教育ICTリサーチ ブログ

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書籍ご紹介:『社会科実践の追究』

 関西学院初等部の宗實直樹 先生の編著『社会科実践の追究』をお送りいただき、読ませていただきました。「はじめに」で宗實先生が「古書を通じて、社会科教育とは何か、社会科授業とは何かについて言及した一冊です。つまり、社会科実践の追究です。」(p.3)と書かれているとおり、いままで読んだことのないタイプの本でした。

 この本での古書は、「20世紀の社会科教育を中心に教育界に影響を与えた書籍」(p.10)となっています。全部で87冊の古書から、22の書籍が「初期社会科」「授業実践」「方法論」「内容論」「子ども理解」の5つに分類されて紹介されていきます。22冊のなかで、いちばん発行が古かったのは、重松鷹泰 先生の『社会科教育法』(1955)でした。

 1冊ずつ、「本書について」「本書から得た学び」「本書の価値」について5人の著者の先生方が書いています。
 社会科という教科の特性もあるのかもしれませんが、書かれていることのなかには、いま現在の校内研究でも話題に出るようなこともたくさんありました。また、いま話題にあがるような教授法の源流がこんなに古くからあって、ずっと議論されているんだなと驚いたこともたくさんありました。
 また、仕事柄、こうした古書が書かれた時代にはなかった、一人1台の情報端末がいまは教室にあるので、「よりパワーアップができるのではないか?」「先生方が、いま教室で教えるのであれば、どうやるかな?」と考えたくなることも多くありました。これ、以前に大村はま 先生の本を読んだときも同じように考えたな、と思い出しました。

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 こうして積み重ねてきたことを自分のなかに取り込んで、日々の授業に役立てて、また次の世代へ繋いでいく、ということが大事だな、と当たり前のことを突きつけられるような気持ちで読み終えました。

(為田)