教育ICTリサーチ ブログ

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書籍ご紹介:自信をもてる子が育つ こども哲学 “考える力”を自然に引き出す

 NPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ代表理事の川辺洋平さんからお送りいただいた、ご著書『自信をもてる子が育つ こども哲学 “考える力”を自然に引き出す』を読みました。

 以前に川辺さんのファシリテーションされたディスカッションに出たこともあり、人柄を知っているだけに、川辺さんの体験談、そして子どもと哲学をしている方々との対話は、子どもの話を傾聴すること、子どもと一緒に正解のないことをじっくり考える時間をとることの大切さを考えさせられる内容でした。

 本のなかで紹介されている、「NPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダで紹介している5つのルール」は、いま自分が関わっているセサミストリート・カリキュラムや、先日埼玉県戸田市で行った道徳の時間(レポート準備中!)など、学校の教室で教えるときに実践したいなと思っていることでした。

  • ひとが話しているときはきく
  • 相手が考えているときは待つ
  • 自分の思ったことを言う
  • ひとの嫌がることをしない
  • 何も言わなくてもいい

 この5つのルールを実践することによって、

こうしたルールを守ることで、「ちゃんと聞いてもらえる」「ゆっくり考えても待ってもらえる」「何を言っても怒られない」「ひどいことをされない」「何も言わなくても怒られない」という安心感を得ることができ、考えることの楽しさを感じられるようになります。(p.15)

 と、川辺さんは書いています。

 また、対談のなかで何度かテーマに出てくるのは、子どもと哲学すること(対話すること)によって、大人としての自分・親としての自分が変わってきた、という話です。この感覚は非常に重要なのではないかと思います。多くの保護者の方に読んでもらいたい本です。

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 人数が多い学校の教室で「ゆっくり考えても待つ」ということや、全員の話を聴くというのはなかなか大変でもありますので、それを実現するためにICTを活用されている先生方もいらっしゃいます。6月に成城学園の合同研究会に講師で来ていただいた、奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広先生は、「全員の意見がしりたい、手を挙げない子の意見も!」「グループ間の意見共有もすぐにしたい!意見をつくる過程も知りたい。」という目的意識で、ednityを使っての授業実践を紹介してくださいました(こちらもレポート準備中です)。
 こども哲学についての本でもありますが、学び方の基礎を習得すべき初等・中等教育の授業設計を考える参考にもなる本だと思います。
blog.ict-in-education.jp

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 川辺さんのされているこども哲学・おとな哲学アーダコーダの活動の様子は、YouTubeでも見ることができます。

こども哲学〜アーダコーダのじかん〜

(為田)