教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

やってみた:Stop Motionでコマどりアニメを作る

 昨年度末に小学校6年生の教室で、iPadを活用した授業をしてください、と依頼を受けて、2コマ続きの授業を担当させていただきました。

 いろいろな授業を見せていただくことは多いですが、iPadを使って自由に授業をできる機会はそんなにないので、何をしようか先生と相談して、今回はコマどりアニメを作ることにしました。
 ドローンとか、プログラミングとか、いろいろ考えたのですが、2時間だけで、なるべくみんなが「ものをつくる」感覚を楽しんでほしい、というのが、僕として設定したこの日の授業の“めあて”でした。
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 Stop Motion Studioを、iPadにインストールしておき、各グループに配布しておき、授業を始めました。

Stop Motion Studio

Stop Motion Studio

  • CATEATER, LLC
  • 写真/ビデオ
  • 無料

 先生と打ち合わせをしておき、作っておいた進行案は以下のようなものでした。

  • 準備
    • iPad(グループに1台ずつ)+先生説明用機 1台
    • Apple TV
    • ホワイトボード(グループに1枚ずつ)
  • 進行案
    1. オープニング(5分)
    2. コマ撮りアニメーション説明(10分)
      • 先生にカメラを向けて、ちょっと動きをつけてもらって、教室のモニターで説明します。
      • 「パラパラ漫画じゃね?」みたいなことを言う児童もいるので、「そうそう!それを写真でやるの!」と答える。
      • 「どんなことがやれそうかな?」と考えてもらい、簡単な操作だけ教えて、実践へ。
    3. グループにて撮影練習(8分)
      • 自分たちが被写体になるのもOKだし、ホワイトボードに絵を描くのもOK。黒板も使えそう、とどんどん広げていく。
    4. 練習でつくったものの発表会(7分)
      • できるだけバラエティ豊かになるように、できた作品を見せてもらう。
      • 一切の否定をしない、とにかく褒めて、みんながワハハと笑うような感じに。
    5. 課題発表→作戦会議(15分)
      • 「では、いよいよ本番」と発表した課題は、「卒業前に上演する劇のオープニングムービーを作ろう」。
      • 作戦会議をして、だいたいのことを決めたら、休み時間に。
    6. 休み時間(5分)
    7. 撮影タイム(25分)
      • どこで撮影してもOKとしていたので、グループごとにバラバラに。
      • ワイワイと楽しく撮影。
      • グループ内でさまざまな役割が発生するのをOKとする。アイデアだけを出す人がいてもOK。
    8. 作品共有会(10分)
      • 全グループの作品を発表してもらう。
      • ここでも一切の否定をしない。とにかく褒める。
    9. ふりかえり(10分)

 というような感じの授業をしました。実際に授業をして、自分なりに感じたことを書きたいと思います。

  • 動画リテラシーが高い!
    子どもたちは、とにかくたくさんの動画を見ています。それはEテレでの映像、YouTuberの作った映像、さまざまなものを見てきています。だから、アイデアが本当におもしろいです。個人的には、黒板に書いてある棒人間が、黒板から抜け出してきたみたいにリアル子どもになる映像とか、防災頭巾に正座したまま、学校内を歩き回る映像とか、おもしろいなあ、と思いました。
  • グループ活動は凸凹でもいいと思う
    グループで撮影をすると、突飛なアイデアを出して、そのアイデアを他のメンバーが一生懸命実現している、というグループがあります。今回は、これもOKにしました。一見何もしていないけど、アイデアは出しているし、きちんとグループにコミットしていると思ったからです。演じている人だけでなく、アイデアを出す人、指示を出す人、それぞれが自分の性格や得意な部分に合わせて、役割分担をしてくれたらいいな、と思いました。
  • 一人でやっている子がいたら、それもOKにしました
    ものをつくり始めたら、凝ってしまって一人でどこまでだってやってみたい、という人もいると思います。幸い、たくさんのiPadがあったので、グループでの活動をしつつ、自分ひとりでの作品を作っている子もOKにして、最後に発表もしてもらいました。すごく個性的で、他のグループのどれとも似ていないのができていて、こうした作品をみんなに見せてあげられてよかったな、と思いました。
  • AirPlayなんて、楽勝でできるようになる
    作品発表会のところは、AirPlayでモニターに飛ばしてみんなで見ました。各グループがすんなりできるわけではないですが、どんどん周りの児童が教えてくれたりするので、簡単にできるようになります。「画面の右上、シュッてやると出てくるから、画面ミラーリングを押す!」みたいな説明でもできるようになります。

 残念ながら、このときにみんなが作ったオープニングムービーは、学校が休校になってしまったために、お蔵入りしてしまいました。とてもとても残念だな、と思っていたのですが、最近、このときにコマどりアニメを作った子たちが、休校期間の暇を持て余してか、中学生になって買ってもらったスマホでか、作品を作ってくれているようです。いくつか見ることができたのですが、おもしろかったです。
 「ものをつくる」楽しさを、子どもたちの中に、少しでも残すことができたのだとすれば、よかったなあ、と思っています。

 Stop Motion Studio、無料ですけどけっこういろいろできるので、休校期間にみんないろいろ作って、先生たちとやりとりしたりとかもできたらおもしろいのにな、と思っています。

(為田)