教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

【先生用アンケート】「先生方が新しい取り組みを知る情報源」結果レポート No.1

 2019年9月16日から9月30日にかけて、「先生方が新しい取り組みを知る情報源は何ですか?」という先生向けのアンケートを行いました。たくさんの先生方や関係者の皆さまにSNSでシェアなどしていただきまして、合計で100件の回答をいただくことができました。お忙しい中、ご協力をいただきまして本当にありがとうございました。

 アンケート実施の意図は、以下のようなものでした。

この夏休みに、教育の情報化、ICT活用に関する教員研修講師を何度かさせていただきました。講師をしているなかで、教育の情報化について、まだまだ情報が広く伝わっていないと感じることが多くありました。
そこで、先生方に何かをお伝えするのに、最も効果があるメディアは何だろうかと思い、アンケートを取ってみたいと思いました。

 アンケートのQ1では、「新しい取り組み(例:授業の手法、評価手法、SDGsなど)が学校で始まるとき、多くの先生方にとって情報源となっているのは、どれだと思いますか?(複数回答可)」という質問を行いました。結果は以下のようになりました。項目のそれぞれについてコメントするとともに、具体的に名前が挙がったもの(アンケートのQ2で質問しました)を抜粋しながら紹介したいと思います。
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先生方の繋がり

 最も多かった回答は、「教員同士のネットワーク」(67件)と「SNSTwitterFacebookなど)」(67件)でした*1。教育センターでの教員研修に伺うと、先生方のネットワークの強さを感じることが多いです。特に公立学校では異動した後でも関係が続くこともありますし、研修会などで顔を合わせる機会もあるため、どんどん情報共有のネットワークが育っていくのだと思います。
 最近は、SNSを活用されている先生方も増えてきているようで、そうした顔が見える関係を越えて、ネットワークを広げるツールとして使われ始めていると思います。
 具体的には、Facebook(友達関係や、イベント情報、記事のシェアなどで活用)、TwitterGoogle Educator Groups(GEG)、Apple Distinguished Educator(ADE)、Microsoft認定教育イノベーターなどの名前が挙がっていました。

 「Facebookには各地で行われているワークショップの情報がたくさん出ており、これらに出ることから、教員同士の繋がりや実践の共有が、されています。」というコメントもいただいています。

サイトや書店などでの情報収集

 「Webサイト」(53件)、「書籍」(49件)、「教育系の専門紙・専門誌」(42件)という回答も多かったです。休日の大きな書店の教育書の棚に行くと、先生と思わしき人たちがいろいろと本を購入されているのも見ますし、SNSでもさまざまな情報が共有されている様子も見ます。多くの先生方の目に触れる情報がもっと増えていけばいいと考えています。具体的に名前が出ていたのは、Webサイトでは、「Appleの教育関連サイト」「文部科学省サイト」「東京都教育委員会ホームページ」など、教育系の専門紙・専門誌では、「教育新聞」「日本教育新聞」「教職課程」「初等教育資料」「教育技術」などが挙がっていました。

同僚の先生からの情報共有

 「同僚の先生の意見・推薦」(32件)は、実はもう少し多いかなと想定していましたが、同じ学校で状況を共有しているからこそ、意見・推薦などが日々の授業改善などに直結できて有益なのではないかと感じました。ICT導入研修の依頼を受けるときに、できるだけ実際に学校の機材や環境を使って実施したいのは、この部分を重視していて、「これなら、うちの学校でもすぐできるんだな」と感じてもらいたいからです。

研修やイベント

 「教育委員会主催の研修」(23件)、「企業主催のイベント」(23件)も多く書かれた回答でした。選択式の回答だけでなく、「その他」のなかに、「教育委員会の主催ではない研修」(1件)、「教育委員会主催でない研修会・勉強会」(1件)、「私立中高協会主催の研修会。公立学校であれば、教科別研究会と同様に教育委員会主催ではないですが、公的な研修会」(1件)、「校内研修」(1件)、「Today at Apple」(1件)という回答もありました。実際にアプリや機材などに触れることができる、研修やイベントも重要だと思います。
 また、研修やイベントについては、その後の「参加した研修の人とのつながり」を挙げている先生もいました。「SENSEI PORTAL」を使って先生向けのイベント情報を集めている、という回答もありました。

マスメディア

 「一般の新聞・雑誌」(21件)、「テレビ番組」(12件)については、先生方の新しい取り組みを知る情報源としての役割もですが、学校に関わる保護者の方や地域の方にもいろいろと知っていただくためのチャンネルとして重要だと思っています。いろいろな学校の取り組みや、今後の教育の方向性なども、もっとマスメディアでの露出が増えてくれるといいと思います。

  • 麹町中学校の取り組みはメディアで取り上げられた途端に爆発的に広がりました。」

その他

 その他に回答があったものを紹介していきたいと思います。

 まず、学校視察という観点で、「国内外の学校視察と懇談」(1件)、「先進的に取り組んでおられる学校の視察」(1件)、「他校の取り組み」(1件)という回答がありました。なかなか先生方皆さんが、他校の視察に行けるというわけではありませんが、「現場でどう使われているか」が先生同士だからこそ見えてくる部分も多いのではないかと思いました。

  • 「他校の研究発表会や学校公開などで直接見学に行ったことによる情報収集」

 「紙媒体」(1件)についても、具体的に名前を挙げていただいたものもありました。

  • 教育委員会の文書。都教委ならば「東京の教育」「scram」(義務教育指導課のメーリング文書)など。あるいは教育委員会の説明会。さらに、通知文。

 「メルマガ」(1件)も、僕もいろいろと購読していています。回答の中で名前が挙がっていたのは、以下のようなものでした。ICT CONNECT 21のメルマガは、週1回内容が濃いのが届きます。

まとめ

 どんな情報源が、先生方に情報を届けるのに有効なのかを知りたくて、アンケートを実施しました。SNSで実施しているため偏りもあるでしょうし、「これが有効だ」と絞り込むという意図はまったくありません。むしろ、学校の先生方と繋がるためにどんな道筋があるのだろう、と可能性を広げたい、という意図で実施しました。

 No.2では、アンケートのQ3で質問した、「教育の情報化、ICTやEdTech活用推進については、どのように情報を広げていけばいいと思いますか?」をレポートしたいと思います。

blog.ict-in-education.jp


(為田)

*1:今回のアンケートについてはSNSを中心にシェアをしていただいたので、偏りもあるとは思いますが…