静岡県立掛川西高等学校が総合的な探究の時間で行った、医療従事者を応援する動画を投影するプロジェクトをレポートしています。
生徒たちは、医療従事者を応援するプロジェクションマッピングを実施するために、「どのような内容のメッセージを、どのような方法で集めるのか」「集めたメッセージをどこに投影をするのか」を考えていくことになります。
メッセージをどう集めるか
2年生全体に、応援メッセージを寄せてもらうよう呼びかけるために、医療センターのコロナ患者受け入れの状況がいかに大変なのかを、副市長からの緊急メッセージ動画で配信しました。Zoomで撮影・編集した、6分間の短いメッセージでしたが、副市長からクルーズ船の患者を受け入れてから、コロナ患者受け入れの地域の拠点になっていること、病院がまるで災害時のような緊迫感と疲労感であること、などのお話をいただきました。
応援メッセージをどうやって集めるかについては、生徒たちはSNS上でミーティングをしました。
デジタルで集めるか、紙で集めるか。イラストにするか文字にするか。生徒たちは、「作業のしやすさは圧倒的にデジタルだよね」「でも紙で書いた方が温かみがある」「紙をデータで取り込んで見えるの?」「日本史の授業で、振り返りシートを紙で書き、写真にとってクラスルームで送っているけど、十分に見えるよ」などと、それぞれのメディアの特性を考えたディスカッションが行われたそうです。
結果、3つの方法が推奨され、臨時休業中の5月8日の「総合的な探究の時間」(掛川西高校ではCT(CREATIVE TIME)と呼んでいます)に、Googleクラスルームを通じて、2年生全員に配信されました。
- 手書きのメッセージ・イラストを描く
- 一人ひとりの思いを伝えるためにも、電子的なものより手書きや色がついたもの。絵などが好ましい。
- 自分でデータ化できる人は、データ化してGoogleクラスルームの課題に添付して提出
- 次の登校日に担任の先生に提出
- デジタルデータでメッセージ・イラストを描く
- Googleクラスルームの課題に添付して提出
- テキストでメッセージだけ書く
- 共同編集できるGoogleドキュメントを用意し、そこに各自で入力する。
この呼びかけに対して多くの生徒が、デジタルのイラストを返信したり、テキストの共同編集でコメントを入力していったそうです。
短い募集期間だったにもかかわらず、多くの2年生や教員がメッセージを提出してくれました。
動画を投影する場所探し
教員が市役所の職員、協力してくださる地域の方数人と、投影場所の候補地を下見し、生徒とGoogleEarthで地図などを共有していたそうです。
医療センターの方や市役所の方にも確認をしてもらいながら、映像を投影する場所を探していきましたが、最終的には、病院東側の救急の入り口に映像を投影することになりました。
投影する映像の準備
映像する場所が決まったところで、掛川西高校は登校日における中間テストに入りました。掛川西高校は休校中も通常の時間割通りに授業動画を用いた自宅学習がオンラインで進んでいたので、中間テストも予定通りに行えました。
中間テストの最終日に、メンバーが最終のイメージ調整をしました。掛川西高校のパソコン部の生徒たちは、これまでにもプロジェクションマッピングを作ってきていますが、今回は医療従事者を励ます応援メッセージなので、派手さよりも、メッセージがきちんと伝わることを重視したものにしたそうです。途中、市役所の方々とのミーティングもZoomで行っていたそうです。
最後に、校長先生に最終プレゼンを行って、OKをもらい、いよいよあとは試写と本番を待つばかりとなりました。
まとめ
メッセージを集めるところでも、方法を3つ用意してあるところが素晴らしいと思います。GoogleクラスルームやGoogleドキュメントなど、クラウドサービスを活用することで、学年全体でプロジェクトに取り組んでいるところが素晴らしいと思います。
また、市役所の方々とのオンラインミーティングも普通に行っていた、というのは、この時期のリモートワークに取り組んでいた社会全体との一致を感じます。学校と社会とができるだけ同じ状況にあることは、学びの場として望ましいのではないかと、僕は個人的に思っています。
No.3に続きます。
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(為田)