教育ICTリサーチ ブログ

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愛光中学校・高等学校 訪問レポート(2021年12月16日)

 2021年12月16日に、愛光中学校・高等学校の和田誠 先生を訪問させていただきました。和田先生はGoogle認定トレーナー / イノベーターであり、ロイロ授業デザイントレーナーでもあり、愛光中学校・高等学校ではGoogleクラスルームとロイロノート・スクールをよく使っているそうです。
 今回はスケジュールの関係で授業を参観させていただくことができなかったのですが、今秋完成した新校舎を見学させていただき、和田先生からいろいろなお話を伺いました。

 2021年度の2学期から生徒たちが学んでいる新校舎は、中学生が学ぶ棟と高校生が学ぶ棟とが円形に重なるように配置されていて、中心に職員室があります。円形の校舎をずっと歩いていっても、中庭を通っていっても、職員室へ行くことができます。職員室もガラス張りで開放的でかつ広いスペースがあります。
 先生方と生徒たちがコミュニケーションをするスペースも用意されていました。愛光中学校では一人1台のiPad愛光高等学校では一人1台のChromebookを活用しているそうですが、自分の端末をもってきて先生と話をしたり、ということもできそうなスペースだと感じました。ICTを一人1台持つことでオンラインのコミュニケーション量は増えていくのだと思いますが、それだけでなくリアルでのコミュニケーションの場を作る工夫もされていると感じました。
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 校舎から出る扉の前に置いてあるマットには校舎の地図が描かれていて、現在地が赤く塗られていて、いまどこにいるかがわかるようになっています。
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 教室のボードにも、同じデザインが掲げられていました。こうしたデザインに日常的に触れられることはいいことだと思います。
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 広めの教室で、Googleクラスルームやロイロノート・スクールなどICTをすぐに使えるように、すべての教室はホワイトボードで、天井にプロジェクタが設置されていました。また、机の引き出し部分に高さがあって、iPadChromebookを少ししまっておくこともできそうだと感じました。
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 愛光中学校・高等学校では、授業での活用だけでなく、校務にもICTを活用しています。2年前にBLENDを導入して保護者との連絡を行っているそうです。
blend.school

 例えば、出欠管理については、保護者がBLENDで連絡をして担任の先生が承認すれば、日々の学級ごとの出欠人数のデータとして入るだけでなく、月間・年間の出欠記録にも自動的に入るようになっています。先生は職員室の黒板に書かれている出欠人数の表を見なくても、手元の端末でいつでも見ることができます。
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 また、学校にいる間の生徒の保健管理もBLEND上で行っています。保健室に来た生徒の情報は養護の先生がBLENDに記録してくれることで、先生方に共有されるようになっています。今までだったら、紙のメモを回していた情報ですが、デジタルで情報共有がされれば、いつでも先生は生徒の情報を確認できるようになります。
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 定期試験などの成績管理もBLENDで行っています。愛光中学校・高等学校は、1300人の生徒のうち、寮生が400人ほどとのことで、保護者との連絡も以前は郵送していたそうですが、これをデジタルで直接保護者が見られるようになっています。

 ICTはまず授業で使っていきたい、という先生方もいらっしゃいますが、校務でのICT活用は先生方の事務作業の負担を軽減できる部分が大きいので、こうした導入事例も増えていけばいいと思っています。

 こうしてICTの活用が進められている反面、廊下には鉱物の標本棚がいくつも並んでいました。こうした実物ももちろん大切な学びのきっかけになりえると思います。アナログとデジタル、今までの教育とこれからの教育のハイブリッドを、それぞれの学校文化に合わせて行っていくことが大切なのだと感じさせられました。
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 和田先生は、愛光中学校・高等学校でのICT活用についても活躍をされていますが、精力的に学外での活動もされています*1。和田先生は、「Googleの20%ルールのように、学外での活動をする時間をとるようにしている」とおっしゃっていました。それが、Google認定イノベーターGEG Matsuyamaなどの活動、2021年12月に発売された書籍『教師のこんなことしたい!を実現できる ICT“超かんたん”スキル』の執筆などに繋がっています。また、和田先生のように学外と繋がる仕事をされている先生がいらっしゃるからこそ、僕たちも学校の様子を伺うこともできるし、学校のため、先生のため、子どもたちのために、どんな活動をすればいいのかを考えることもできると思います。

 また愛光中学校・高等学校を訪問させていただき、今度は授業も参観をさせていただこうと思っています。和田先生、このような機会をいただきましてどうもありがとうございました。

(為田)