スージー・ボスさん+ジョン・ラーマーさんの『プロジェクト学習とは 地域や世界につながる教室』を読みました。プロジェクト学習(PBL: Project Based Learning)を構成する要素にはどんなものがあるのか、どういったところをチェックしていくことで授業として学校に実装していけるのかを知りたくて読みました。読書メモを共有したいと思います。
最初の「まえがき」のなかで、プロジェクト学習の質を担保する6つの枠組みに関する基準が書かれていました(p.viii-xi )。
プロジェクトが高い質をもつと判断されるために、ある程度当てはまらなければならない6つのPBLの枠組みに関する基準:
- 知的な挑戦と成果
生徒は深く学び、クリティカルに考え、優れたものを目指している。- 本物を扱う
生徒は、自分たちの文化、生活、将来に関連している、意味のあるプロジェクトに取り組む。- 成果物を公にする
生徒の成果物は公開され、議論の対象となり、批評されることになる。- 協働すること
生徒は、対面またはオンラインでほかの生徒と協力したり、大人のメンターや専門家からアドバイスを受けたりする。- プロジェクト・マネジメント
生徒は、プロジェクトの開始から完了まで、効果的に進めるためのプロセスに則っている。- 振り返り
生徒は、プロジェクトを通して自分の成果物と学習を振り返ることになる。
6つの基準それぞれについて詳細な説明も書かれていて、大変参考になりました。4つめの「協働すること」や5つめの「プロジェクト・マネジメント」は、ICTを活用することでやりやすくなっているようにも思いますが、1つめの「知的な挑戦と成果」や2つめの「本物を扱う」のあたりは、自分ではまだまだできていないなと感じました。
また、「PBL実践のゴールドスタンダードにおける7つの教師の役割」も書かれていました。ここで挙げられている7項目が、第1章から第7章までの章タイトルになっていて、それぞれの章で詳細に内容を読むことができるようになっています。
PBL実践のゴールドスタンダードにおける7つの教師の役割(p.11)
- 文化をつくる
- 学習をデザインし、計画する
- スタンダードにあわせる
- 活動をうまく管理する
- 生徒の学びを評価する
- 生徒の学びを支援する
- 生徒は夢中で取り組み、教師はコーチングする
特に興味深いのは、「文化をつくる」「生徒の学びを支援する」「生徒は夢中で取り組み、教師はコーチングする」のところです。いずれも教室で、多様な仲間たちとプロジェクトに取り組むからこそ必要なことだと思っていて、詳細な説明を各章で読んでいきました。
この本のなかで何度も紹介されている、バック教育研究所(Buck Institute)のサイトでアカウントを登録すると、さまざまなリソースや動画などにアクセスすることができるようです。
www.pblworks.org
子どもたちの学びをアップデートできるように、PBL実践についてより深く知りたいと思いました。第8章の最後に書かれていた言葉は、僕たち教える側に響く言葉だなと思い、最後に紹介したいと思います。
PBLは、「なすことによって学ぶ」ことがすべてなのです。驚くことではありませんが、同じことが指導を考える際にも当てはまります。PBLを行い、自分の経験を振り返ることで、PBL実践の展開方法をマスターすることができるのです。(p.354)