21世紀型スキル育成アドバイザーとして、またセサミストリート・ティーチャーとして関わらせていただいている戸田市教育委員会には、全小中学校の先生方により組織されている「戸田市プログラミング・ICT教育研究推進委員会」があります。
今年度、この戸田市プログラミング・ICT教育研究推進委員会に顧問として関わらせていただくこととなり、2020年9月9日に開催された第1回会議で、戸田市教育委員会が進展に取り組んでいる「戸田型ハイブリッド学習」について基調講演をさせていただきました。
戸田型ハイブリッド学習では、オンラインとオフライン(対面授業等)の学びを適時適切に組み合わせ、「学校の新しい学びの様式」を作っていくということに取り組んでいます。
ハイブリッド学習を、単純に「オンライン授業」というふうにしてしまうと、範囲が非常に狭くなってしまうと思います。オンライン授業で同じ場所にいなくても授業を一緒にうけられるようになったり、他の教室や他の学校とのやりとりをできるようになる、というのは、ICTを活用することのひとつの形ではありますが、それだけがやれるようになることではありません。
8月29日の「埼玉の教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム in 戸田」のときにもプレゼンのなかで触れましたが、ICTがマストアイテム化すれば、ただ場所を超えるというだけではなく、「同時に何かをする」ということと「同時でなくても協働する」ということとができるようになると思います。
だから、考えるべき軸は、「オンラインかオフラインか」ということに留まらず、「同期か非同期か」ということ、「個で学ぶか協働で学ぶか」ということに広げていくべきだと思います。
学校の教室で行われる授業には、デジタルがないときにもこうした「同期か非同期か」ということ、「個で学ぶか協働で学ぶか」という軸があったはずです。そこにICTが入ることによって、できることが広がった、ということだと思います。
そうした軸を説明したあとで、参加した先生方にいくつかの学校の実践事例を紹介させていただきました。
もちろん、戸田市内のすべての小中学校が同じように授業を行う必要もないと思います。それぞれの学校、それぞれの学年、それぞれのクラスによって、望ましい形は異なっていると思うからです。ただ、「選択肢としてICTを活用することができるけどICTを活用しない」というのと、「ICTを活用することができない」というのは大きく違います。
ICTがどのような役割を持つのかを理解したうえで、各校が適切にテクノロジーを活用していくことが、「戸田型ハイブリッド学習」へと繋がっていくと思っています。
そのなかで、まずはやってみましょう、とお伝えしたのは、「子どもたちに最低限必要なスキルを身につけてもらいましょう」ということです。具体的には、キーボード入力、IDとパスワードの入力、誰かとデータを送受信する体験だと思います。アプリやシステムはどれでもかまわないと思います。キーボード入力もIDとパスワードの入力も時間がかかるし大変です。でも、きちんと時間をとって頻度高く利用すれば絶対にできるようになります。「IDとパスワード入力が大変だから(時間がかかるから)…」という理由でやらせなければ、いつまで経ってもできるようにはならないので、ぜひやりましょう。ただ、「いつから始めればいいのか」ということを、各校で考えてください、ということをお伝えしました。
今回の基調講演は、ビデオ撮影され、戸田市の共有ドライブにも格納され、この場にいらっしゃらなかった先生方にも見ていただいているとのことです。これも、「同期/非同期」の観点で言えば、ビデオを見て各校での指針を考え、それを第2回、第3回の会議でやりとりをしたり、クラウド上でやり取りしたり、という形で進んでいくのだと思います。
今年度、戸田市プログラミング・ICT教育研究推進委員会に関わらせていただけるのを楽しみにしています。
(為田)