教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『勉強の哲学 来たるべきバカのために』

 読み終わってからもうすぐ1年になろうかという千葉雅也さんの『勉強の哲学 来たるべきバカのために』。オンライン授業がたくさんの学校で行われ、「そもそも学校とは?」「そもそも授業とは?」「そもそも勉強とは?」ということを考えいて、自分がTwitter上に残しておいたメモを読み返してみましたが、これからの学校の姿、学びの姿勢ということを考えるのに、良いきっかけになるのではと思い、まとめてみました。

勉強とは、これまでの自分の破壊である

 『勉強の哲学』では、最初に膨大な情報にさらされて、それらに脊髄反射的に思考せずに反応してしまう今日において、「勉強する」とはどういうことなのか、ということが書かれています。

 千葉さんは、勉強することによって、3つの段階を経ていく、と書いていました。第一段階=単純にバカなノリ。みんなでワイワイやれる。 → 第二段階=いったん、昔の自分がいなくなるという試練を通過する。 → 第三段階=その先で、来たるべきバカに変身する。

 深く勉強するのは、「限界を破って、人生の新しい「可能性」を開くため」だというのは、とても好きなメッセージです。

大切なのは言語

 自分が所属しているコミュニティのノリに合わせていかなければいけない我々が、そこからどう距離をとることができるのか、という話が続きます。

 深く勉強して、言語偏重の人になる=ノリの悪い語りをする人になる。大きな意思決定の場は知らないが、身近な会議などでは、実は「ノリの悪い語りをする人」は非常に大事で、「ノリの悪い語りをする人」を排除するのではなく、受け入れるコミュニティこそ、いろいろな成果を出せるような気もします。

 すごい、こんな勉強論、読んだことないです(笑) 勉強によってノリが悪くなる、キモくなる、小賢しくなる。勉強したらそれは避けられないのです。

 千葉さんは、生活の中での独学を基本として…と書いていますが、僕はこの箇所を読んでいて、「学校という場が、心理的安全な場でなければいけないな」とここを読んでいて強く思いました。新しい言葉をどんどん得ていって、勉強するにつれて小賢しくなるぶん、それを受け入れてくれる仲間が学友としている方がいいと思うからです。

勉強のタイムラインを作る

 勉強すること=新しい可能性を開くことであり、そのために勉強のタイムラインを作る、ということが書かれていました。

 ここで自分でメモをしていますが、勉強用のフォルダをEvernoteで最初に作り、OneNoteへ移し、いまはNotionを使っています。テキストも、写真も入れられるのは本当に便利ですし、なによりテキスト検索がかけられることが、紙のノートとの最大の違いです。

 ずっとノートが蓄積してくると、10年以上前の自分が書いたメモを目にすることもあります。何度も読み返す本(数冊、そういう本があります)のメモを読み返すと、「あの頃はこんなところをメモとっていたのか」「あの頃はこういうコメント書いているのか…わかってないなあ」と思うことも多いです。もちろん、逆に「この頃からもうこういう考え方か、変わってないな」と自分を再確認することもできます。
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まとめ

 「ある仮固定から、新たな仮固定へと進んでいく」ということが、勉強を継続するということ。やめるということはなく、どんどん継続して、どんどん変わっていく。そういう姿勢を身につけてもらうことの大切さは、これからの学校には非常に大きな意味を持つことだと感じます。

 改めて、メモをまとめて読み直して、本をもう一度じっくり読み返そう、と思いました。新しい学校の姿、学びの姿を考えるときに、立ち戻りたい考え方がたくさん書かれている本でした。

(為田)