2016年11月25日に、京都教育大学附属桃山小学校の教育実践研究発表会に参加しました。テーマは、「誰でも指導できるメディア・コミュニケーション科を目指して ~教科としての質を高め、普遍的に指導することができるように~」でした。
京都教育大学附属桃山小学校では、豊かな社会力の基本となる人と関わる力の育成を目指して、メディアを選択活用し、自分の思いや考えを伝えあうことができる力を向上させるための教育課程として、新教科「メディア・コミュニケーション科」の開発を行っています。2016年度は、国立教育政策研究所教育課程特例校としての研究の第1期の2年目となるそうです。
最初の全体会において、木村明憲先生が、「相手を意識して主体的に情報を活用しようとする子の育成 ~誰もが指導できるメディア・コミュニケーション科をめざして~」と題して講演を行いました。
この中で、最初に「メディア・コミュニケーション科の基本方針として、以下の3つが紹介されていました。
- 21世紀型情報活用能力の育成
- 「メディア」と「コミュニケーション」を一体とした指導
- 課題解決を主体とした指導
「何を伝えるのか」「どうやって伝えるのか」の前提として、まず相手を意識することがコミュニケーションの根本であることが説明されました。「相手を意識して、主体的に情報発信する子」となるように育てることが伝えられました。
こうした目標が設定されているので、「誰でも指導できること」を目指していて、重点施策として3つのことを行ってきたことが説明されました。
- メディア・コミュニケーション科 教科書(案)作成
- 他教科とつながりを図るMCカード
- 課題解決的な学習を円滑に進めるタブレットPCの導入
「誰でも指導できること」というのは、カリキュラムマネジメントにおいて、非常に大きな要素です。一人の先生が上手にできても、他の先生に教えられない、他の学校では効果がない、というのでは、カリキュラムとしての汎用性がなくなってしまい、結果的に広がっていくことはありません。
メディアからいかに情報を得るか、そしてメディアを通じてどのように情報を伝えるか、そうした力は、これからの時代を生きる子どもたちにとっては本当に大切です。
公開授業の後に、京都教育大学連合教職大学院の浅井和行 教授が講演を行い、教科「メディア・コミュニケーション」の特長について説明してくださいました。
- 「メディア・コミュニケーション」の特長(児童)
- 「メディアによる学習」から「メディアについての学習」へ
- 相手意識
- 受け手・送り手の批判的思考
- メディア特性を理解して適切につきあう
- 「メディア・コミュニケーション」の特長(教員)
- 現代の子どもたちの実態の分析から
- 新教科として学習指導要領試案・カリキュラムの開発(6年間で系統的に)
- メディアに特化(教科との棲み分け)
- メディア・リテラシーの育成
- 研究者・OB教員・現役教員との協議
「メディア」は情報を伝達する媒体すべてとなります。メディア形態については、メディア・コミュニケーション科では、10年後に必要になるであろう力を想定しているそうです。学校は、そこで学んでいる子どもたちが社会に出た後に必要な力を身につけていくところであり、そこで教えられているカリキュラムについては、将来を見越して「必要になるであろう力/スキル」が内包されている必要があると思います。
そのうえで、必要となるであろうメディア形態のそれぞれを使うように、学習内容が設計されていました。
次回は、公開授業の様子をレポートします。
No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)