ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。
今回は、第4章「書き手を育てるミニ・レッスン」です。ライティング・ワークショップの中で時間をとって行うミニ・レッスンについて紹介されています。
ミニ・レッスンで「どうやって書くか」を教える
ライティング・ワークショップの中で行うミニ・レッスンは、ちょっとした授業の枕というものではなく、非常に重要な場として設計されています。
「日々の練習とレシピ代わりの先達からのアドバイスがあれば、よい書き手が育つのです。(略)ライティング・ワークショップにおけるミニ・レッスンは、大人が生徒たちに「どうやって書くのか」という先達からのアドバイスを教える、極めて重要な場です。」(p.155) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
「毎回のライティング・ワークショップの最初に行うミニ・レッスンは、(略)、生徒への個別カンファランスと同じくらい効果的です。よいミニ・レッスンは、実践的で、生徒たちが取り組んでいることと関連していて、理解しやすく、影響や効果が広範囲に及びます。」(p.155) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
ライティング・ワークショップでは、一人ひとりが自分の作品を書くことになるので、クラス全員に対して「知識を譲り渡す」ことや、生徒たちに知っておいてもらいたいことなどは、ミニ・レッスンのなかで伝えることになります。
ミニ・レッスン:クラスの生徒全員と会話する場。書くことにおける問題、確実にうまくいく解決策、前に進めるような助言などを話す。また、アトウェルが国語教師として得てきた知識を生徒に譲り渡す機会。(p.155) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
ミニ・レッスンで扱うテーマ
アトウェルがミニ・レッスンのなかで扱っているテーマが、非常におもしろいと思いました。
ミニ・レッスンにはテーマがあり、生徒に概念の本質が伝わるオリジナル用語を:「それで?の法則」「一粒の小石の法則」「骨まで削ぎ落とせの法則」など(p.156)→弊社でも「翻訳しゃべり」とか名前をつけて研修してた。子どもたちが楽しんで必殺技のように覚えてくれればいい。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
京都教育大学附属桃山小学校の授業で、情報活用能力について、「こういうやり方があるよ」というのをまとめて、使ったら正の字でチェックしていくやり方を見たことがあるのですが、それと近い感じにしてもおもしろそうだと思いました(ちょっと粒度が違うので、そのままは無理ですけどね)。
ミニ・レッスンで身につけるテーマ、パワーチェックカードのように下敷きにしたりして、いつでも見られるようになっているといいかもしれないな、と思いました。 https://t.co/ABHv77uWuB #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
情報ハンドブック デジタル版みたいな形でもいいかもしれない。思い出したくなったときに、ぱっとアクセスできるように。ライティング・ワークショップではきっと、ノートがそれにあたるのだろうな。 https://t.co/6QCiFRn6ph #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
書くことの過程を見せる
ライティング・ワークショップの最初に、「書くこと」とはどういうことかを明確に伝えるそうです。ただ原稿用紙を渡して書き始める、というのではなく、また最初に1マス空けましょう、みたいな形式だけを教えるのではなく、何について書くか決めたり、下書きしたり、書き直したり…といういろいろな過程を見せるのはとてもいいと思いました。
年度当初に「書くことは、紙の上でひたすら考え抜くことだ」という真髄をすべての生徒に伝える。「書き手は何をしているのか」をブレストする。例:何について書くか決める。計画する。下書きをする。書き直しをする。選択をする。もっといい表現に変える、など(p.161-162) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
「書き手は何をしているのか」のブレスト、おもしろそう。書き出すことで「あ、こういうこともやってるな…」と工程が見えてくる。「読者について考える」とか「他の人からフィードバックを得る」とか「新しい気持ち、視点で下書きを読み直す」とか、大人にも必要だと思う。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
教師がまさにその過程をどのように行っているのかを見せる、というところがありましたが、これはGoogleドキュメントの変更履歴が見られるようにしておくことで、擬似的に見せることができるかもしれないと思いました。何度も何度も書き直している様子が追体験できて、かつ「どうしてそういうふうに書き直したのか」みたいなものを先生が言葉で言ったり、ドキュメントにコメントで残しておいたり、というようなことは、デジタルで強いところかもしれません。
「教師が書き手としてどのように考えて、どのように書いているのかを生徒にはっきりと見える形で教えると、書き手としての考え方や行動の仕方が理解できるようになります。」(p.166)→手書きに朱でもいいし、Googleドキュメントで編集履歴を見せつつ、コメントを入れるのも? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
「書く過程がいかに無秩序なものかという現実は、教師が書く過程を、はっきり見せて教えない限り、教師にも生徒にも隠されたままになっています。「読み直して、書き直す」ということも、生徒たちが実際に見たことも聞いたこともなければ」(p.167)、教えることはできない。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
ただ、文章になる前に、もっと自由に発想を広げるという過程があり、そこはやはり文章になる前の部分だったりするので、ノートアプリが必要かもしれません。紙に書いてスキャンして取り込んだり、ペンとタブレットで行うというのも可能かもしれませんが…。わざわざ使うというふうになってしまって、かえって「書く過程」に集中できないかもしれないな、と思いました。
p.170のメモ書きを見てみると、そうか単語を丸で囲んで線を引いて、そこを書き変えるというような、自由な「書く過程」は、Googleドキュメントだと見せにくいよなあ…、と実感。この過程を1回入れてから、Googleドキュメントの履歴とかに行かないと、いろいろとこぼれるな…。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
書くことを楽しませる
とはいえ、書こうとしない生徒もいるのではないか?ということについてもアトウェルは書いています。じっくり時間をかけて、「書くこと」を学んだことは、僕自身はないな、と自分自身の学校生活を思い出しています。メモ書きで断片でもいいから、そこに「それで?の法則」を使ったりしながら、少しずつ少しずつでも表現をすることの楽しさを知る、というのは、これから取り組むカリキュラムの中に入れていければと思いました。ワークシート作成のときや、ワークシートを書くときの発問やファシリテーションのときに組み入れたいと思いました。
「書こうとしない生徒に教師はどう対応したらよいのかという質問を、よく受けます。それに対しては、自分がどう見られているのかという心配を軽減し、メモ書きを使って、生徒がもっているものが外にうまく溢れ出るようにする、というのが私の対応策です。」(p.191) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
「数学の教師であれば「数学に手がつかないスランプ」は許容しないでしょう。同様に、書くことも学校の教科の一部なので、それを教える教師も「書けない生徒もいるし、いてもよい」と考えてはいけません。」(p.191) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
「書けなくてもよいと考えることは、書くことは創造的な芸術だという、間違った幻想に基づいているからです。そうではなくて、書くとは、誰もができる、職人のように積み上げる技なのです。」(p.191)→きっちり体裁を整えるよりも、メモ書きでもいいから溢れ出させられればOK? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
第4章「書き手を育てるミニ・レッスン」、終了。一気に読んだ。文章を書く過程を見せる、というのはおもしろいなと思う。あと、オリジナル用語を作るところも。クライアント校の今年度の卒業研究発表の原稿作成のときに、6年生相手にちょっと実践してみようと思う。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月2日
まとめ
文章を書く力があるということは、考える力があるというのと近いようにも思うので、ぜひ実践してみたいと思いました。
次は第5章「読み手を育てるミニ・レッスン」です。
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(為田)