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電子図書館サービスを提供するRakuten OverDrive・田島さんインタビュー No.1

 Wiredの記事で、アメリカの多くの図書館がRakuten OverDrive楽天オーバードライブ)というデバイス問わず利用可能な電子図書館を採用していて、電子書籍の貸し出しをしている、という記事を読みました。
wired.jp

 この記事に触れたエントリーを書いたら、大学時代の先輩が「うちのグループ会社なので、紹介しましょうか?」とメッセージをくれまして、OverDrive事業の日本代表をつとめる、楽天株式会社の田島由美子さんに会うことができました。

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 まず、田島さんからRakuten OverDriveの仕組みについての説明をうかがいました。Rakuten OverDriveは、スマートフォン・パソコン・タブレット電子書籍を借りて読むことができるサービスです。Rakuten OverDriveのシステムを採用することで、図書館は利用者に、電子書籍の貸出サービスを提供することができます。OverDriveのシステムの採用は、日本ではまだ少ないですが、北アメリカやアジアなど、全世界38,000館の図書館に採用されているそうです。

 電子図書館には、どのようなメリットがあるのでしょうか。田島さんからうかがったポイントを以下にまとめます。

  • 多くのタイトルを取り揃えられる。
    • 世界全体としては360万タイトルを提供している。100言語以上の電子書籍を取り揃えている。
    • 提携している出版社は全世界で5,000社以上。
    • 現在日本国内では160万タイトル以上のカタログから選書することができる。和書は約3万タイトル。
    • 書架のスペースは必要ない。タイトルがどれだけ増えても問題ない。
  • いつでもどこでも利用することができる。
    • 24時間365日、電子書籍を借りることができる
    • 借りた書籍は貸出期間が終了すると自動的に返却される。
  • 文字の拡大機能など、電子書籍ならではのアクセシビリティがある。

 実際に、Rakuten OverDriveのアカウントで本を借りてみました。ブラウザで電子図書館にアクセスして、サインインします。借りたい本を選んで、「借りる」というボタンを押すだけで電子書籍を借りることができます。
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 「サンプル」ボタンを押すと、ブラウザ上で本の中身を読むことができます。実際に本を手にとって、ページをパラパラめくって中身を見て、本を借りるかどうか考える、ということは、電子図書館でもこうした仕組みで可能になっています。
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 借りた電子書籍は、Rakuten OverDriveのアプリで読むことも、ウェブブラウザで読むこともできます。学校でタブレット端末などが図書室に入っているケースも増えてきていますので、そうした学校では電子書籍の貸出を可能にすることができます。
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 電子図書館で借りた本には、ドラッグすることで文章にマーカーをひくことができます(ハイライトすると言います)。自分がハイライトした部分は、自分のアカウントに紐づけて保存されます。図書館で借りた紙の本にマーカーで線をひくことはできませんが、電子書籍であればそれができます。
 どんな本を借りたかは、「履歴とメモ」のところに記録されます。読んだ本を開けば、返却した後でもハイライトした部分を確認することができます。田島さんは、「本は知の集積」とおっしゃっていましたが、読んだ本の記録の蓄積や、読んだ本にしたハイライトの蓄積は、まさに「知の集積」を可能にするシステムではないでしょうか。
 また、「本を開いた回数」や「めくったページ」「読書時間」なども自動的に集計されます。こうした数字が蓄積していくのも、学校図書館で活用する際には児童生徒のモチベーションになるのではないかと思います。実際、こうした「何冊読んだ」とか「何ページ読んだ」というのは、学校の図書室で、読書通帳などの形で行われているもので、これをデジタルにすることでより管理もしやすくなる、と田島さんはおっしゃっていました。
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 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)