田村学 先生の『学習評価』を読みました。僕自身、「学習評価」についてしっかりと学んだことがないので、時間をとってしっかり学んでみたいとずっと思ってきました。
新しい学習指導要領と評価の関連性や、評価規準(のりじゅん)と評価基準(もとじゅん)の違いなどを読むこともできました。また、評価基準の表現様式がフォーマットとして紹介されていて(p.132)、その後で実際の授業がケーススタディとして収録されていました。
それらを読んでいて改めて思ったのは、「学習を評価する」ことの大事さと大変さです。僕は自分で授業をするときに、「この子、授業中はふざけてもいることが多いけど、おもしろいこと考えるなー」とか、「あんまり発言はしないけど、こういうこと書けるんだなー」とか、「文章にはまとめられないまでも、シンキングツールの使い方がおもしろいなー」とかを発見できるのが好きなのですが、そうしたことを評価規準を自分で作って意図して見つけられるだろうか、と考えてしまいました。
自分は、なんとなく「こういうふうなことをできるようになってほしいな」と思って授業案を作って、授業が終わった後に残る成果物を見てのポートフォリオ評価と、授業内での言葉のやりとりやワークシートを書いている過程などを見てのパフォーマンス評価をしているようなつもりでいました。
もっときちんと先生方に「どう授業が変わるのか」を言葉として伝えられるようになりたいな、と思ってきました。
きちんと評価規準を言語化することの大事さは、田村先生も終章で書かれていました。
具体的な学習活動に即した評価規準は、言ってみれば授業で目指す子供の姿である。どのような子供の姿を目指しているのか。どのような子供の姿が現れることを期待しているのか。この姿が明らかにできずして、授業を設計することは難しい。それが評価規準だとすれば、いかに評価規準を言語化できるかが最大の鍵となる。言葉にすれば他者と共有できる。明確に自覚することもできる。評価規準を言語化することには大きな価値がある。(p.287-288)
授業にICTを導入するお手伝いをするときにも、「それはどう学びを変えていくのか、そしてそれをどう評価するのか」という話はよく先生方から質問されます。また、プログラミング教育やセサミストリート・カリキュラムなど新しいカリキュラムを学校に導入してもらった後の研究協議でも、「評価はどうしますか?」とよく先生方から質問されます。評価は先生方にとって大切なことだからこそ、新しいことを教室に取り入れるときに、「どう変わるのか」をきちんと言語化する必要があると思っています。
そんなことを『学習評価』を読んで感じました。これからカリキュラムを書いたりするたびに、パラパラと読み返す本になるのではないかと思っています。また、この本で学んだことをベースに、現場の先生方からお話を伺いながらさらに深めていきたいと思っています。
(為田)