教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

戸田市教育委員会「戸田市未来の学び応援プロジェクト」

 戸田市教育委員会は2022年10月3日から「未来の学び応援プロジェクト」を開始しました。「未来の学び応援プロジェクト」は、ふるさと納税の仕組みを活用したクラウドファンディングとなっていて、確保した資金は一般の寄付金と合わせて「戸田市未来の学び応援基金」へ積み立てされ、市内の小中学校での教育改革のために使われます。
www.city.toda.saitama.jp

 戸田市未来の学び応援基金を設置するために、「戸田市未来の学び応援基金条例」が2022年9月の定例市議会で制定され、積み立てられた基金は年度を超えて機動的に運用できるようになりました。学校教育が長期間にわたって子どもたちに伴走するためのものだとすると、こうして年度を超えて運用できるお金があることは非常に大切なことだと思います。

 「戸田市学び応援基金」を使っての学校改革の提案を教育委員会が募ったところ、「インクルーシブ教育」「PBL(課題解決型学習)」「デジタル技術の活用」など6つのカテゴリーで、以下の提案が出てきました。
 これらは各校の児童生徒が「やりたい!」と言ったものを、学校として提案しているものです。教育委員会が全体をとりまとめながらも、各学校で児童生徒と先生方が一緒にアイデアを練り上げ提案してくるのが、戸田市の学校の良いところだと思います。

 ここに並んだ提案は、教育・学校の「当たり前」を問い直す全国的なモデルになるものであることとして、5つの条件(「脱・正解主義」「脱・自前主義」「脱・予定調和」「脱・教師主導」「脱・経験と勘と気合い」)のいずれかを満たすものとなっています。

 「全国的なモデルになるもの」を目指していることは非常に重要だと思っています。本来ならば、こうした教育への投資は政策として国や自治体が予算をつけて行うべきだと僕は思います。
 なぜなら、教育への投資をクラウドファンディングで行えば、最初のいくつかの自治体は資金を集められるかもしれませんが、全国のすべての自治体が同じように資金を集められるとは限らないと思うからです。

 ただ、「すぐに」資金を教育に投資できないのが現状であるので、まずは戸田市クラウドファンディングを行って資金を集め、ここで出ている提案がひとつでも多く実現されることが重要だと思います。その後、提案が実現した様子を戸田市から全国へ発信することで、政策として採用されたり自治体の予算に計上されたり、ということに近づくのではないかと思います。

 最終的には教育への投資を大きくするためには、政策にならなければなりません。「未来の学び応援プロジェクト」は、そのための第一歩にしなくてはならないと思います。
 戸田市の学校を訪問したり、「プラットフォーム in 戸田」などオンラインの教育イベントに参加すると、戸田市議会の議員さんに会う機会が多くあります。戸田市では、教育に関心をもつ議員さんが先生方と話をする機会を多く持っているのです。
 地元の都道府県会議員さんも国会議員さんも、他の自治体の議員さんも、「クラウドファンディングでこれだけの人が注視している(=これは選挙の争点にすべきだ)」と思ってもらえるくらい、世の中にこの「未来の学び応援プロジェクト」のクラウドファンディングのことが広がっていけばいいと思います。

 そうして、この戸田市教育委員会が始めたクラウドファンディング基金を積み立て、学校教育を変えていき、社会の教育への関心を高めていくというムーブメントが、全国へ広がっていけばいいと思います。
 クラウドファンディングは、2023年3月31日まで受け付けています。関心のある方は、ぜひ以下のリンクをどうぞ。
www.furusato-tax.jp

(為田)