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京都教育大学附属桃山小学校 授業訪問レポート No.7(2016年1月28日)

実況中継:学活

 6時間目の学活では、5年生とのノート交流を行なっていました。ノートを交流することで、お互いが1年間の自主学習の価値を再認識することがねらいの授業だったようです。もともとは、直接対話をするはずだったのですが、季節柄インフルエンザが流行しており、5年生は自分の教室で4年生のノートを読んで感想を書いて送り、4年生も自分の教室で5年生のノートを見て感想をまとめて5年生の教室に持っていく、という形式になりました。
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 グループに分かれて、5年生の教室からやってきたノートを見ていきます。表現豊かなノートがありました。児童たちは、「さすが5年生!」「すごい!」という感想や、「ここはこうした方がいいと思う」というような意見などを、どんどんふせんに書いていきます。
 グループの中で、できるだけいろいろな意見が出るように、複数人数でコメントを入れていきます。
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 ここで、5年1組の教室に移動してみました。担任の若松俊介先生に導かれて、教室の中に入ってみると、4年生との交流から、ルーブリックについてのディスカッションをクラス全体でしていました。
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 いくつか出ていたポイントは、「ルーブリックでSSを簡単にとれるなら、自分でルーブリックにない目標を立てていけばいいと思う。」「先生がする評価だけでいいのか。自分でする評価だけでいいのか。」などでした。
 ルーブリックについて、こんなに議論をする小学生は、あまり多くないだろうと思います。自己評価とルーブリックについては、「情報を伝えるときの“型”がどれくらい必要なのだろうか?」ということにも繋がる、非常に興味深い議論でした。
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 若松先生は、5年生たちの議論を静かに見守ります。そして、ときどき、「自己評価だけになってしまったら、それは自己満足になってしまうのでは?」など、要所で厳しい質問を投げかけていきます。
 もしも僕があの場にいたら、「いや、それって…」とつい質問をしてしまいそうだな…と思いながら見ていました。若松先生が、5年生がグループで考える時間、誰かが意見を言う時間、最初の人とは違う意見を言う時間と、じっくり時間をとることで、クラス全体が考える空間になっていたと思います。
 また、5年生が「4年生のノートの中にも、自分のよりもすごいノートを書いている人がいた」といいところを認め、ルーブリックでもうこれ以上ないという評価をもらっているのであれば、そこからさらに自分なりに高めていけるのではないか?という視点で意見を言っているようだったのが、異学年で交流することの良さだな、と思いました。
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 授業の終わりの時間が来たところで、5年1組の教室に、4年生たちがノートを見た感想を持ってやってきました。ディスカッションをしていたときの厳しい感じと変わって、後輩たちからのコメントを楽しそうに読む5年生の姿も、またよかったと感じました。
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 同じパワーチェックカードを使っているからこそ、縦にこうして繋げてノート交流をしたり、ルーブリックの話をしたりできるのが素晴らしいと感じました。木村先生と若松先生の間で、「どのように進めていくか」「授業はどんな様子だったか」というのも、帰りの会が終わってすぐに共有もされていました。
 異学年で学びの共同体を作っていくと、こうしたことができるのがいいなと感じました。

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 朝から帰りの会まで授業を見学させていただいた木村先生、飛び込みで教室を見学させていただいた若松先生、本当にどうもありがとうございました。5年生との交流授業は、5年生の授業を見させていただいたことで、僕の理解がとても深まりました。

(為田)