教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『新プロパガンダ論』

 辻田真佐憲さん・西田亮介さんの『新プロパガンダ論』を読みました。SNSをはじめとするさまざまなメディアによって、得られる情報は本当に膨大になりました。そのなかで、情報をどう得るか、情報をどう選別するか、情報をどう発信するか、またそのためのツールとしてのデジタルについて、さまざまな事例を知っておきたいと思ったからです。

 「プロパガンダ」という言葉がちょっときつく感じる人もいるかもしれませんが、最近の日本でのさまざまなネット上での活動(マーケティング的なものや、キャンペーン的なものなども含めて)を知ることができてよかったです。
 辻田さんが書かれている、以下の部分はとても同意できるものでした。

辻田さん ようするに、プロパガンダについて知るということは、政治と情報が複雑に絡まり合うこの時代にあって、極端に流れず、感情に踊らされず、バランスよく行きていくための訓練にもなるということなのです。読者のみなさんにはぜひ、ネットなどで問題になっている作品にたいして「これはプロパガンダだ!」とレッテルを貼って済ますのではなく、「これはどうか」「あれはどうか」と考えてみる習慣をもっていただきたいと思います。そしておそらくそのような構えこそが、プロパガンダにたいするもっとも有効なワクチンとなるのではないでしょうか。(p.226

 また、西田さんが「あとがき」で書かれていることも、危機感を感じるものでした。

本文中でも述べたように、最近のインターネット、SNS上のコミュニケーションにおけるテキスト離れ(「非テキスト化」)の進行、現実政治と歴史に基づかない主権者教育の導入、取材網と人材育成をはじめとするノウハウを独占してきた新聞のメディアとしての弱体化、それと並行する情報収集手段としてのネットやSNSの存在感の向上などは、総じてイメージ政治を後押ししている。(p.232)

 直接、子どもたちが知る必要がないものもあるかもしれません。ただ、選挙権が引き下げられて、主権者教育の必要性なども考えるときに、こうした視点も必要なのではないかと思いました。授業などのなかに、どのように入れられそうか、考えてみたいと思います。

(為田)