11月26日に、近未来教育フォーラム2015に参加してきました。今回はサブタイトルが「Powered by AI ~人工知能がドライブする人間社会~」です。基調講演は、ソフトバンク社およびソフトバンクロボティクス社の首席エヴァンジェリストの中山五輪男氏が登壇。テーマは「ロボットと人工知能が創り出す第4次産業革命」でした。
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基調講演後に、講演をされた中山さんとデジハリの杉山学長との対談が行なわれました。短い時間だったのですが、密度が濃く、さまざまなトピックを聞くことができました。それこそ、SFCの情報の入試とか、こういう問題についてのレポートとかを書かせればいいと思う。
以下、対談のメモを公開します。書きなぐりメモをもとに再構成したので、勘違いなどもあるかもしれません。もしお気づきになられたら、お知らせいただければと思います。
基調講演のなかで、中山さんが紹介されていた、PepperとWatsonの話からです。たしかに、ここ数年のこの領域の進み方は、本当に速いと感じます。研究者の方々は、きっともっと先の技術を見ていらっしゃるのでしょうね…。
- 多くの企業がPepperの利活用に取り組んでいるということがわかると思う。デジタルで積み上げてきたことが、コンピュータが十分に速くなったことで、一気に実用化してきていると思う。「実用になる」というのを超えたので、すごく速く感じる。それで、一度ここ(近未来教育フォーラム)でテーマにしようと思った。(杉山学長)
- 人工知能と我々が接するところの入口として、ロボットを持ってくるのがおもしろいと思う。人工知能のIN OUTをロボットがすることで、受け入れやすい。スマートフォンでやるよりも感動する。(杉山学長)
- 実際に人間と会話しているような錯覚に陥ってくる。(中山さん)
- 人工知能はいくつものタイプがあって、これまでで言うとエキスパート型だと思う。(杉山学長)
- いや、まだそこまでも行っていない。まだ、家庭でどんなふうに使われているか、どんなアプリで遊ばれているか、という情報くらい。でも、あるアプリを楽しんでいる家庭が多いなら、そのアプリを他の家庭にいるPepperにも教えていこう、そしてその家族を幸せにしようという段階。育てている。(中山さん)
- 大量に猫を見せていくと、Watsonは人間が定義しなくても、これが猫だと定義をする、というのがブレイクスルー(2013年くらいから来た)(杉山学長)
- Watsonの処理能力はすごい。(中山さん)
- 中小企業で買える金額ではない。(中山さん)
- でも、コンピュータだってそうでしたからね。(杉山学長)
まだまだWatsonは中小企業で買える金額ではない、ということでしたが、杉山先生がおっしゃった「コンピュータだってそうでしたからね」というのは、たしかにそのとおりですよね。
そして、どんな部分から受け入れられるでしょう?という質問へと続いていきます。
- これから、日本の社会のどの部分から受け入れられる?(杉山学長)
- プロフェッショナルとビギナーと2極化するのではないか?アメリカで、人工知能につながった子ども向けのロボットも出ている。一方で、何でも答えられるスーパーロボットも出てくる。(中山さん)
- スマートフォンがインターフェースになるとすれば、さまざまな情報がやりとりできるようになる。行政が住民サービスに使っていけばいい。(杉山学長)
- 「行政&情報システム」という雑誌に寄稿した。行政の人も気がついている。(中山さん)
- 行政なら、大きい金額も用意できるし。(杉山学長)
- ソフトバンクの映像を見ても、「これから仕事はどうなる?」と思ってしまう。(杉山学長)
- 無能な営業部長などは、淘汰されて、いなくなると思う。PowerPointのページを組み替えてくれる、というのも将来的にはあると思う。(中山さん)
- 大学で若い人を育てているので、心配。(杉山学長)
- 人工知能を使いこなせる人材を育ててほしい。また、デザインなど人工知能でできなさそうなところもできるようになってくるかも。(中山さん)
たしかに、学校はこうした人工知能が社会にどんどん出てきて、一緒に働く状況を想定して、そこで活躍できる人材を出していかなくてはなりませんね。
Pepper、Watson、そうしたものを繋いでいく孫正義さんについてのコメントもありました。
コンピュータがどんどん速くなっていったときに、人工知能がどんどん賢くなっていったときに、どんなことが起こるのか、ということについても話が出ました。
- コンピュータは、天才が集まってもできないこと、思いつかないことを、やってしまうかもしれない。ディープラーニングの研究はそこまで行き着いている気がする。「なんでそうなるかわからないもの」ができるようになる?(杉山学長)
- 急に人間に背く、ということはできないだろうか、というのは訊かれる。自己防衛機能がPepperにはついているが、それも悪い人間が変えてしまえばできるようになる。ハッキングの問題はずっとつきまとう。(中山さん)
- 自動運転の話も、高速道路ですぐ実用化できると思うが、そのときも外からのハッキングの問題はつきまとう。大手はどう取り組んでいくのだろう、と思う。(杉山学長)
- 自動車が目の前の4人を轢き殺しそうな状況になったときに、ハンドルを切って壁に衝突し、運転手を1名を殺して4人を守るのか。それとも、運転手1名を守って4人を轢き殺すのか。どちらを人工知能は選ぶのか、と伊藤穰一さんがいつも言う話もある。答えはないから、「うーん」となる。(杉山学長)
- もっと学者が考えなければならない。来年「ロボット倫理学会」も立ち上がる。どこかで、つまらないことで、排斥運動などが起きて(起きてもいいと思うけれども)、というのもあると思います。エバンジェリストとして、そうした課題に取り組む必要はあるでしょうね(杉山学長)
- 悪いところは探せば出てくる、ここでみんなが良い方向に使う、というのに注力する。それがPepperが売れている状況なのだろう。オリンピックの時には、いたるところにPepperがいるだろう。(杉山学長)
- ドローンも同じ状況ですね。飛行禁止区域とか。ハッキングの問題とかも。(中山さん)
- 開発力があるところは、中も作ることができる。(杉山学長)
- 日本はロボットを受け入れられる国民性。鉄腕アトムがよかった。ドラえもんもあって。ぜひ、ソフトバンクと中山さんに盛り上げていってほしい。(杉山学長)
あっという間に対談は終了。トピックごとに考えてみたいな、と思うことがたくさんありました。年末年始は人工知能について、じっくり考えようか…。
(為田)