2021年6月23日に戸田市立新曽小学校を訪問し、小林湧 先生が担当される6年2組の道徳の授業を参観させていただきました。この授業では、一人1台もっているChromebookをどのように使うかというルールメイキングをみんなでしていました。
授業の最初には、道徳の教科書にある千代田区のポイ捨て禁止条例を題材にした「マナーからルールへ、そしてマナーへ」をみんなで読みました。ポイ捨て禁止条例がきれいな街づくりを目指して制定されたこと、成果として路上の吸い殻の本数が減ったこと、あわせて火事も減少したこと、罰則として2000円の過料があることなどを学びました。
(参考:千代田区ホームページ - 千代田区生活環境条例のあらまし)
小林先生は、「マナーからルールへ、そしてマナーへ」を子どもたちと一緒に読んだ後に、きれいな街づくりを目指したポイ捨て禁止条例の話と関連づけて「Chromebookは何をするために持つのだろう?」と小林先生が訊くと、子どもたちからは、「勉強するもの」「覚えるもの」と次々に意見が出てきます。GIGAスクール構想で配備された一人1台の情報端末(新曽小学校ではChromebook)が、そもそも「何のためのものなのか」を子どもたちと先生が一緒に考えることは非常に重要だと思います。
ある子は「タイピングを速くするためのもの」と言います。すると小林先生は「速くなったらどうなるの?」と問いを重ねます。「課題が早く終わりそう」「手書きよりも速くなる」「字が雑だ、と言われなくなるかも」という声も出ていました。字が汚いから文章を書きたくない、という子には、たしかにChromebookによってできること(やろうとすること)を増やしてくれると思います。
また、「Scratchができるようになる」と答えた子もいました。小林先生が「Scratchができるようになるとどうなるの?」と問いを重ねると、「ゲームが作れる」「プログラマになれる」「みんなを楽しませられる」「みんなが楽しめる」という声が挙がっていました。
Chromebookを何のために使うのか、ということをこうしてクラスで考えて言語化することは大切なことだと思います。言語化された「何のために使うのか」があってはじめて、「これはいい使い方」「これは悪い使い方」というルールやマナーに繋げられると思いました。
ここで、子どもたちはグループに分かれて、前の授業から続けている、「どんなことができればいいのか」を3つのレベルそれぞれに書いていく作業に入りました。教室の活動しやすいところでグループを作ってChromebookに向き合っていました。
3つのレベルは、「レベル1:3~4年生」「レベル2:5~6年生」「レベル3:それ以上」という設定になっています。レベル2であれば、6年生の最後にどうなっていたいか?ということを考えるようになっています。
新曽小学校では、ChromebookでGoogleクラスルーム、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、ミライシード、ロイロノート・スクール、Scratchなど、さまざまなツールを使っているので、それぞれのツールによって、それぞれのレベルで何ができればいいか分担して考え、スキルを書き出していきました。
それぞれのグループで少しずつ書いていることは違うのですが、見せてもらったのをまとめると以下のような感じで進んでいました。
- Googleドキュメント
- レベル1:文字書く
- レベル2:ドキュメントを作る
- レベル3:イラストなどをつける、グラフを導入できる!
- Googleスライド
- レベル1:テキストに文字を打ち込む、文字の大きさを変えられる、画像を保存する
- レベル2:画像をスライドに出し、アニメーションをつける
- レベル3:すべての機能を入れ込んだスライドを完成させる
- Googleサイト
- レベル1:元のやつを少し変える
- レベル2:レイアウトとか変える
- レベル3:自分で1から作る
それぞれのレベルにたくさんのスキルが書き出されていきます。グループによって違うことを書いてあるケースもあるので、それをまとめていくと、それぞれのレベルで「できるようになっていてほしいスキル」集が完成しそうです。
小林先生は、「自分でできることだけで考えない、できないこともやってみたり、調べたり、人に訊いたりしながら書いてね」と言っていました。自分のスキルを書き出すだけでなく、レベル1の子たち(3年生~4年生)だったらどれくらい使えたらいいだろうか、と6年生が考えるのは、他者のことを考えるいい機会になると思いました。
スプレッドシートにスキルを書いているグループが多かったですが、他のツールを使うことも認められていましたので、みんなそれぞれに自分が思考し、表現するのに適したツールを使っていたように思います。
グループでのディスカッションも、Googleクラスルームでコメントをしあう形と、集まって話し合う形と、両方が行われていました。授業の最後のふりかえりでは、子どもたちから「これだったら話した方が速い」というコメントも出ていました。こうして使ってみて、デジタルを使うべきなのか使わなくてもいいのか、を自分で選べるようになることが重要だと思います。
まだ引き続き、6年2組のルールメイキングは続いていきます。
No.2へ続きます。
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(為田)