2016年7月8日に、京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。4時間目に、若松俊介先生が担任されている6年2組の理科の授業を見学させていただきました。
実況中継:理科(6年2組)
若松先生の理科の授業は、グループに分かれて座っている状態からスタートしました。最初に、若松先生から、「今日は授業を見学に来てくださっている方(注:為田のことです)がいますので、何をしているのかをわかりやすく説明してみましょう」という課題が児童に与えられ、数人の児童から説明をしてもらいました。
児童の説明で分かりましたが、6年2組は「水と日光と植物の成長」について学んでいて、グループ内での報告会をしていました。最初は、“水”グループと“日光”グループに分かれて、それぞれが植物の成長とどんな関係があるのかを調べていたそうです。実験も、教科書に載っている実験だけでなく、載っていない実験もグループではしたそうです。その後で、グループを一度バラバラにして、新しくグループを作り、それぞれが行なった実験についてどういう結果だったのかを新しいグループのメンバーに伝え、みんなが持ち寄った情報をまとめて、学び合うようになっていました。
報告会はiPad miniを使って行われ、児童は文字だけでなく写真などを使って説明していました。若松先生に話を聴くと、中にはうまくいかなかった実験もあったようですが、それらも含めて、そのまま児童たちがグループの中で考えるようにしているようでした。
報告会の途中で、あるグループで「実物が気になる」という話になり、「先生、見に行ってきていいですか?」と訊いてOKをもらうと、iPad miniを持って教室を出て行くというシーンもありました。児童たちの、こうした機動力も本当に大切だと思います。ICTが導入されることで、「気軽にノートと鉛筆を持って実物を見に行く」という今までできていたことができなくなってしまうのでは意味がありません。それだけでなく、そもそもこうして実物を見に行き、実物を克明に記録するという活動ならば、紙と鉛筆よりもICTの方がずっと得意な分野なので、どんどん実施すればいいと思います。
アナログとデジタルの両方を軽々と使い分けている印象の6年2組でしたが、そもそもアナログかデジタルかなどを気にしていないのだな、と思いました。
見学していたときにたまたま居合わせた、あるグループのディスカッションが非常に興味深く、しばらく見させてもらいました。一人の児童が、「どうしてもわからない」「もう1回言って」とグループ内の別の児童とやりとりしています。質問している児童に対して、グループのメンバーは熱心に説明するだけでなく、途中でiPadで検索して説明文などを読んでもらったりもしていました。教室で机に座っていながら、iPadを使って外の情報をどんどん入れ、手元で紙に書いて説明し、検索結果も見せ、実験の様子の写真なども見せる。こうしたアナログとデジタルの融合している学びが素晴らしいと思いました。
このグループで起こったように、6年生が何かわからないことがあったときに「もう1回言って」とグループの中で言うのは非常に難しいことだと思います。大人でもなかなか言えない人は多いと思います。
もちろん、これはiPadがなせる技というだけではありません。これはグループの中で、どの児童がどんな役割を果たしそうか、ということがしっかりとデザインされているからこそだと思います。若松先生も、「ここまでできるようになったから、任せている」とおっしゃっていました。
こうしたグループでのディスカッションは、小学校を卒業した後も、新しいことを学ぶときの真摯な姿勢に繋がっていくに違いないと思いました。先生が見守ってくれている状況で、こうしたやりとりができる学びの環境は本当にいいなと思いました。
No.5に続きます。
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(為田)