教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

『学校アップデート ―― 情報化に対応した整備のための手引き』読書感想文大会 No.2

 東北大学の堀田龍也 先生と東北学院大学の稲垣忠 先生と宮城教育大学の安藤明伸 先生とご一緒させていただき、弊社フューチャーインスティテュートの為田と佐藤が執筆した書籍『学校アップデート ―― 情報化に対応した整備のための手引き』が2020年4月30日に発売されました。
f:id:ict_in_education:20200429153723j:plain

 おかげさまで、多くの方にお読みいただき、FacebookTwitterなどで感想を書いていただいている方も多く、大変うれしかったです。「読書感想文大会をしましょう!」という呼びかけに、全部で13件の回答をいただきました。本当にありがとうございます。そのまま全文、掲載させていただきます。

『学校アップデート』を読んでの感想を教えて下さい。

 読後の感想の次に、「『学校アップデート』を読んで、あなたが必要だと考えた「学校アップデート」を教えて下さい」という設問をしました。お読みいただいた方々に、学校アップデートを自分ごととして考えていただき、できることは何かを探してもらいたかったからです。また、そうして出てきたありえる「学校アップデート」を仕事として手伝っていきたい、というのももちろんありました。

  • 自分も含め、先生方一人一人のテクノロジーへの味方・考え方をアップデートすることがまず必要だと考えました。ZoomやGoogle classroom、フォーム入力、一人一アカウント、クラウドバイデフォルトなどのテクノロジーに「ネットは心配」「情報漏えいがあるから」「よくわからないものはやめたほうがいい」などのような見方・考え方ではなく、「リスクの対処を学び、上手に使うからこそテクノロジーの恩恵を学校に受けることができる」という見方・考え方へ変えていけることが大切だと思います。(塩谷直大@北海道斜里町立斜里小学校)
  • まずは教職員の意識のアップデートが必要だと思います。(齋藤純@仙台市立広瀬中学校)
  • 学校の情報機器をアップデートしてほしい、と思うことはたくさんある。しかし、それ以上にそのお金を使って、もう1人教員がいたならばどれだけ、助かるだろうと同時に思うことがしばしばある。
    子どもに対して、本当は教員の数がいたほうが、効果的な教育を行うことが出来るのかも知れない。そのような凝り固まっている思考をほぐし、アップデートしていく必要があるのではないかと思う。
    特に、特別支援を必要としている子どもたちに対する、教員や指導員、支援員の数は圧倒的に足りていない。あと1人自分がいればどれだけ、子どもたちの力を伸ばすことができ、自信をつけてあげることができるだろうかと、悩む日々である。
    情報機器のアップデートだけにとらわれず、本当に子どもたちのために使うべきお金はどこなのかじっくり見つめ直してほしいと思う。(あさこん@特支学級担任)
  • 教師のマインドセットのアップデートが最も大切。
    タブレットはあるけれど使いにくい、使い方がわからない、黒板に書いた方が早い、タブレットを渡したら子供が遊ぶ…ではなくて、「まずはやってみよう」「パソコン・タブレットを教えるときだけに出てくる特別な教具として見るのではなく、とにかく子どもに触らせてみよう」という考え方の転換こそ「学校アップデート」の始まりだと思う。(藪田顕嗣@瀬戸SOLAN小学校)
  • アップデートが必要なのは、学校というモノをとりまくもの全てだ。
    ICTは手段の一つ。だが、それがある前提で物事を考える必要がある。ある意味、これまでの経験以上に、これから何を学んでいくかが問われる時代になりそうだ。(井上拓也@公立小学校教諭)
  • 先生方や保護者、地域の皆様とこれからの学校が目指す方向のイメージを共有することが大切ではないかと思います。子供たちの未来の姿を一緒に見ることができるようにしたいと思います。(遠藤 浩志@仙台市 八乙女小)
  • 学校というより、教育委員会の問題が大きい、教育委員会という制度のために学校の管理が非常に大所帯である。
    委員会は転ばぬ先の杖ばかりで決定が非常に遅い、また、根拠のためか、教員を縛り付けるためか意味のわからない報告文書などもこと時期たくさんある。
    こんな制度をなんとかしないと学校だけであわるなんて無理って思ってしまう。
    コロナの関係で指導主事が作った学習プリントも散々で、それを学校のPCで開けようとしたら形が再現不能なぐらいに崩れて、知り合いの指導主事に言ったら、「そんな学校が何件かあるから、学校長を通して学校指導課に連絡を入れてください」って返答、そんな学校が何件あるのを知ってるならすぐにPDFで送ってほしい。
    とにかく、こんな教育委員会制度をかい潜り学校を、変えられる糸口を探りたい。(木村明憲
  • 記載のあったクラウド化やICT支援員の整備が必要ですが、それに加えて昔のような学校がもっと地域との繋がりを復活させることが必要かと思います。学校ありきの地域という考えがあれば、先生方と町内会との連動ができるようになれば、より先生方は本来の仕事に専念できると思います。今あるものと今あるものを組み合わせて、新しい付加価値を生み出せると考えています。(末永幸@テクノ・マインド)
  • 教師の意識:「勉強」という言葉への記述もありましたが,何かを「我慢することから始まる」的な考えは変えなければと思います。そして「先に生まれたから教えることができる存在」ではなく,「共に学ぶ」「学ぶ姿勢を見せる」存在になること。(岩城豊@中山町立長崎小学校)
  • 先生方の意識改革が必要と感じています。先生方の自主性に任せる時間も大切ですが、せっかくの在宅勤務の時間を生かして、Zoomなどを活用して、研修をしていこうと考えています。今、必要感があるので、研修をする意味があると思います。先生方の意識が高まれば、すぐに変わると思います。(小路健太郎@千葉県公立小学校教員)
  • オンライン学習未経験者が多いので、一度オンラインのやり取りを職員全員が経験する。(矢崎ひさ@栗原市栗駒中学校)
  • 個人的には「育てたい力のアップデート」という項目が印象的です。1人一台=社会に合わせて…という文脈で語られがちですが、そもそも社会に役立つ人間を育てることが教育の目的ではない、という思いもあります。だからこそ、育てたい力とは何か?を考える必要性があります。そうすると、学校で教えるべきことや経験させることに時間を割きたいのなら、そもそも教員の雑務がICTにより効率化される必要があるのです。そうすると自動的に学び方も、ICTされる必要が出てくる、というのが私の考えるアップデートです。個別最適化を「組み合わせる」と書いてくださったのはありがたいです。こちらが本当のICT化のゴールではないと感じていたので。
    育てたい力については抽象化しすぎないレベルで、各学校がはっきりと打ち出しあいたいですね。結局、文科省の言ってることもわかりづらいし、学校の言ってることもわかりづらい、独特の表現が教育業界にはあります。環境整備も大切ですが、こういう幹がしっかりしていないと、宝の持ち腐れにもなると感じました。(KT)

 お忙しい中、感想をお寄せいただきました皆様、本当にありがとうございました。ICTはあくまで道具なので、「どう使うか」の方が重要なのです。ただハードウェアがアップデートされるだけにならないよう、どういったことができるのかを考えて活動していきたいと思います。


(為田)