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九州大学 QREC 授業訪問レポート No.2 (2016年10月12日)

 2016年10月12日に、九州大学伊都キャンパスにて行われる、松永正樹先生(九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター (QREC) 特任准教授)の授業を取材に行ってきました。
 今回取材したのは、「テクノロジーマーケティング・ゲーム」という授業の今学期2回めのクラス。StratXというオンラインでできる経営シミュレーションゲームを使って、マーケティングと意思決定スキルを学んでいくというものです。
web.stratxsimulations.com
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 教室では、学生が10人参加していて、ほぼ全員がノートPCを持参してきています。StratXはPCやスマートフォンにソフトをダウンロードする必要はありません。すべてクラウド上で稼働し、オンライン上にデータがあるので、原則としてはグループに1台PCがあれば事足ります。しかし実際には、取り扱うデータの量が非常に多く、複雑で多岐にわたるため、どのチームもメンバー一人ひとりが同時進行で別の作業を行うことになるので、こうしてたくさんのPCがある方がいいと思いました。
 見学した教室には九州大学の学生10人しかいませんでしたが、実は今回の授業には福岡の私立大学の雄のひとつである福岡大学の学生たちも有志で参加しているそうです。物理的に離れた学校に通う学生同士が同じ土俵で競い、互いに学びを深めあえるのはインターネットでつながりながらクラウド上のゲームを活用することの大きな利点ですね。福岡大学の学生たちは、タイミングが合えば授業の最後に予定されている総括プレゼンテーションや振り返りセッションにも参加することを検討中とのことです。
 このStratXというゲームでは、3人~4人のグループになり、それぞれのグループが同一市場内で互いに競合する5社を担当していきます。今回の授業では、九州大学が3チーム、福岡大学が2チームとなります。ピリオド0から授業ごとにリサーチをし、戦略と戦術を考え、するべきことを決定してゲームを進めていきます。
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授業の基本ルール

 最初に、授業のルール説明がありました。松永先生の「テクノロジーマーケティング・ゲーム」の基本ルールは、「聞く→聞く→聞く」という受け身ではなく、「手を動かす→議論する→意思決定する→振り返る」という主体的・能動的な姿勢を受講生に求めます、ということを強調します。
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 そしてさっそくチームが発表されて、自己紹介を兼ねたアイスブレイキング。課題は、「口に二画を足して、新しい漢字を作る」というものでした。実は常用漢字だけでも30個近くの答えがある、ということで九州大学の学生たちも結構苦戦していました(笑)。
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 最初は個人ワークで一人ひとりが考えて、思いついた漢字を書いていきます。その後、グループ内でそれを見せ合い、さらにグループ全体で書き出した漢字を増やします。教室にいた3つのグループで出た漢字は、13個、15個、15個でした。一人ひとりでは思いつかなかったことが、グループで考えを合わせれば、それ以上のものが出る(かもしれない)。「グループで組み合わせることで、個々人で考えていたときよりも全体としてアウトプットが向上する、さらに、お互いの考えたことを共有し合うことで、当初は誰も思いついていなかったことが浮かび上がってくる。そうした感じでワークをしていきましょう。」と松永先生はメッセージを送ります。

テクノロジーマーケティング・ゲーム(アントレプレナーシップ II)

 いよいよ、StratXの基本操作の説明が始まります。学生1人ずつがもっているアカウントでログインをしてもらいます。前もって、松永先生の方でグループ分けもしてあるので、個人IDとグループが紐づいていて、いろいろなデータを見ることができるようになっています。
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 チーム名を決めて、さっそくピリオド1が開始されます。メンバー間で明確に役割を分担してどんどんやるグループもありますし、みんなでデータを読み込んで、話し合いながらじっくり進めていくグループもあります。実際、仕事をしていても、オフィスのあちこちでこうしたグループ(チーム)ごとにあった形で作業が進んでいく様子を見ているので、こうした形でさまざまなデータを集め、意思決定をしていくのがこの後、続いていくのが楽しみになりました。

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 この「テクノロジーマーケティング・ゲーム」の授業の進行・詳細はFacebookでも公開されています(https://www.facebook.com/TechMarketingGame/)。また、授業参観の希望は随時受付中とのことですので、クラスの状況を是非現場で直接みてみたいという方は、担当教員の松永先生までメール(宛先:matsunaga@qrec.kyushu-u.ac.jp)で、お気軽にお問い合わせくださいとのことでした。


 No.3に続きます。
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(為田)