教育ICTリサーチ ブログ

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調べてみた:教員採用試験でICT関係資格が加点対象!?

 研修会資料を作成するときに、よくWebやSNSを参考にしています。
 6月の終わり、読売新聞オンラインの「文科省、教職課程でICT教育科目の履修を義務付けへ」という記事に目がとまりました。
www.yomiuri.co.jp

 このことについて、2021年8月4日付けで通知が発出されていました。
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www.mext.go.jp

 義務教育のGIGAスクール構想が学校現場で動き出して次は高校GIGAか、というタイミングで教員養成課程も変化していくようです。
 となると、教員採用試験にも変化が出てくるんだろうな、なんて思っていたところ、SNS上で「教員採用試験でICT関係資格が加点対象の自治体がある!」という投稿をちらっと見かけたので、調べてみました。

 結果、見つけたのは静岡県浜松市でした。
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https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kyoshoku/2021sikenannai.htmlwww.city.hamamatsu.shizuoka.jp

 浜松市政令指定都市で、静岡県とは別に市立小中学校の教員採用選考試験を実施しています。令和4年度採用の試験は既に終了していますが、その要項は2021年8月27日時点でWebから見ることができました
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 その10ページには「8 加点申請」という項目があり、加点項目の一覧がありました。全部で13の項目と、その対象の試験区分、なされる加点が示されています。その13番目に「ICT教育関連資格」が挙げられていました。
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 4つの資格が示されていて、資格取得済みであることが条件になっています。その4つとは以下の通りです。

  • ITパスポート
  • ICT支援員能力検定(上級を含む)
  • 教育情報化コーディネーター認定(1級~3級)
  • Google認定教育者(レベル1~2、トレーナー)

 「ITパスポート」は、独立行政法人情報処理推進機構IT人材育成センターが実施しています。
www3.jitec.ipa.go.jp

 「ICT支援員能力検定」と「教育情報化コーディネーター認定」は、情報ネットワーク教育活用研究協議会/教育情報化コーディネータ認定委員会が実施しています。
jnk4.info

 「Google認定教育者」は、Google for Educationが実施しています。
edu.google.com

 実際の加点は1~3点とのことで、他の項目と比べて「ちょっと低いんじゃないの?」と思わないわけではありません。
 ちなみに私は「教育情報化コーディネーター2級」取得者です。2級は、3級取得後に1次試験、2次試験をクリアしないと取得できません。1次試験は選択肢問題と小論文、二次試験は事前課題の提出と口頭試問が課せられます。サイト内から1次試験の過去問に挑戦できるので、興味をお持ちの方は挑戦してみて下さい。かなり幅広な知識が求められることが分かると思います。一般企業の方は教育関連の問題が、教員にはICT技術関連の問題が、それぞれ結構なハードルになっています。
 1級に至っては、推薦書(2名分、うち一名は2級以上の資格者)、履歴書・業績書、小論文で予備審査が行われ、受験資格を満たしていると判断されてはじめて、2回の面接試験と課題提出によって合否判定されるというものです。1級取得者は10年間で7名しかいません。

 とはいえ、ICT教育関連資格を持った受験者に加点が行われるというのはこれまで聞いたことがありませんでしたので、かなり画期的でとても素晴らしいことだと思います。こうしたことが制度化されれば、知識と技能を併せ持った先生方が学校現場でのICT活用の即戦力になって、学校DXがどんどん進むだろうにと考えていました。ぜひ多くの教員採用試験に携わる方々に知っていただき、どんどん広がっていけばいいなと思います。

 子どもたちにとって将来にわたって必要となるICTを活用する力を含む情報活用能力の育成は、現学習指導要領の要の一つで、今後も変わることはないでしょう。もちろん先生方にも求められる資質・能力だと思いますので、現職の先生方もチャレンジしてみてはいかがでしょうか。そして、こうした自己研鑽が実って資格を取得した先生方に対しては、ちゃんと身分的・金銭的に報いる制度ができればいいのになと思います。

(佐藤)