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教材サイトのひとつの可能性(妄想?)

千葉県が、「中学校の理科にもっと観察・実験を!」

 ちょっと古い記事ですが、KKSブログのニュースで、「中学校の理科にもっと観察・実験を!観察・実験の指導資料集を作成 | 千葉県」という記事が出ていました。

千葉県では、中学校の理科学習における優れたアイディアや指導のポイントを元に、観察・実験に特化した指導資料集を作成し、県内の公立中学校の理科教員に配布しました。2014年9月1日現在、アップロードされているのは物理・化学にあたる第1分野で、第2分野は作成中です。


資料集は指導する単元別にPDFファイルにまとめられており、それぞれに観察・実験例、指導の例、よりよい実験にするためのポイントが書かれています。観察・実験例には、実験の手順の他に予備実験、導入のための工夫、安全面の注意点など、より効果的かつ安全に観察・実験を行うためのコツが紹介されていました。


指導の例には、指導計画としてその単元に割く時間配分が、展開として実験の導入から実施、まとめまでの流れ、そこでの指導上の留意点と評価の観点が詳しく書かれています。よりよい実験にするためのポイントでは、失敗例やその対処法、さらに生徒の感想など、実体験に基づく事柄が多く挙げられていて参考になりそうです。

先生方が多く関わって作られた指導資料集

 リンクをたどって、千葉県のサイトをチェックしてみました。
 「作成担当者等一覧」を見ると、学年ごとに多くの先生方が関わって作られていることがわかります。千葉県教育委員会が作成して、千葉県内の公立中学校の理科の先生がたんい配布している、というのも市の教育委員会(公立中学校は市教育委員会の管轄)ではできないことを県の教育委員会でやっていて、良い試みだと感じました。

「理科の観察・実験指導」の推進/千葉県

もう一歩、贅沢を言うならば…

 実は、実験の準備などは先生方にとっては大変です。だからこうして指導資料を配布する、ということになったと思うのですが、ここまで来たらもう一歩、PDFだけでなくて実験の方法を見せる動画やアニメーションがついていればいいと思いました。
 僕自身、凸レンズの光線の屈折などは、黒板ではあまりわからず、テレビ番組での解説の方がずっと分かりやすいな、と思っていたからです。

 また、理科の先生方に話を聞くと、「ちょっとした実験も、もう少し見せたいと思うんですけど、時間も予算もなくて…」という声を聞きます。
 であれば、実験動画を撮影して、ここで見られるようにすれば、先生方に活用していただけるのではないでしょうか。

 理科の実験動画は、独立行政法人科学技術振興機構が運営している、「理科ねっとわーく」でも見ることができます。「デジタル教材一覧」のリンクをクリックすれば、さまざまな教材コンテンツを見ることができます。
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 サムネイルもついていて見やすいのですが、学年×単元ごとに並んでいるともっと見やすいでしょうね。
 千葉県教育委員会のページのように単元ごとに実験動画のサムネイルが並べば、先生方は「ちょっと見せたい」というときに、簡単に実験動画や解説動画を見せられるようになるのではないでしょうか。

 この「ちょっと見せたい動画を探すのが大変」というのは、先生方からよく聞く声です*1。「ちょっとした小品」でいいわけですから、数も多くなく、デジタル教科書を買うほどの予算がとれるわけでもありません。
 そうした、「ちょっと使い」ができる教材を探せるサイトに、千葉県教育委員会のこの「理科の観察・実験指導」の推進ページが育っていけばいいな、と思います。

 動画を作成するのはプロに任せればいいと思っています。民間の制作会社に入札させて、実験のオリエンをしたり理科室を貸し出したりして、撮影すればいいと思います。
 そして、動画が何回再生されたかを記録し、見せた先生方による評価(Facebookのように「いいね!」ボタンでもいいでしょう)してもらうことで、質が上がっていくのではないでしょうか。
 もし、財源が大変であれば、先生方にユーザ登録してもらって、1ヶ月300円くらいの購読料で動画再生し放題、というようなサービスにするとか?

 こういうの、どうでしょうか?(研究員・為田)

*1:ここでは、検索で探すのが大変、という意味ですが、学校によっては、「ちょっと見せたい」程度の動画のために、プロジェクタを用意するのが大変、というところもあります。