教育ICTリサーチ ブログ

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戸田市立戸田中学校 授業レポート(2023年7月7日)

 2023年7月7日に戸田市立戸田中学校を訪問させていただきました。山田一文 校長先生と藤田政貴 教頭先生から、戸田中学校でどのようにICTを活用してPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)に取り組んでいるかを説明していただきました。
 戸田中学校では、「学校をいかに良くするか」をPBLのテーマとしているそうです。生徒たちがあまり想像ができない大きな社会課題に取り組むよりも、生徒たちの日々の学びの場であり多くの時間を過ごす学校をいかに良くするかという視点で課題解決を目指すのは、生徒たちにとってイメージがしやすいアプローチだと感じました。

 具体的に、藤田教頭先生が「TIPS Day」という取り組みを紹介してくれました。「TIPS」は、「Toda-JHS Internet Policy Setup」の略だそうですが、Tips=「何かを上手に使うちょっとしたコツ」とかけられた言葉になっているのもおもしろいです。
 生徒会がインターネットを利用する際の心配事や悩み事をGoogleフォームで全校生徒から集めてまとめたTIPSのポスターは、生徒によってデザインされ、廊下に貼ってありました。「◯◯をしない」と禁止する言葉ではなく、前向きな行動支援の言葉で書くことなどを、生徒たちで考えているそうです。

 中学校では、小学校と比較すると授業の中でグループ活動をする場面は少ないと思います。しかし、中学校では生徒会活動や委員会活動が盛んで、昼休みなどにも活発に活動をしています。生徒会活動や委員会活動でPBLに取り組み、その過程でICTを活用することで、授業実践とは違う形でICTをツールとして使う場面が増えていくと思います。

 TIPS Dayについても、生徒会本部役員が学級委員に「こういうことやろうよ」と働きかけ、「全校で考える時間をとりたい」ということで総合的な学習の時間を各クラス1時間とって話し合う場を作ったそうです。インターネットの使い方のルールは、各家庭で違うことが多いので、教室でみんなで話し合い、自分の家のルールを多角的に評価することに繋がるこうした活動は大切だと思います。Jamboardを使ってまとめられた話し合いの成果も廊下に掲示されていました。

 TIPS Dayのときも、悩み事や心配事を集めるGoogleフォームは生徒たちが自分たちで作ったそうです。何でも自由に生徒ができるのではなく、最終的に先生が確認して公開する、という手順になっているそうです。このスタイルは、これまでの生徒会活動や委員会活動での掲示物のチェック手続きと同じなのではないかと思います。
 言葉遣いをはじめ表現などについては、先生からのコメントが入ることもあるそうですが、校内という小さなコミュニティであっても社会的なものになるので、経験ある先生の視点が入ることは必要だと思いますし、そうした体験ができることに意味があると思います。

 生徒会活動・委員会活動とICTを組み合わせることによってPBLに取り組む場面を作っていく実践の事例としてもっと広がっていくといいなと感じました。

(為田)