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ICT教育研究会 with Classi in Meisei レポート No.2 (2018年3月28日)

 2018年3月28日に、明星中学校・高等学校において、ICT教育研究会 with Classi in Meiseiが開催されました(明星中学校・高等学校とClassi株式会社の共催)。
 今回は、東京学芸大学の森本康彦先生の基調講演「なぜ、今高等学校でeポートフォリオが求められるのか ~求められる本当のポートフォリオとは?~」の後半部分から、気になったポイントを中心にレポートしていきます。

ポートフォリオによって、学びが変わる

 続いて森本先生は、ポートフォリオを使って、どのように学びが変わっていくのかを説明してくれました。

  • 問題集を何度も解いて、ノートも完璧だが、テストで間違えてしまう生徒は、
    • 解法をそのまま、パターンで覚えている。
    • ただ暗記するだけでは、意味のない学びになってしまう。
  • アセスメントは、“できなかったことができるようになっていくプロセスそのもの”。まぐれで当たるくらいならば、間違って見直すの方がいい。
    • 学びはプロセスが大事。プロセスの記録を取っておくことで、思考のプロセスが見える化されて、入ってくる。
  • Schoolizeされた学習ではなく、「為すことによって学ぶ(Learning by doing)」が重要。経験をしながら学んでいく工夫が必要。
    • 日本全国の子どもたちが、ポケモンで膨大な情報量を処理し、自分で図鑑を調べながら、学び取り、実践をしている。

 ここで森本先生がおっしゃられていた、「パターンで覚える」という学習方法、僕の中学校時代がそのままこれだったことを思い出させられました。受け身で暗記していました。そして、自分はそういう勉強の仕方をしていたのだ、ということに気づいたのは、だいぶ経ってからだったように思います。そんなふうにメタ視点で自分の勉強方法を考えたことはありませんでした。

 そのうえで、森本先生の話は、学びと主体性についての説明へ続いていきました。

  • 学びには、「主体性」が大きく関係する
    • 主体性とは以下の3つが揃ったときに生じる。
      • 動機づけ(モチベーション):以前はこれだけだった。
      • 従事(エンゲージメント):言うだけじゃなく、やる
      • 責任(リスポンシビリティ):自分のためにやる
  • そもそも「学ぶ」とは、ただ暗記するのではなく、自ら考え、「気づく」ことである。
    • 先生はただ知識を与えるだけではダメ。
    • 学びあうコミュニティを作る。「あのクラス教えやすい」とかは、学びあう集団ができているということ。
  • 「定着」するとは、自分の言葉できちんと説明できるようになること。
    • 間違っていても、「どうして間違ったのか」が言えるようになっていればいい。

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学校でのポートフォリオはどうあるべきか?

 ポートフォリオの良さについて紹介があったところで、森本先生は、実は学校ではポートフォリオをすでに使っている、と言います。

  • ポートフォリオの目的
    • ポートフォリオは既にアナログで行われている。ノートやワークシートもポートフォリオとなる。
    • 前時のノートをみんなに見せて、前の時間と今回の時間を結ぶ。
    • いちばん大切なのはプロセス。行動の記録=ログ。
    • 書いているとき、見るときに、「あ、わかった!わかった!」と気づきを与えるためのツール。気づきは学び。
  • こんなポートフォリオはダメ
    • 日報をわざわざ書くなんて面倒。感想をいやいや書くのも違う。
    • あることないこと、書いていても仕方ないこと=その時点での評価のためにしている。
    • ポートフォリオは、ためることを目的にしてしまったら破綻するし、子どもたちがかわいそう。
  • 学びの振り返りレベルの深化
    • なんで?どうして?という気付きが出てくる瞬間=自問自答→メタ認知(ここまで来なければ、「感想」になってしまう)
    • ああ、なるほど=こういうことか、と気づく(教訓)
    • 次はこうしよう、というのが見えてくるふりかえり(未来へ)
  • ポートフォリオは、友達との対話であり、先生との対話であり、自分との対話でもある。これらの対話によって、たくさんの気づきが出てくる。

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 ポートフォリオの目的を再度ふりかえったところで、森本先生は、「では、なぜ紙ではなく。デジタル=eポートフォリオがいいのか」と説明します。

  • ポートフォリオは紙でもいいが、紙には致命的なデメリットがある。
    • 相互評価がやりにくい。クラスの中にいるときは、やれるかもしれないが、紙を持って帰ったらできない。
      • デジタルにすることで、時空を超える。前の時間はもちろん、3年前とかだって大丈夫。
  • ポートフォリオは、電子的に残さないと、カリキュラム・マネジメントは難しい。テストで測れないものを測ろうとするときに、デジタルは非常に効果的。
    • 小学校ではタブレットが普及しているので、こうしたことができるようになってきている。
    • ICT、デジタルデータが、「無機質で冷たいな」という感じもするが、その無機質なデータの中に、たくさんの学びの営みが、全部詰まっている。
    • いや、そもそも、デジカメの写真を見て、「無機質だな」とは思わない。
  • いかに学びのプロセスを、時空を超えて残していくか。先生方の今の活動を、いかに記録に残すのか、ということ。
  • 子どもたちの学びをホワイトボックスにして、子どもたちがたくさんのことをしているのを見てあげたい。

 ポートフォリオの良さを説明しつつ、森本先生は、「本当のeポートフォリオは、本日ここに集まられている先生方の学校で生まれてくるもの」と言います。この日、会場にたくさんの学校の先生方が集まっていましたが、他の学校のeポートフォリオをそのまま真似してできるものではないと言います。
 「自分の学校で導入しているシステムに似たような機能があるなら使ってみるのでいい、もしICT環境がないなら紙でやってみてもいい」と森本先生は言います。「本当の主役は子どもたちであり、子どもたちを支えるのは先生方の仕事です」と言う森本先生の言葉は、先生方への力強いメッセージに聞こえました。

 No.3に続きます。
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(為田)