教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

令和2年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果

 文部科学省のサイトで、令和2年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果が公表されました。毎年注目してきていましたが、GIGAスクール構想による小中学校への一人1台の情報端末の配備前倒しにより、劇的に数字が変化しています。

 以下の2つのデータをいつも関心をもって見ています。

令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)

 都道府県別 学校における主なICT環境の整備状況の中から、「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」です。まずは、昨年度の数字をおさらいしておきましょう。昨年度は4.9人/台でした。490人の学校にコンピュータが100台あった、ということですよね。
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 ここから、令和2年度の数字は、1.4人/台となりました。下の図の水色の部分が増加分になりますので、劇的に数字が伸びている様子がわかります。
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 さらに校種別に整備状況を「学校種別 学校における主なICT環境の整備状況」で見ることができます。
 校種別に見てみると、教育用コンピュータ1台当たり児童生徒数は、小学校で1.3人/台(昨年度は5.5人/台)、中学校で1.2人/台(昨年度は4.8人/台)、義務教育学校では1.0人/台、高校で2.5人/台(昨年度は4.1人/台)となっています。まずは小学校・中学校での配備が進められている状況ですが、中学校を卒業した生徒がどんどん高校へ上がっていくことを考えても、また思考・表現のツールとしてICTを使っていくことを考えれば、高校での配備がもっともっと進められればいいなと思っています。
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 数字として平均で1.4人/台となりましたが、大事なのは「実際に授業のなかでどのような道具として使われているか」だと思います。一人1台あるけれど、「先生がいいといったときだけ使います」という学校ももちろんあります。
 このあたりは、全体の統計を見るよりも、それぞれの自治体やそれぞれの学校においてどのように使っているのかということを現場で見てみることをしないとわからないな、と感じます。

市区町村(設置者)別 学校における主なICT環境の整備状況(全学校種)(1)【速報値】

 「市区町村(設置者)別 学校における主なICT環境の整備状況(全学校種)(1)」の方では、ICT環境整備を市区町村別で見ることができます。
 「①教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」を見てみると、設置者別に児童生徒数と人/台のデータがランキングで並んでいます。100%の自治体が増えたなと思います。この配備されたコンピュータを、「お金をかけてよかったね」「子どもたちの学びが変わったね」と地域の皆さんに思ってもらえるようにしていき、学校のチャレンジが応援されるようにすることが、僕たちの仕事だな、と感じています。
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まとめ

 こうしたデータ上の数字だけでは、実際にどのようにICTを授業で活用しているのか、などに関しては見えないので、この数字に縛られるのは意味がないのですが、ICTを配備して授業力や児童生徒のICT活用を上手に行っている自治体や学校の様子を見ていくことが大事だと思います。
 また、コンピュータだけでなく、コンピュータで動かすシステムやコンテンツなどにも適正に予算をつけてきちんと使えるようにすることが重要です。
 一人1台の端末整備はゴールではなく、スタートです。整備された端末をどう使って、子どもたちの学びを変えていくのかを考え、うまくいっている方法論、予算をつけて横に展開する動きを民間の立場から支援していきたいと思います。

(為田)