教育ICTリサーチ ブログ

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東葉高等学校 授業レポート(2022年6月20日)

 2022年6月20日に東葉高等学校を訪問し、菅原直弥 先生が担当するS特進クラス2年8組のコミュニケーション英語Ⅱの授業を参観させていただきました。東葉高校では、2年生と3年生が自分たちのスマートフォンGoogleクラスルームを授業に活用しています(1年生は一人1台のiPadを活用しています)。

Monoxerを使った英単語学習

 授業の最初に、翌週に校内で行われる第2回Vテストに向けた小テストをMonoxer(モノグサ)を使って行い、現時点での到達度を確認していました。Vテストは、『ターゲット1900』を1年間でマスターするためのテストです。今回の範囲は、No.301からNo.600までの300単語で、この範囲をMonoxerを使って学習していました。
 Monoxerでは、選択問題で意味を確認するなどの簡単な出題形式だけでなく、スマートフォンのキーボードを使って英単語を入力する問題も出題されます。

 菅原先生は、「間違った問題はスクショして、間違った問題を中心に復習していってください」と言っていました。間違った問題のスクリーンショットを残すように指示することで、生徒が復習の際に役立てるようにすることがねらいとなっています。

 Monoxerの先生画面を使うことで、クラス内での学習状況を把握することができます。菅原先生は、生徒たちがMonoxerに取り組んでいる間に、平均点や誤答が多い問題を確認していました。
 Monoxerに取り組む時間が終わった後で、菅原先生は「10人以上が間違っていた問題をチェックしておきました。まず、No.324の“Convinced”と、No.314の“Adopted”、このあたりですね」と黒板に単語を書き、解説を加えていきました。

 Monoxerを活用することで、生徒は反復学習をして記憶を定着させていき、先生はクラス全体でのMonoxerでの記憶定着度の傾向を確認して追加の解説をしていきます。先生が追加で解説した単語を、生徒は手元の『ターゲット1900』を開いて確認する、というふうに学習が進んでいきます。

 教室の壁に貼られたホワイトボードには、Monoxerで数値化された生徒それぞれの記憶度が書かれていました。菅原先生に伺ったら、生徒たちが自発的に記憶度を書いて、クラスでのモチベーションを高めているとのことでした。
 東葉高校では、現在はスマートフォンの利用は休み時間も認められていますので、休み時間にMonoxerに取り組む生徒もいるそうです。また、通学時間にMonoxerに取り組んでいる生徒もいるそうです。
 クラス全体で、英単語の力を高めていこうとしている様子が伺えました。

ディスカッション トレーニン

 Monoxerを使った学習が終わった後で、ディスカッションのトレーニングの時間をとっていました。菅原先生は英語で授業を進行していき、「How was your weekend?」のようなスモールトークを隣の人とペアになって英語でやりとりをしていきます。
 この間、菅原先生はスマホでBGMをかけて、教室のスピーカーで流していました。音楽がかかっていることで、会話しやすい雰囲気を作る意図があるそうです。

 菅原先生は次々とテーマを提示していき、生徒たちはそれについてのディスカッションを英語でくりかえししていきます。それぞれのペアで行われているディスカッションに、菅原先生が参加して、表現や使う単語のチョイスなどを助ける場面も多く見られました。

 この授業の最後にするディスカッションのテーマは、「なぜ英語を学ぶのか=Why are we learning English?」でした。
 いきなりディスカッションに入るのではなく、「自分としてはどんなふうに考えるのか」を最初にクラス全体で共有するために、GoogleクラスルームからGoogleフォームのURLを共有し、生徒たちは自分のスマートフォンから入力してもらいました。菅原先生は、「Perfect Englishでなくてもいいので、いろいろ書いてみてください」と言います。

 Googleフォームに生徒たちが書いたものは、スプレッドシートにまとめられます。菅原先生が、生徒の名前の部分を外してGoogle ドキュメントにコピペで貼り付け、GoogleドキュメントのURLを送ってクラス全体で共有します。
 これで、他の人が書いた「なぜ英語を学ぶのか=Why are we learning English?」についてのそれぞれが考えた理由の文章を、クラス全体で見ることができるようになります。「良い表現があったら、どんどんStealしてね(盗んでね)。ブレインストーミングとはそういうものです」と菅原先生は言います。

 この後、ペアになって「なぜ英語を学ぶのか=Why are we learning English?」についてのディスカッションがされました。このときに、Googleドキュメントで共有された理由をスマートフォンで見ながらディスカッションしている生徒もいました。

 最後にGoogleドキュメントで見つけて、ディスカッションのなかで使った表現などを自分のものにするために、ノートに「いいな」と思った表現を書いていきました。

 菅原先生は、このクラスでは、4月の授業開きの時期から、英語の位置づけをくりかえし生徒たちに伝えてきたと言います。Monoxerを使ってボキャブラリーを記憶定着させて、そうして身につけたボキャブラリーを使ってディスカッションをするという授業になっています。Monoxerを使って英単語を覚えるところはICTを活用している部分ですが、英単語を覚えたあとのディスカッションはアナログで対面で人とコミュニケーションをとるようになっています。また、コミュニケーションをとりやすい雰囲気作りのために音楽を流したり、ディスカッションで使える表現をクラス全体で共有するためにGoogleクラスルームを使うなど、デジタルとアナログを行き来する授業になっていました。

(為田)