井庭崇『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』をじっくり読んで、Twitterのハッシュタグ「 #クリエイティブ・ラーニング 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。
今回は、「第1章 これからの時代に求められる教育 鈴木寛 × 井庭崇」のところからメモをまとめます。
鈴木寛先生は、通産省から参議院議員となり、文部科学副大臣も務め、教育、医療、スポーツ・文化、科学技術イノベーション、IT政策を中心に活動しています。2015年2月から2018年まで文部科学大臣補佐官を5期務め、さまざまな教育政策に関わって来られました。
対談は、まずは井庭先生から、これからの社会像がどのようなものになるのかという考察からスタートします。
井庭先生「「創造社会」(クリエイティブ・ソサエティ)というのは、私がこれからの社会像として掲げているものです。これは、Consumption(消費)からCommunication(コミュニケーション)、そして、これからはCreation(創造)へ」(p.237) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
井庭先生「Comsumption(消費)が生活・人生の豊かさを象徴していた「消費社会」から、Communication(情報)が重視される「情報社会」を経て、これからは、Creation(つくる、創造)が豊かさの象徴になる時代、「創造社会」が来るということです」(p.237) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
井庭先生「大量生産されたものを消費したり一律に決められたルールや環境を受け入れたりするよりも、「自分たちでつくる」ことがこれからますます重視されるようになると思います」(p.238) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
続いて、鈴木先生からのこれからの社会についての考察です。
鈴木先生:「これまでのように初等中等教育を国内の問題として考えるのではなく、これからは国際課題として考えていくという姿勢」(p.242-243)が重要。その背景には、世界各地でのテロの増大(ホーム・グロウン・テロリストなど)、難民や移民の爆発的増加も。 #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
鈴木先生:「僕は今の産業社会、あるいは工業社会というのは終わりに向かっていると考えています。そのときに、「脱近代」や「ポストモダン」ではなく、近代をリスペクトしつつも卒業していくという気持ちを込めて「卒近代」という造語を使っています」(p.244) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
「卒近代」という言葉は非常におもしろいと思いました。近代をリスペクトしつつ卒業する。僕は、公教育をどう変えるのかということを考えると、一気にドラスティックに変えていくというのは難しいのではないかと思っていて、リスペクトをもってうまくいっているところは残し、さらに選択肢を多様にする、ということが重要だと思っています。
では、子どもたちにはどんな学びが必要なのでしょうか。近代の教育システムの中ではあまり取り入れられてこなかったこととして、シーモア・パパートの「デバッグ」のプロセスについて言及されています。
井庭先生:「パパートは、このデバッグのプロセスこそが、子どもたちの学びに関する重要な示唆をもたらすと言います。より大切なのは、一発で正解を出せることではなく、忍耐強く何度もやり直しながら到達するというような、そういう物事への取り組み方だ」(p.252)と。 #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
井庭先生:「彼(パパート)は、こう指摘します。現在の学校のテストでは、一発で正しい答えにたどり着くことを求めすぎている、と。最初に出した答えが正しいかどうかで評価される。これでは、粘り強くつくり直していく力は養われません」(p.252) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
井庭先生:「パパートは子どもにプログラミングを学ばせることで、エンジニアを育てたいと思っていたわけではありません。彼はLOGO言語でのプログラミングを通じて、子どもたちがこの試行錯誤と修正の経験をすることが重要だと考えていました」(p.252) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) March 27, 2019
これからの社会は複雑生、不確実性が増していくので、どのような子どもを育てる必要があるのか、ということについて2人で語られています。
鈴木先生:これからの時代は、「ますます複雑性や不確実性が増していく(略)さまざまな経済・社会的な問題も起きるかもしれない。これらは全部予測不能です。そうなったときにも、ちゃんと生き残っていける人間をつくらなければいけない」(p.268-269) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) April 1, 2019
鈴木先生:「そのためには、事前に計画を立ててそれに従うのではなく、その都度の個別の「状況に応じる力」、そのなかで、一般普遍解を求めるのではなく、「個別暫定解を求める力」がとても重要になります」(p.269) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) April 1, 2019
井庭先生:「状況に応じてどんな発想で考え、判断をすればよいのかを、パターン・ランゲージは言語化し、それを共有することで、支援するのです。そして、何が大切なのかを言葉にすることで、それをみんなで考察したり検証・議論したりすることも可能になります」(p.271) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) April 1, 2019
井庭先生:子ども自身が複雑性に対処できる力をつける教育が必要→「複雑性の縮減の仕方、個別暫定解の求め方にこそ、創造性が発揮されます。学校とは、複雑性の海に溺れることなく、安全性を確保した状態で、複雑性に向き合うことができる場であるべき」(p.274) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) April 1, 2019
最後の井庭先生の、「複雑性の海に溺れることなく、安全性を確保した状態で、複雑性に向き合うことができる場であるべき」という言葉は、本当にそのとおりだと思います。複雑であることを画一的にしてしまうことは意味がないし、学校という場だからこそ、先生が見てくれているからこその安全性を確保することが学校の役割だと思っています。
子ども自身が複雑性に対処できる力をつける教育、本当に必要だと思っています。
No.5に続きます。
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(為田)