ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。
今回は、第6章「一人ひとりの書き手を教える」です。ただ書かせるということではなく、どのように導いていくのかというノウハウが書かれていて、参考になりました。
書き手が求めているフィードバックは?
アトウェルの教室では、新年度初日に「書くことアンケート」を実施します。そのなかに、「他の人からどのようなフィードバックがあれば、書き手として成長できますか?」という質問があるそうです。
新年度初日にする「書くことアンケート」の、他の人からどのようなフィードバックがあれば、書き手として成長できますか?という質問への答え:先生や友達からの、よくできている点と、改善できる点についての指摘。建設的な批判。進む方向を決められる具体的な助言。(p.242) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
新年度初日にする「書くことアンケート」の、他の人からどのようなフィードバックがあれば、書き手として成長できますか?という質問への答え:具体的なので修正しやすく、修正しておけばあとで恥ずかしい思いをしなくて済むような批判。(p.242) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
新年度初日にする「書くことアンケート」の、他の人からどのようなフィードバックがあれば、書き手として成長できますか?という質問への答え:再考した上で、使えるかもしれない具体的なコメント。(p.242) #イン・ザ・ミドル中 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
生徒がどのようなフィードバックがほしいのか、ということと、先生側がどのようなフィードバックを与えればいいのかは必ずしも一致する必要はないと思いますが、アトウェルは先生は良い手として蓄積したものを生徒に譲り渡すことが重要だと言います。
「書くことを教える教師は、どうコメントすればいいのかというマニュアルやルーブリックを必要としていません。優れた文を読んできた熟練した一人の読み手として、自分の中に蓄積したものから始めるのです。」(p.243) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
「読み手としての蓄積を活用し、書き手としての自分の失敗や成功を思い出し、生徒がしたことを観察し、しようとしていることに耳を傾け、必要な助言」をする。(p.243) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
カンファランスのポイント
アトウェルのライティング・ワークショップの中では、生徒と個別に話すカンファランスの機会をたくさんもちます。作品が完成してからコメントを入れるのではなくて、書いているプロセスの途中でコメントをするのが非常に重要だというのは同感です。「せっかく書いたのに…」と思ってしまうと思うので、途中でより良くするためのコメントを入れていくことが大事だと思います。
Googleドキュメントなどで執筆中のドキュメントにコメントを入れていくことで教室でのカンファランスを補足することもできるかもしれないと思いました。
生徒へのフィードバックは、「完成作品にコメントを書くのではなく、執筆中に生徒と話をする形で行われます。完成作品にコメントするのでは遅すぎるからです」(p.246) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
「ライティング・ワークショップのカンファランスでは、私が生徒のところに行って話すことにしています。私が生徒の間を移動することで、私が会話を始め、時間を管理し、毎日できるだけ多くの生徒と話し、教室の遅日所も保てます。」(p.247)→先生が立って移動すれば終了に。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
あ、ここ誤字があることに気づきました…。「教室の秩序も保てます」ですね…。失礼しました。
「時には、今は勢いに乗って書いているので、と丁寧にカンファランスを断られるときもあります」(p.248)→書き手のためのカンファランスだということ。いずれ、生徒が一人でできるようになるのが目的。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
ライティング・ワークショップでのカンファランスのガイドラインも挙げられていました。
ライティング・ワークショップでのカンファランスのガイドライン:1.時間に注意する。1回のワークショップでできるだけ多くの書き手とカンファランスをする。2.ミニ・レッスンで教えた概念や語彙をカンファランスで使う。(p.248) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
ライティング・ワークショップでのカンファランスのガイドライン:4.個人的で親しい雰囲気でカンファランスをする。書き手と肩を並べ、相手の目をみながら、小さな声で会話する。5.少なくとも生徒の前では失望感を出さない。教師のサポートで解決へ迎える。(p.249-250) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
ライティング・ワークショップでのカンファランスのガイドライン:6.ある問題への解決方法がわかっているときは遠慮せず「こうしてみたらどうか?」「これが書きたいことかな?」と確認する。7.生徒の上手な点に目を向ける。うまく書けている箇所をはっきり伝える。(p.250) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
ライティング・ワークショップでのカンファランスのガイドライン:8.具体的な指摘であれば、必ずその理由と書き手ができることと共にはっきり伝える。9.生徒にも自分にも忍耐強く接する。書くことの成長はゆっくりしたもの。(p.251) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
また、書くときに生徒が遭遇する課題と、その対処法についても書かれていました。メモや下書きを使うことはとても大切なのだと感じる。書けないなら、「書くための素材」へ立ち戻る、というのが多いのです。そのために、アトウェルはノートを活用しているのだと思います。
僕はOneNoteでのメモ(タイピングも手書きも両方含めて)を使ってブログの文章を書いていることがほとんどですが、たしかにメモに立ち戻ることは多いなと思います。使うかはわからないけれど、メモや下書きを一括して見られるようにしておくことは大切です。紙でももちろんいいですが、GoogleドライブやEvernoteやOneNoteや、学校でも使えそうな機能は意外とあるかもしれません。ノートを撮影して一つの場所に保存しておくとかもありかもしれません。
書くときに遭遇する課題とその対処法:「情報が不十分である」→メモ書きをして情報を質と量の面から考える。「書き手の姿が見えない」→自分の経験について書いているはずなのに、一般的なこととして書いているなど。下書きを読み直す。(p.251-257) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
書くときに遭遇する課題とその対処法:「余分な修飾語が多すぎる」→削除する、凝縮するという書き直し方を教える。「題材が大きすぎる」→一粒の小石の法則を使う。「終わり方がうまくいかない」→メモ書きを使って、いろいろ試す。(p.257-260) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
書くときに遭遇する課題とその対処法:「書き出しがうまくいかない」→メモ書きを使ったり、複数の書き出しの種類を試す。「読者に映像が見えてこない」→情景が浮かぶような情報を入れる。「情報が整理されていない」→情報をひとまとまりになるように推敲する。(p.263-268) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
書くときに遭遇する課題とその対処法:「書く題材がみつからない」→メモ書きを使う。「言葉づかいがうまくいかない」→カンファランスのときに問題を指摘し、解決できるように助ける。(p.268-274) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月11日
まとめ
具体的なアドバイスがたくさんです。書き手を大切にしているワークショップの様子がわかるような。一人ひとりにこうして関わっていくのは大変だけど、楽しそうです。
次は、第7章「一人ひとりの読み手を教える」へと進みます。
(為田)