『もういちど読む山川世界史』を読みました。日本史も世界史の授業もとても好きだった記憶があるのですが、20年以上たって読み返してみると、こんなに記述を端折っていましたっけ?とびっくりしました。
世界史の教科書、紙ではいろいろ限界があるのではないかな、と思いました。デジタルでパワーアップができるといいな、と思って「こういうふうなものも世界史の授業で使えればいいのに…」というのを書きました(世界史の学習者用デジタル教科書で、すでに実現できているものもあるのかもしれません)。
記述をより分厚くできないだろうか?
例えば、1929年の世界恐慌のところの説明は以下のような文章です。
1920年代なかば、アメリカはかつてない経済の繁栄をほこっていたが、それはやがて過剰生産と異常な投機熱をもたらし、29年秋にはニューヨーク株式市場の大暴落から大恐慌におちいった。その影響はたちまち他国に広がり、世界経済を大混乱におとしいれた(世界恐慌)。資本主義諸国はきそって輸入制限・関税引上げ・経済ブロックの形成などの手段をとって恐慌からのがれようとしたので、国際協調と安定の時代はおわった。
これだけの記述では、「教科として世界史が好き」という生徒はわかるだろうけれど、そうでない生徒には厳しいだろうな、と思いました。思い返してみれば、世界史の授業は先生方が作った自作プリントに穴埋め形式で、教科書はあまりメインで使っていなかったような記憶もあります。
教科書の記述が簡潔にまとまっているのは、ページ数的な制限も大きいと思うので、デジタルコンテンツにすればもう少し詳細に文章を書く事ができるのではないかと思います。
さらに、デジタルであれば、一つひとつの語句をタップしたらその言葉の説明が表示されるようにしたり、そもそも前の時代にどんなことが起きていたかを書いてあるページへ簡単に戻ることができたり、図録や資料集的な役割と合わせたり、という情報へのナビゲーションを高めるだけで、世界史の授業は変わるのではないかな、と思いました。
学習者用デジタル教科書が、“現状の教科書本文+先生方がいま作っているプリントによる整理された情報+図版”というふうになれば、理解度は上がるのではないかな、と思います。
図版はネットと組み合わせればよりおもしろくなりそう
また、世界史の授業では図版なども一緒に使います。1つの建物や遺跡や作品について、1枚の写真というのが普通だと思いますが、ネットで検索をかければ、さまざまな教材を生徒に見せることができます。
例えば、Googleでローマのコロッセウムを検索して、写真を見てみれば、コロッセウムの内部を360°見ることができたりもします。
ピサ大聖堂も、斜塔だけでなくその周辺も見ることができます。
また、Googleマップで検索をして、航空写真モードにしてみても、教科書や図版とはまた違う教材として使うことができます。例えば、マチュ・ピチュで検索してみて、航空写真モードにして角度をつけることで、マチュ・ピチュが高いところにある様子などを実感として見ることができると思います。
紙の教科書での整然としたまとめにプラスして、学習者用デジタル教科書やインターネット上のコンテンツを簡単に組み合わせることで、世界史の授業をわかりやすくするために先生方がしてくれている授業準備を軽減することができるのではないかな、と、『もういちど読む山川世界史』を読んで思いました。