教育ICTリサーチ ブログ

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横浜市立鴨居中学校 訪問レポート No.2(2020年10月14日)

 2020年10月14日に横浜市立鴨居中学校を訪問し、2020年10月から活動を開始した、鴨居中 生徒ICTサポーターの活動を参観させていただきました。ICTサポーターの活動が終わった後で、校長室で齋藤浩司 校長先生にお話を伺いました。

 横浜市教育委員会は、2020年9月に「横浜市におけるGIGAスクール構想」を発表しました。そのなかに「1人1アカウントの配付及びクラウドサービスの試行・活用」と書かれているとおり、横浜市内の小中学生全員(約27万人)と小中学校の先生方(約1万人)が同じドメインGoogleアカウントを持つことになります。

 鴨居中学校では、すでに生徒全員にGoogleアカウントを配布しているので、ICTサポーターの生徒たちは、一人ずつ自分のGoogleアカウントでログインをしていました。
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 現状では、鴨居中学校のように生徒全員にIDを賦与されているのは、横浜市内情報教育実践推進校の4校のみだそうです(2020年10月14日現在)。先進導入校では、保護者向けに配布している文書なども共有しているそうです。齋藤校長先生は、「同じ失敗を2度する必要はない。成功事例だけでなく、改善事例なども共有していきたい」とおっしゃっていました。

 すでに鴨居中学校では、「G Suite for Educationアカウント活用について」という文書で「一人1台端末の整備の前に、1人1アカウントが付与されます」と説明し、Googleアカウントとパスワードを配布しています。
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 この「G Suite for Educationアカウント活用について」という文書では、以下の内容を実施することとされています。

  • クラスごと、学年ごとにメーリングリストを作成することで、クラスの生徒全員に一括で課題を出したり課題を回収したりすることができる。
  • クラスの生徒にオンライン小テストを実施できる。
  • 学校外部から見られないので、授業動画のリンクを貼ったり、学習に使う資料を添付したりできる。

 鴨居中学校の教育活動のなかで、一人1台の端末とGoogleアカウントをどのように使うのかを、きちんと保護者に説明するのは大切だと思います。この文書を配布して、「家庭のPCからでもログインできますので試してください」と伝えると、一週間で全生徒の51%が家庭からログインしたそうです。
 こうして家庭の理解も得つつ、生徒ICTサポーターがスキルアップしてくれば、その後には、端末の運用規定や、BYODに向けて、生徒の考えも聴きながら決めていきたい、と齋藤校長先生はおっしゃっていました。
 一人1台の情報端末がインフラになるためには、こうして先生方だけではなく、生徒も保護者も巻き込む形で、改善を繰り返しながら進めていくことが重要だと感じました。

 また、市の情報教育実践推進校に指定されている鴨居中学校には、ICT支援員が年間48回派遣されているそうです。齋藤校長先生は、「今までもICT支援員さんが授業に入り、授業者と生徒の支援をしてくださっています。生徒ICTサポーターの活動でも、ICT支援員のサポートが必要だと思っています。今後、各学校でICT支援員さんの活用の仕方もポイントになると思います」とおっしゃっていました。

 生徒ICTサポーターが鴨居中学校のなかでどのように活躍していくのか、またぜひ伺いたいと思います。
 また、生徒ICTサポーターが鴨居中学校で見せる活動の成果が、横浜市内の他の小中学校や、他自治体の小中学校にとって参考になることもたくさんあるのではないかと思いました。

(為田)