フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、学校の先生が普段使えるクリエイティブデザイン観点でのアイデアやポイントを紹介していきます。
今回紹介するのは、グルーピングをより視覚的にわかりやすくして、情報自体をわかりやすくする方法です。前回は、関連要素の距離を近くするグルーピングを紹介しましたが、今回は位置関係にプラスして視覚的にわかりやすくする方法を紹介します。
見出しをつける
関連要素同士を近くに配置するだけでなく、それらがどういうカテゴリの要素なのかをわかりやすくしたり、特定の意味を持たせるために、見出しをつけます。見出しは、各要素よりも目立った方がいいので、フォントを少し大きくしたり、太くしたり、色を濃くしたりして、目立つようにするといいでしょう。
冒頭に「●」や「◆」などのマークをつける場合は、見出しの文字よりもマークの方が目立ってしまわないように、マーク自体のフォントを少し小さくしたり、色を薄くしたりするといいでしょう。
また、キャッチコピーのような見出しにすることで、見る人の興味を惹くこともできます。
線で区切る
要素と要素の間に線を配置すると、線が境界の役割を果たします。ただし、線が目立ちすぎると、中身の情報が入ってきづらくなるので、線の太さは細く、色は薄めにしましょう。線が中身の情報よりも目立ちすぎていないか注意しましょう。
▼悪い例(左:線が太すぎる、右:線の色の方が濃い)
枠でくくる
枠で要素をくくると、線で区切るよりも、さらにグループごとのまとまり感が強くなります。枠でくくる方法を使って2つの枠に囲われている要素を作れば、ベン図のように、要素によっては複数のカテゴリに所属するものを表すこともできます。距離・見出し・線だけではこういったグルーピングはできません。
枠でくくる際も、枠の線が目立ちすぎないように、線の太さは細く、色は薄めにして、中身の情報が見やすいようにしましょう。
背景色で分類する
枠の背景に色をつけて、色別で分類する方法もあります。文字の背景に色をつける場合は、文字よりも背景色が目立たないようにしましょう。
彩度の高い色を背景色にすると、文字が読みにくくなるので注意しましょう。
背景色を淡い明るい色にする場合は、文字は黒などの暗めの色に設定し、暗い色にする場合は、文字は白などの明るめの色に設定するといいでしょう。
また、背景色同士に違いがありすぎると、その違いの方が目立ちすぎてしまいます。背景色を明るい色にするなら全部明るい色にするように統一性を持たせた方がいいでしょう。逆に、その目立つ効果を利用して、いちばん注目してほしい情報の背景色だけ変えるということも可能です。
▼悪い例(左:明るい背景色と白文字、中央:暗い背景色と黒文字、右:背景色と文字色がバラバラ)
色で分類する
カテゴリごとにテーマカラーを設定して、見出しや強調文字、枠・線、装飾などをその色に合わせて、色のまとまりで分類する方法です。テーマカラーを淡い色にした場合、逆に見出しや強調文字が目立たなくなってしまう場合があるので、まったく同じ色ではなくても、同系色で揃えるというルールにすると、使える色の幅が増えるので、調整しやすくなります。
また、背景色のときと同様に、カテゴリごとの色に違いがありすぎると、中身の情報よりも色の違いの方が目立ってしまうので、カテゴリごとの色の彩度・明度は合わせるようにしましょう。常に読みやすさを意識するようにしましょう。
世界観を変える
伝えたい情報ごとに世界観を変えることで、より違いを出すことができます。A3や模造紙や冊子など、新聞紙のような感じでいくつかの情報を掲載する際に、話題ごとにタイトルや枠などのデザインを変えたり、スライドだったら、話題が変わる直前に、サブタイトルのスライド1枚を入れてキャッチになるようにしたりして、見た目の雰囲気や世界観を変えることで、内容が違うことを理解させることができます。
世界観を意識しすぎて、各グループ同士での統一感がまったくないと、逆に全体的に統一性のない混沌とした印象を与えてしまうので、注意しましょう。
(前田)