2020年8月3日から7日の5日間に渡ってオンラインで行われた、新渡戸文化中学校の中学1年生から3年生までが参加する「Happiness English夏期特別授業〜英語の正体に迫る5日間」(担当:山本崇雄 先生)を参観させていただきました。
Day3の授業の様子をレポートします。授業は、昨日のふりかえりから始まります。チャットにさっそく、昨日学んだ「イコールの役割をするam、is、are」を使った文章を生徒たちが書いていきます。一人の生徒が書いた「I'm happy just with you being here.」という文章を見て、山本先生は「とても素敵な表現ですね!!」と褒めた後、「happyやsmileっていう単語は気持ちが前向きになるよね。そういう単語をどんどん増やしましょう」と言っていました。
こうして先生にどんどん褒めてもらうことは、外国語を身につけていく過程で本当に力をくれることだと思います。みんなが同じ場所にいる形ではないオンライン授業でも、こうした活動はできるのだと感じます。
その後、昨日padletにまとめてもらった文章を画面共有して見ながら、「文章は自分で探して、先生の話したことをメモで増やしていったり、ノートを貼っていくのもいいですね」と山本先生は言いました。こうして「英語の学び方」を授業に参加しているみんなで共有することができます。padletが授業に参加しているみんなで共同のポートフォリオとして機能しています。こうした使い方は、紙のノートで行うよりも、デジタルで管理する方がずっと容易に実現ができます。
Day2と同様に、今回の授業でも曲を聴いて英語を書き取るアクティビティがありました。今回の曲は、Backstreet Boysの「I Want It That Way」の歌い出しの部分です。歌詞は「You are my fire.」で始まるのですが、曲を聴いて聞こえた文章をチャットに書き込んでいきます。ここが「your」か「you are」かが難しく、生徒たちも迷っていました。
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山本先生は、「You are my fire.」という正解が出た後に、「口ずさんで、言えるようになった英語ははっきり聞こえるようになる」と言い、みんなで「You are my fire.」と口ずさんんでみてから、もう一回曲を聴いてみました。すると、「はっきり言ってる」という言葉がチャットに書かれました。こうした「聞こえた!」「わかった!」「伝わった!」という体験をさせる仕掛けは、YouTubeを使って簡単にできる工夫だと思いました。
Day3のテーマは、 「○は△を□する」です。山本先生は画面を共有して、「まず、これスクリーンショットしてください」と言います。誰も「スクリーンショットってどうやるんですか?とは訊きません。機能への慣れを感じます。
生徒たちはそれぞれにスクリーンショットをした画面を見て、気づいたことをノートにメモし、ブレイクアウトルームで何に気づいたのか3分間で話し合いました。
ブレイクアウトルームから全体でまた集まって、それぞれに対話して得た考えを共有しながら、「日本語だと語順を変えても意味が通じるが、英語は順番が変わると意味が変わってしまう」ということについて、みんなで考えていきました。
この後、15分間、教科書を見て○□△の順番で並んでいる英文を探してまとめていきます。「単語の配列、語順を考えて、英文を探してみてください。気づきはどんどんメモしていきましょう。そして、覚えたいもの、意味がわからないものをどんどん入れる。新たな発見をしてください。それが学びになります」と山本先生は言います。
間に「don’t」が入っている文章があったり、2年生・3年生の教科書になると、ing形など形が変わっているものもありますが、そうした文章も含めて、どんどん書き出してもらいます。
新渡戸文化中学校では、AI型教材「Qubena」を導入しています。山本先生は、「不安な人は、Qubenaで中学1年生のところをやると出てくると思うので、戻ってやってみてください」と言っていました。
生徒一人ひとりで習熟度も違うので、こうした課題をやりながら、不安な人は自分で原因となっているところに戻って学習を自分でし直すことができるようになるのは、ICTを活用する利点だと感じます。
授業後に山本先生に話を伺うと、「デジタルだと、学年はどんどんシームレスになっていく。みんなに同じ説明をするのではなく、自分で学ぶ力をつけてもらうことを意識している」とおっしゃっていました。
Day2と同様に、「今日中にまとめて、padletに入れておいてください」と山本先生が言い、授業は終了しました。授業の中で、一斉に同じ知識を与えるのではなく、あえて「教えない」ことで、モヤモヤした生徒は「自分で調べたい」が生まれるのだと思いました。授業時間の中だけで授業が閉じているのではなく、授業時間を起点にして、家庭学習や次の授業に繋がるように、ICTがそれぞれのブリッジのように連動しているのが見て取れました。このように、オンラインとオフラインを分けて考えない方が、学びの循環が生まれるのです。
No.3に続きます。
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(為田)