教育ICTリサーチ ブログ

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さとえ学園小学校 授業レポート No.4(2019年11月21日)

 2019年11月21日に、さとえ学園小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。さとえ学園小学校では、2018年から一人1台のiPadセルラーモデル)環境を実現し、学校生活のあらゆる場面で活用しています。

 プログラミングや水族館でのプロジェクト以外にも、さとえ学園小学校の子どもたちは、一人1台のiPadをさまざまな場面で使っています。「良くないiPadの使い方をする子もいるのではないですか?」と山中先生に質問をすると、「いますよ、たくさん(^^)。何もしなければiPadは最高の遊び道具ですからね。私はホワイトハッカーを育てたい。そのためには多少の悪さも必要。でも悪さは悪いこととして指導します。悪さをする子たちは好奇心旺盛で、悪さではなく、人の役に立つことを見つけるようにお願いするとおもしろい活用も見つけてくれます。iPadは自己コントロール力を身につけるために役に立ちます。だからこそ一人1台、一人ひとりが誘惑にたまに負けたりしながらも、自分をコントロールすることを小さい頃から学んでもらうために必要なんです」と答えてくれました。
 ただ、さとえ学園小学校では、「どんな使い方をしてもいいです」と手放しで使わせているわけではありません。きちんとした使い方ができるように、システムを作っています。
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レベルアップ制度

 さとえ学園小学校の子どもたちのタブレットを見てみると、壁紙のデザインが統一されていて、ブルーやゴールドなどのようにカラーリングされていることがわかります。
 これは、さとえ学園小学校オリジナルのレベルアップ制度での、その子たちのレベルを示しています。例えば、「ブルー以上は、AirDropなどの便利な機能が使える」というふうに設定されているのです。
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 基本は、グリーン→ブルー→ゴールドの3つのレベルになっています。ゴールドはさとえ学園小学校全校でも、5人しかいないそうで、6年生3人、4年生1人、3年生1人という内訳だそうです(2019年11月21日現在)。
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 それぞれのレベルによって、できることとできないことが決まっています。以下がその表です。
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 2019年10月末から、この下に、イエローとレッドが作られたそうです。イエローだと、「学校外(時間制限をかける):宿題と連絡のみで活用するアプリのみ可能」、レッドだと「ずっと:宿題と連絡のみで活用するアプリのみ可能」となっているそうです。

 このレベルアップ型ルールは、保護者の方も含めた学校全体で共有されています。Evernote上に共有事項がアップされていますので、保護者も含めて、みんなで正しくiPadを活用していけるように環境を作っていることがわかります。
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 よくない行いがあったりするときには、随時レベルダウンが行われるそうです。一方で、レベルアップのためには、決められているスキル&モラルチェックテストで合格し、さらに先生のチェックも受けなければなりません。
 こうしたレベルアップ制度を整備したのも、山中先生が言う「システムづくり」なのだと思います。

オープンソースにしてより広範囲でのアップデートへ

 山中先生は、こうしてさとえ学園小学校で作ったシステムを、オープンソースで進化させることを考えているそうです。さとえ学園小学校で使っているシステムやアプリは、GoogleEvernoteなど、無料で使えるものです。山中先生は、「公立学校でも使えることを意識して、ICTについては、どこの学校でもできることをやろうと思っている」と言います。

 今回紹介したレベルアップ制度などだけでなく、学校で作っている同意書など必要な文書やガイドラインなども公開する方向で考えているそうです。
 どのようにiPadを一人1台使うのか、というノウハウを公開して、それを他の学校も含めた教育現場へフィードバックしていく、その仕事の仕方それ自体が、非常にデジタルだと感じます。
 「意識改革ではだめで、システムを作っていく」という山中先生らしい手段だなと感じます。

 興味がある方は、ぜひさとえ学園小学校までアクセスしてみていただければと思います。

(為田)