教育ICTリサーチ ブログ

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仙台市立広瀬中学校 授業レポート No.3(2020年2月21日)

 2020年2月21日に、仙台市立広瀬中学校を訪問し、山口菜美子先生が担当される、1年生の英語の授業を見学させていただきました。授業の最初に、山口先生の"Please open your Loilo Note School.”という言葉から、iPadを使った英語の授業が始まりました。

 山口先生は、ロイロノート・スクールを使って問題の出題・回答・提出・レビューをスムーズに送っていきます。最初に山口先生が画面に提示したのは、"What season do you like?"という質問でした。
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 生徒たちは2人で1台のiPadを利用して、この質問に手元のロイロノート・スクールで"I like winter. How about you?"のように回答して、提出します。キーボードを使って英文を書いている生徒も、手書きで英文を書いている生徒もいます。
 ロイロノート・スクールを活用しない授業であれば、指名された生徒だけが答えますが、山口先生の授業では提出された英文をみんなで見ることができます。山口先生の問いはオープンクエスチョンなので、答え方も一つの正解があるものではありません。クラス全体から出た答えを一覧で見ると、多様な答えを見ることができるのもいいと思いました。
 また、オープンクエスチョンに答えるだけでなく、その後に“How about you?”と書いてある生徒が多かったのですが、これは生徒たちが「会話が続くように」書いているからです。会話の練習としての役割をもっている活動だと思いました。
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 問う内容を変えながら、さまざまな問題を山口先生は出していきます。先生から、文法的な間違いが含まれている英文が書かれたカードを生徒全員に送って、それを訂正してもらうという活動もしていました。
 また、デジタル教科書でストーリーを共有することもしていました。デジタル教科書を使うことで、教科書本文をわざわざ黒板に書かなくてもよくなっています。ストーリーの音声を再生しながら、手元のロイロノートにバラバラに配置されている英文を、読み上げられる英文に合わせて並べ替えるということをしていました。
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 今回見学させていただいた山口先生の授業では、現状は2人で1台のiPadを活用していますが、すぐにでも1人1台環境にしても同様にできると思います。キーボード入力と手書き入力で生徒たちは回答を書いていましたが、これに加えて、音声入力をOKにしてもおもしろそうだと思いました。
 また、ロイロノート・スクールを活用した英語の実践では、英文を読み上げる宿題を録音して提出してもらうことをしている学校もあります。ロイロノート・スクールを使わなくても、iPadのメモ帳に音声認識機能で入力する課題やSiriを英語で操作する、ということも、英語を認識してもらえるようにがんばって練習することに繋がります。こうした練習方法は、生徒の「やってみよう!」というマインドセットが大切になるので、山口先生にモチベーションを上げてもらいながら、そうした練習にICTを活用していく授業というのも、ありえる授業の形になりそうだな、と感じました。

 こうした新しい試みに発展させていく土台が、すでに広瀬中学校にはあるように思いました。生徒たちがiPadに慣れていれば、どんどん新しい使い方に取り組むことができます。社会・技術・英語と、それぞれに違ったiPadの活用方法を見ることができた一日になりました。

(為田)