坂口孝則『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038』を読みました。どんな本かというのは、「はじめに」に書かれています。
本書は、2019年から2038年までの20年間について、象徴的な業界をとりあげ、それぞれ何が起きるか予想しうるものを具体的に書いた。まず、目次を見てもらえばわかるとおり、「コンビニエンスストア」「自動車産業」「エネルギー」「インフラ」「音楽」「宇宙」といったものから、「AI」「終活」「教祖ビジネス」など、多様な範囲をカバーしている。(p.3)
2019年から2038年までの20年間についての未来予想が書かれている本なのですが、バランスが非常にいいように思いました。その点について、坂口さんも書かれています。
この手の未来予想には二通りあって「空飛ぶ車が街中を行き来しています」というものと、「年賀状は今後10年間でさらに減少していきます」というものだ。全社は変わりゆく現代をドラマチックに描くもの、後者は着実だが地味な変化を描くもの。
これらの予想を、自分の仕事に役立てるとしてみよう。観念的で急進的な予想は、実務上の施策を想像するのが難しい。しかし、後者ばかりでもつまらない。そこで、本書では、五分五分になるよう努めた。実務家向け、かつ、読み物としても面白いようにした。(p.5)
統計・データをもとに書かれているし、できるだけ誰もがアクセスできるデータ源を使っていますので、データにアクセスして未来をデザインしてみるというような探究活動にも使えそうだと思いました。
坂口さんは、これからの時代の特徴として、以下のようなポイントを挙げています(p.5-9)。
- 人生100年、会社10年
- 100年÷10だから、10ものプロフェッショナル分野を構築する…というのは難しいが、少なくとも複数、異分野の知見をもっていればスキルの掛け算はできる。
- つまらないβ主義
- せっかく他動力、出たとこ勝負力を発揮するなら、勝負する領域についてデータを徹底的に調べ、仮説に基づいた未来予想をもって進むべし。
- 世界を激変させる0→1を創造するわけではないし、ある意味「つまらない」かもしれないが、大事な態度だと思う。
- 目指すは「何屋さんかわからない」仕事
- ハイブリッドな知が求められている。新商品創造にも、事業開発にも、異質なる観点が必要。
各年度で一つの業界をとりあげているので、たくさんの業界について知ることができるのもいいところだと思います。僕が興味をもって読んだのは、以下の年度(章)です。
「未来の稼ぎ方」というタイトルになっていますが、稼ぐためには「どんな未来が来るか」を予測しなくてはならないわけで、そのために良い素材になるのではないかと思いました。
(為田)