この連載では、学校の先生が普段使えるクリエイティブデザイン観点でのアイデアやポイントをご紹介させていただきます。
前回に引き続き、ひき算のデザインを活用して、情報が伝わりやすくなる方法を紹介します。前回までの「見せたい箇所を減らす」「装飾を減らす」については、以下をご覧ください。
今回は、「色数を減らす」について紹介します。
色数が多すぎて重要箇所が目立っていないときは、色数を減らす
前々回の記事にて、優先順位をつけて見せたい箇所を減らし、目立たせる箇所と目立たせない箇所でメリハリをつけることを紹介しましたが、見せたい箇所を目立たせるために、色を付けると思います。見出しに色を付けたり、帯(背景色)に色を付けたり、重要な文言に色を付けたり、などなど。
ただ、前回紹介した装飾と同様で、やりすぎてしまい、伝えたい情報どころか、どこから見ていいのかわからなくなってしまうということが、よくあります。色を付けることで、華やかさや明るい印象は演出できますが、雰囲気が伝わるだけで、実際には読むまでに至らない。色が強すぎて、文字を読む気になれないという気持ちにさせてしまう可能性があります。
▼さまざまな色が目立ちすぎて、ノイズになってしまっているもの
上の学級通信は、全体的に色が付いていて、一体どこから読んだらいいのか、何が重要事項なのかがわかりづらくなっています。
赤文字のところを目立たせたい感じですが、赤文字を使っているところが、すべて同じくらいの重要事項かというと、そうでもない感じです。バラバラな程度の重要事項があちこちで赤文字になっており、他の色も使いすぎているので、散漫な状態になってしまっています。教科書やノートで、色ペンを使いすぎて、一体どこが重要なのかがわからなくなってしまっている状況と同じ状態です。
下半分に配置されている「○△小祭」「バザー」「歯磨き週間」は、背景色の彩度が強すぎて、文字が読みづらくなってしまっています。また、それぞれの背景色の明度が揃っていないのも、情報のレベルに違いがあるように感じさせてしまうので、読みづらさにつながっています。
▼色数を減らして、目を引くアクセントになっているもの
上図では、いちばん読んでもらいたい運動会の話題についてと、下部の注意事項と、行事予定の日付の数字のみを、赤文字にして、他では赤は使わないようにして、メリハリをつけました。
行事予定の表は、行事内容や休日で色を付けてしまうとそれだけで色数が多くなってしまうことと、そもそもそこまで目立たせるべき情報ではないので、日付の数字だけ色をつけました。
「○△小祭」「バザー」「歯磨き週間」の背景色は、彩度が高すぎだったのと、明度がバラバラになっていたので、淡い色にして、彩度を低くし、3項目の明度をおおよそ揃えて、文字が読みやすいように調整しました。
色を使うところを、見出しと背景色のみにして、その他の重要事項については、太字にするということで、色自体の役割が明確になるようにしました。
色は、パッと見で目をひくことができるので、情報を伝えるための重要な要素です。
適当に配色するのではなく、色の役割を明確にして、配色することが大切です。配色を決める際も、その都度、本来の目的である、見せたい情報が見やすくなっているか、読みやすくなっているか、色がノイズになってしまっていないかを意識して、確認するといいでしょう。
(前田)