令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)

 まずは、都道府県別 学校における主なICT環境の整備状況の中から、「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」です。前年度が5.4人/台だったのが、今回は4.9人/台となっています(=コンピュータの台数が増えています)。下のグラフの水色部分が増えた分になります。
 最高なのは佐賀県、最低なのは千葉県となっています。数値が低い埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、福岡県などは、増加分も大きくなっています。GIGAスクール構想によって令和2年度の数字がまた変わっていくかと思っています。
f:id:ict_in_education:20200831161904p:plain

 数字として「どれくらい整備が進んでいるのか」を見るのはそれはそれで意味がありますが、個人的にはそれよりは「学校種別 学校における主なICT環境の整備状況」の方に興味があります。校種別に見てみると、教育用コンピュータ1台当たり児童生徒数は、小学校で5.5人/台、中学校で4.8人/台、高校で4.1人/台となっています。
f:id:ict_in_education:20200831162237p:plain

 重要なのは、小学校、中学校、高校でどのように授業の中で教育用コンピュータが使われているのか、ということです。教育用コンピュータを思考や表現の道具として我々大人がしているように普段使いはされていないのではないかと思います。でも、高校であれば、生徒が持っているスマホも活用する、ということもしているかもしれません。このあたりは、全体の統計を見るよりも、それぞれの自治体やそれぞれの学校においてどのように使っているのかということを現場で見てみることをしないとわからないな、と感じます。

市区町村(設置者)別 学校における主なICT環境の整備状況(全学校種)(1)【速報値】

 「市区町村(設置者)別 学校における主なICT環境の整備状況(全学校種)(1)」の方では、ICT環境整備を市区町村別で見ることができます。例えば、「①教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」については、設置者別に児童生徒数と人/台のデータがランキングで並んでいます。児童生徒数が少ないところがランキングでは上に来やすくなっていますが、自分が住んでいる自治体などを、PDF上で検索キーワードに入れて探してみるといいと思います(いくつか、自分にゆかりが深い自治体を検索しましたが、ちょっと苦戦しているところが多かったです…)
f:id:ict_in_education:20200831163507p:plain

 ここでも、データを見て「人/台」のデータが小さいからいい、というふうに安心するのではなく、「それが児童生徒にとって、どのような学びに繋がっていくのか」ということを考えなければなりません。そのための指標として活用しながら、学校を支える仕事を進めていきたいと思っています。

まとめ

 こうしたデータ上の数字だけでは、実際にどのようにICTを授業で活用しているのか、などに関しては見えないので、この数字に縛られるのは意味がないのですが、ICTを配備して授業力や児童生徒のICT活用を上手に行っている自治体や学校の様子を見ていくことが大事だと思います。そして、うまくいっている方法論を、予算をつけて横に展開する、そうした動きを民間の立場から支援していきたいと思います。
 上で挙げた、市区町村別のデータに関しても、実際には、市区町村内でも、研究指定校などに重点配備されていると思います。上位にランクインしている市区町村の小学校や中学校での研究発表などを見て、横に情報を展開していく、そうした活動をしていきたいと思います。

(為田)