教育ICTリサーチ ブログ

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休校×ICTでやれたこと No.15 「一人1台のLTEモデルiPad+特別時間割でオンライン授業」(静岡サレジオ小学校)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2020年3月2日から始まった休校措置は、新年度になっても継続しています。休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を「休校×ICTでやれたこと」として紹介していきます。

 今回は、静岡サレジオ小学校の山本雄登 先生からいただいた実践で、「一人1台のLTEモデルiPad+特別時間割でオンライン授業」です。

Q1:どんなふうに使っているかを具体的に教えて下さい。

 静岡サレジオ小学校では、iPadLTEモデル)、Zoom、ロイロノート・スクールを活用し、特別時間割を組んでオンライン授業を行っているそうです。

山本先生:本校では2020年4月より、全児童にLTEモデルのiPadを配布し、Zoomとロイロノート・スクールを併用してオンライン授業を行っております。

Zoomで先生と子どもたちの顔と声を繋ぎ、ロイロノートの「提出」や「回答共有」機能を活用してオンライン授業でも双方向型の授業ができるように工夫しています。
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元々4月スタートの予定でiPad導入計画を進めておりましたが、導入が間に合って本当に良かったと思っております。
3月の臨時休校ではまだ端末がなかったので学習プリントを印刷して対応しましたが、この度ICT環境が整ったので「オンライン授業」という形で学習のフォローができるようになりました。

オンライン授業は、Zoomで朝の会を行った後、30分の授業を午前中に3時間(3コマ)行っています。特別時間割を組み、1年生〜6年生の全18クラス・全教科で実施しています。
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このように業間を30分設けています。これだけ時間に余裕をもっておくと、授業が終わった後に、例えば、算数の計算問題が時間内に終えられなかった子や「もう一度教えてほしい」という子だけをZoomに残して個別対応することができます。
子どもたちの目や耳を休めさせる点でも休憩は大切ですし、先生たちも落ち着いて次の授業を始められるという点でも効果的です。

午後の時間は、家庭学習となっており、児童は午前中の授業の続きや個別の課題に取り組みます。教員は児童がロイロノートで提出した提出物を添削したり、次の日の授業準備をするようにしています。
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音読を録音して提出させたものを、教員がチェックして返却しているところ。

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授業がスムーズに進行するように、事前の機器の動作確認は欠かせません

iPadの納品とほぼ同時に4月中の休校が決まったので、まさに「ゼロからのスタート」といった感じでした。それまでiPadを触ったことのない大人や子どもが何人もいました。
したがって、オンラインで授業をするなど全くの未知の領域でしたが、この非常事態を乗り切るべく、教職員一丸となって毎日頑張っています。オンライン授業に取り組み出した1週間で、ICTスキルが飛躍的に向上した先生が何人もいます。「PDF、画面共有、チャット」など、職員室で飛び交う言葉も変わりました。

 特別時間割があることで、家庭学習がやりやすいというケースはあると思います。また、どのような時間割を組むのかというのも、学校の考え方が出るところだと感じました。先生方も、授業をやりながら、どんどん新しいスキルを習得していき、より良い授業づくりを目指している様子が伝わってきます。

Q2:「もっとこうであればよかった」ということがもしあれば教えて下さい。

 「もっとこうであればよかった」というふりかえりを、山本先生は以下のように書いてくれました。

山本先生:前述の通り、いきなりiPadを渡してスタートする形になってしまったため、学校で使い方のトレーニングなどがまったくできませんでした。
これまでに積み重ねがあって、子どもたちのICTスキルやリテラシーをもっと育てることができていれば、Googleの機能などももっと駆使してより豊かなオンライン学習を提供することができていたかもしれません。

また、本校のiPadLTEモデルですが、このように毎日Zoomに繋ぐ状況ですと、Wi-Fiの利用は必須です。Wi-Fi環境が家にまだないというご家庭も一部あり、今後オンライン授業を続けていく上での課題となっています。

 今回、いきなりの休校になったため、使い方のトレーニングなどをおこなっていないなかでの対応になってしまったのは、やはり大変だとのことでした。家庭のICT環境への対応も求められるので、事前調査をしておく必要がありそうです。

まとめ

 最後に、山本先生から以下のようなコメントをいただきました。

山本先生:子どもたちにアンケートで「オンライン授業を受けてみてどうでしたか?」と聞いたところ、「いつも通り朝、友達や先生に会えるので楽しい」「今は学校に行けないけれど、ちゃんと授業が受けれるので悪くない」「普段の授業とあまり変わらないなと思った」「楽しい」などのコメントをもらいました。
このような非常事態の下でも、自分の学校の先生が教えてくれる安心感とクラスメイトに会える楽しみがオンライン授業の良さだと感じました。

オンライン授業開始からもうすぐ1週間が経とうとしています。先生や子どもたちも少しずつ慣れてきました。同時に、単調な授業で子どもたちを飽きさせないような工夫が必要です。オンライン授業の“質”を考える次のフェーズに入ったと思います。

 「友達や先生に会えるのがうれしい」という子どもたちからのアンケートの回答はうれしいですね。学校がどういった場であるべきなのか、そのためにICTで何ができるのか、ということを考えていくことが重要だと思います。

 静岡サレジオ小学校のオンライン授業の様子は、静岡新聞でも取り上げられていました。
www.at-s.com

 山本先生、ありがとうございました。


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 実践紹介と共に、「もっとこうであればよかった」も合わせてまとめておけば、GIGAスクール構想後の学校に役立つ知見になると思います。引き続き、フォームからの投稿を受け付けていますので、どうぞよろしくお願いします!

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(為田)