教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

第2回学力向上セミナーin宝江小(ICT研修会)レポート(2018年12月5日)

 2018年12月5日午後に宮城県登米市立宝江小学校で行われた「学力向上セミナー」を取材させていただきました。
 対象は登米市内の小中学校の先生方で、宝江小学校以外からも15名ほどの先生が参加されていました。また、企業からは、株式会社NTTドコモ東北支社などから参加者がありました。

 宝江小学校の校内研究である体育科の授業でのICT活用を参観した後、事後検討会(授業者自評+ワークショップ)と東北学院大学文学部教授の稲垣忠先生による講話という構成で行われました。
 なお、宝江小学校は、東北学院大学稲垣研究室が行う研究フィールドの一つとして、「体育実技スキルアップ支援ソフト(東京書籍株式会社発行)」を利用できる環境になっていました。
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 本時の授業内容は「体育館でのスモールサッカー(対象は6年生21名)」でした。準備運動やトレーニングゲーム(授業内容に合った動きを中心に練習する)のあと「自分のチームや相手のチームの特徴に応じた作戦を立ててゲームをしよう」という本時のめあてを確認していました。
 4チームに分かれているので「2チームは体を動かして練習、もう2チームは作戦会議」を交互に行っていました。これまでの学習の積み重ねである作戦カードを使って、自分の動きや役割を確認していました。
 その後、ゲームとなりました。ゲームを行わない2チームは審判係になるのですが、係として「そのチーム目線でゲームの様子を録画する担当者」がいて、タブレットを活用していました。
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 3分間3試合が終わった後の、次のゲームに向けて作戦を練る時間(サポートタイム)に録画された動画を見ながら作戦の練り直しをするのですが、ここでもう1台のタブレットを利用していました。そのタブレットには、いわゆる作戦盤が表示されていて、デジタルでサッカーのコートに自由にマーキングして動きを確認することができるようになっていました。
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 動画で自分たちの動きの良し悪しを確認し、作戦盤を使って次のゲームへの対策を立てるなんて、まるで高校の部活動のような感じを受けました。

 事後検討会では、宝江小学校の校内研究の視点に沿ってワークショップ形式で行われました。体育の授業そのものの構成や内容に関する手立ての成果と課題、チームに2台のタブレットを使わせた良さなど、各班では活発に議論されていました。
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 講話では、稲垣先生から「深い学びにきっと役立つICT」と題して、学習指導要領や体育科の見方・考え方の確認や事例紹介、本時の授業の価値付けなどがなされました。稲垣先生はこれまでも宝江小学校の校内研究の理論的な側面を継続的に支援されており、主体的な学び、対話的な学びとICT活用についてもご講話されているとのことでした。
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 稲垣先生の講話の最後には、ワークショップの班ごとに“自分の今年の授業の中で「深い学びだったなぁ」と特に思う実践”を出し合って、「そこに子どもたちがICTを使って何ができたらモアベターか」を話し合い、アイデアを共有しました。各班から算数科、図工科、総合、学活、社会科の実践が紹介されました。参加された先生方は、多様な実践に触れながら、子どもたちがICTを活用しながらどんな力をつけていくことが求められているのか、真剣に考えていました。
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 宮城県内の公立学校でも、他校や他校種の先生方に声がけをしてこれからの授業のあり方を模索しています。全国のさまざまな先導的な成功事例ばかりでなく、現場の実態に応じた試行錯誤を価値づけした、地に足のついた実践を応援していきたいと思います。

(佐藤)