教育ICTリサーチ ブログ

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淑徳小学校 淑徳アルファ カズトロジー 授業レポート No.5(2024年1月~3月)

 弊社フューチャーインスティテュートは、淑徳小学校放課後クラブ 淑徳アルファで、コンピュータを使ってさまざまな活動を行う授業「カズトロジー」を行っています。2023年度に授業で取り組んだことを紹介していきたいと思います。

 3年生のクラスでは、3学期にドローンTello EDUを使って動画を撮影し、その動画をCanvaで編集しました。ドローンは1台しかありませんが、参加した7人全員が順番に自分の手でドローンを操縦する時間をとりました。子どもたちに、できるだけ新しいテクノロジーを実際に使う場面を作りたいと思っています。

 2024年1月16日の授業では、昨年の3年生が撮影・編集した動画をみんなで見て、自分たちで撮影するなら、どんな映像を撮りたいかを考えて、スクールタクトでアイデアを書いてもらいました。条件として「室内あるいは風が強くないところで」「人がいないところで(安全のため)」「13分しか撮影できません(練習を含む)」の3つを伝えます。アイデアを書き終わった後で、一人ずつ順番にドローンの操縦を体験してもらいました。自分で飛ばしてみることで、また新しいアイデアも出てきたようでした。

 その翌週からは、ドローンを飛ばすだけでなく、ドローンのカメラで撮影もしました。まずはコンピュータ室や廊下でドローンを飛ばして操縦してみました。この日から、バッテリーパックを1つ増やしたので、ドローンの飛行時間は13分から26分に倍増しました。

 毎週少しずつドローンを操縦して撮影して…というのを全員がやっていくと、だんだん慣れてきました。慣れてきたところで校庭での撮影もOKにしました。ジャングルジムの中を飛んでいくのにチャレンジしたり、鉄棒の周りをぐるぐると回ったり、自分のやりたいように操縦して、その周りをみんなで見守っているというふうに撮影が進んでいきます。
 今回みんなで飛ばしたドローンTello EDUは、高さ10メートルまで上がるので、校庭の上の方から見下ろしたり、高いところから校舎を見たり、子どもたちはいろいろな撮影をしていきます。


 子どもたちは手元のiPadでドローンを操縦します。iPadには、ドローンのカメラでどんな風景が撮影されているのかが映っています。
 iPadで操縦しながら、ドローン本体も見て周囲を確認するので、慣れないと操縦は難しいと思います。子どもたちも、iPadかドローンかどちらかに気を取られてしまって、壁や天井にドローンが激突することもだいたい1日に2~3回ありました。いちばん大きなアクシデントは、校庭で飛ばしていたドローンが校舎の2階の壁にぶつかってしまって、校舎の屋根の上に乗ってしまったことです。

 子どもたちは、操縦ミスをして激突させることはしますが、雑に扱っているわけでもふざけて操縦しているわけでもありません。だから、失敗を気にしないでチャレンジしてもらっていました。

 撮影した動画が増えてきたので2月13日からは、Canvaを使って動画編集を始めました。
 昨年は動画にテロップを入れてから、不要なところをカットしていくという順序で編集をしたのですが、そうするとどうしても動画が長くなってしまいました。そこで、今年は逆に、先に不要なところをカットしてからテロップを入れていきました。
 両方の順番をやってみて、それぞれに良い点と悪い点があるなと感じました。最初に「どこをカットするか」というのはしっかり構成ができていないと難しいと感じました。一方で、先にテロップを入れるとどうしても動画全体が長くなってしまいます。
 子どもたちの取り組んでいる様子を見ると、テロップを入れることの方が簡単にできていたように思いました。自分たちで撮影した動画にテロップが入ることは、変化が分かりやすいこともあると思います。

 動画編集は手間がかかる作業です。一人ひとりがCanvaを使って編集をしますが、早めに飽きてしまう子もいれば、ハマってしまってテロップをたくさん入れる子もいます。思った通りうまくできていなくても、自分で操縦したドローンで撮影した動画と友達が撮影した動画を合わせて、そこにテロップを入れた動画を完成させた、という体験が残ることに意味があると思います。
 3月6日の年度最終日までにどうにかみんなやり切ることができました。最後にmpeg4形式に書き出してダウンロードをしました。一人ひとりの手に渡って、自分のiPadでクラスメイトに「これ、作った!」と見せられるようにしてあげたいと思っています。
 
 そのうち、学校で使っているiPadや自分のスマートフォンで動画を撮影して編集するようになる日が来るかもしれません。そのときに、「あー、3年生のときにドローンで動画やったなー」と思い出してもらえればいいな、と思います。

(為田)