2023年7月7日に、戸田市 第1回プログラミング・ICT教育研究推進委員会が開催されました。プログラミング・ICT教育研究推進委員会は、戸田市内の全小中学校から1名ずつ先生が参加して、ICTを活用した授業やプログラミング教育についての意見交換をする場です。為田は2020年から顧問として関わらせていただいています。
今回のプログラミング・ICT教育研究推進委員会の目的は、この夏休み以降に戸田市内の全小中学校に配置される電子黒板とプロジェクターをどのように授業づくりに活用するかを検討することでした。
そのため、普段は教育センターに集まって開催するのですが、今回は全教室に電子黒板とプロジェクターが配備済の戸田市立戸田東小学校・中学校で、電子黒板とプロジェクターが活用されている授業を参観し、研究協議を行うことになっていました。公開されていた授業は、小学校2年生の国語、小学校4年生の国語、小学校6年生の算数、中学校1年生の社会の4つです。
推進委員の先生方は授業を参観してからPadletに感想を入力し、グループに分かれて研究協議を行いました。研究協議でディスカッションされた内容もPadletに記入されていきますので、自分の参加しているグループだけでなく、他のグループのディスカッションされた内容も読むことができます。
研究協議の後、総括として「一人1台×プロジェクターの授業デザイン」の観点からプレゼンテーションをする時間をいただきました。参観させていただいた授業の中で電子黒板とプロジェクターが使われている様子と、先生方が記入したPadletの内容を読んで話した内容をまとめたいと思います。
最初に、プロジェクターで「大きく画面を表示できるのはいいことだ」ということを伝えました。小さなテレビモニターで映していたり、黒板にホワイトボードを貼ったりしながら資料を投映している学校もまだまだたくさんありますが、見にくかったり、小さい文字が読めなかったりしてしまいます(映しているけど、読めないのだったら意味がありません)。
戸田東小学校・中学校では、ホワイトボードにプロジェクターを投映するので、プロジェクターの画面とホワイトボードへの板書、電子黒板での追記などを組み合わせた授業ができます。
それと、大きな画面は、先生方が教えやすいということだけでなく、子どもたちが一生懸命考えて書いた内容をみんなに読んでもらいやすくなるということにもなります。文章だけでなく、今後は子どもたちが撮影してきた写真、子どもたちが撮影して編集した動画、子どもたちがデザインした制作物、子どもたちがプログラミングしたゲームなど、いろいろなものを大きく映し出して、みんなで見られるようになります。そうなることで、「ああいうふうにみんなに見てもらいたい、読んでもらいたい、遊んでもらいたい、楽しんでもらいたい」というモチベーションが子どもたちに湧いてくると思います。そのための設備として、プロジェクターは大きな可能性があるのではないかと思います、ということを話しました。
そのうえで、一人1台端末とプロジェクターを組み合わせてどんな授業がデザインしていけるかということを、参観させていただいた戸田東小学校・中学校の授業の様子と、これまでに参観させていただいてこのブログで紹介してきた小学校・中学校の授業の様子を組み合わせて、紹介をしました。
「一人1台端末×プロジェクターの授業デザイン」という観点で、こういう使い方を考えてみたらいいのではないかというポイントを4つ話しました。以下にまとめます。
一人1台端末×プロジェクター
- 自分のメディアにする
- インプット:
動画をみんなで見やすくなることで、インプットの質と量を上げられる- アウトプット:
文章、写真、動画など、さまざまなメディアで表現をし、それをみんなで見られる機会を増やす- プロセスを共有できること
- どんなふうに操作をしたのか、そのプロセスを大きな画面で共有することでわかりやすくなる
- プレゼンの機会を増やす
- プレゼンテーションをする場面として、プロジェクターを使い、みんなに語りかける場面も作る。
- ただし、そのための練習の場面としてグループ内でのプレゼンテーションやペアでのプレゼンテーションなどの機会も増やす。
- 思考・表現のツールにする
- シンキングツールは計算用紙なので、きれいにまとめるのではなく、思考のプロセスとする。
- 思考の量を増やす。たくさん考えてもらって、たくさん表現してもらう。そのために一人1台の端末を使う。
- 思考と試行の回数を増やす。
- 他者と交流し考えを深める。他の人の意見を読んで、聴いて、自分の考えを書き直したり、書き加えたりする場面を増やす。
戸田市内の各校から来ている先生方が、これから配備されるプロジェクターと一人1台の端末を組み合わせて使うことで、子どもたちが思考や表現のツールとしてデジタルを活用できるようになればいいなと思います。
今後、推進委員の先生方が各校の先生方と協力して新しい授業にトライするときには、ぜひお手伝いをさせていただきたいと思っています。そして、その知見をまたプログラミング・ICT教育研究推進委員会でフィードバックすることで、他の学校へと展開する事もできるようになると思います。このサイクルがうまく回っていることこそが戸田市の学校教育が先進的である大きな要因であると思っていますし、そこに関われていることを嬉しく思っています。
今年度も、推進委員の先生方と共に、プログラミング・ICT教育研究推進委員会で成果を出すことに務めたいと思います。
(為田)