教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『情報生産者になる』

 上野千鶴子『情報生産者になる』を読みました。子どもたちには、情報の消費者ではなく、生産者になってほしい。だから、情報活用能力を身につけられる授業にすごく興味があります。情報活用能力を考えるときに、ICTは不可欠なツールになっていると思っています。だからこそ、学びの場で児童生徒がICTを活用することは目的ではなく、手段だと思っています。
 子どもたちが情報活用能力を身につけるスタートを、小学校から高校までの間で、学校での学びのなかで少しでも身につけられるカリキュラムを書きたいのです。そのための勉強として読みました。Twitterハッシュタグを使ってメモを取ったので、再構成します。

問いを立てることの大切さ

 基本は、高等教育での論文を書くためのノウハウなのですが、それでも初等教育中等教育で使えるノウハウは多いと思いました。

 問いは、日々の生活の中で探せることもたくさんあるはずです。こうした視点を授業の中で拾いあげ、教室みんなでおもしろがり、ちょっと考えてみて、自主勉強でそれを調べてみる…というのができれば、問いを立てる視点が身についていくと思います。

 この「問いの立て方」については、小学校などで調べ学習などと絡めてやっている学校で、授業をサポートに入ると、苦労することが多いように思います。何より、「問いを立てる」という経験が圧倒的に少ないのかもしれない。年に1本とか2本とかじゃ、全然足りないのかもしれないな、と思います。

書くときの注意点

 自分で問いを立て、それを論文の形にする時の注意が書かれていました。小学校から高校であれば、レポートやプレゼンテーションにまとめるときの注意に相当する部分もあったように思います。

 そこまで強烈に言わなくても…と思わないではありませんが、切り貼りで済ませてしまう子どもたちが多いのは事実。そして、「どうせ切り貼りになるから、やらせる必要がない」と言う先生方もある程度多いように思います。そうではなく、本当に自分の言葉で調べてみたくなり、人に伝えてみたくなる、そんな環境を作ることこそが先生の仕事となるような、そんなカリキュラムを僕は書きたいと思います。
 実際、そうした授業をされている先生方はたくさんいらっしゃいます。そうした先生方の授業(その裏側にある思いや準備のノウハウなども含めて)を、広く伝えていきたいと思って、このブログを書いているので、より一層がんばろうと思わされました。

子どもたちへのコメントについて

 調べたことの発表などについて、コメントをする機会も先生方には多いと思います。そのときのポイントも書かれていました。こうして文言化されているのはとてもいいと思いました。

コメントはケチをつけることではなく、(1)書き手の言いたいことに沿ってその意図がよりよく通じるように示唆を与え、(2)論旨の欠陥や議論の問題点を指摘し、(3)ありうる批判を予測して書き手にディフェンスのための知恵を授ける、ためにある。」(p.291)



まとめ

 非常に参考になりました。調べ学習や卒業研究の授業設計にとても役立てられそうです。

(為田)