教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』

 千葉雅也・山内朋樹・読書猿・瀬下翔太『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』を読みました。4人がそれぞれに、「書けない」という悩みについて「自分の場合は…」と語り、どう諦めたかとか、どういうツールを使ってはやめ、自分の書く作業にあった作業を作っていったか、ということが書かれています。人それぞれ「書けない」という悩みは違うけれども、だからこそ「とにかく書いていく」ということのノウハウをたくさん学べるように思いました。

 この本のなかでは、さまざまなデジタルツールが紹介されています。まずはいろいろなツールを使ってみることが重要だと思います。僕自身も使ったことがあったのは、Evernote、Notion、Googleドキュメントあたりですが、使い方はやはり違っています。

時系列で情報を羅列して授業レポートを書く

 僕は授業のレポートを書くときなどは、iPad Proだけをもって教室へ行きます。まず、とにかくNotabilityでメモを手書きでとっていきます。それから、なるべく授業の様子を思い出せるように写真をたくさん撮ります。この両方を、ツールを持ち替えることなくやりたいために、iPad Proを使っています。
 たとえば、9月3日に授業参観をさせていただいた、横浜市立鴨居中学校で書いたメモの冒頭部分です。とにかく、実際に使うかどうかは別として、どんどん書いていきます。特に、子どもたちのつぶやきや先生の発問を具体的に書きたいと思っているので、そうしたことを書き殴っておきます。
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 その後で、Googleドキュメントにこの手書きのメモをタイピングですべて入力して、そこに時系列に使えそうな写真を全部入れていき、メモと写真の両方を見ながら、つらつらと文章を書いていきます。この時点では表現は別に整えたりせず、まずは最大限増やしていきます。
 写真とメモを同じGoogleドキュメントに全部並べ終わったら、そこからはGoogleドキュメントで何度も読み返して、印刷して赤入れして直して、という形で推敲を進めていきます。

構成を考えて書くためにアウトライナーを使う

 最近は雑誌や書籍などへの寄稿をさせていただくことも多いのですが、このときには授業レポートの書き方とは全然違うように思います。「書きたいことをきちんと構成して書く」ことを意識しています。そうすると、授業レポートのときのように時系列でどんどん書いていく方法はあまりむいていなくて、この本で紹介もされていた、アウトラインを作っていく=アウトライナー ツール、Workflowyを導入しています。
workflowy.com

 最初に箇条書きでどんどん書きたいことを挙げていき、順番を入れ替えて、それぞれの項目で説明したい要素とかエピソードをインデントして入れ子構造をどんどん作っていきます。そうしてアウトラインができたら文章を書いていく、という方法を導入しています。
 これは使ってみないとわからない何かがあるような気がしてきています。全体の構成を見ながらどんどん文章を書いていくことができるのは、とてもいいと思います。どんどん箇条書きをしていくこと、間に挿入していくこと、インデントで入れ子構造を作って論理を整理すること、順番を変えて構成を練ることが簡単にできます。また、文章をたたむこともできるので、全体構造を見失わなくていいのもいいと思います。GoogleドキュメントでもWordでも同様のことはできるのですが、アウトライン作りに集中して取り組むことができるのはいいな、と思っています。

 使ってみて快調だったので、しばらくたってからPro版へアップグレードもしました。
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まとめ

 「文章を書く」ということについては、僕はデジタルツールがなければ全然ダメだと思っています。デジタルによって「書かせてもらっている」部分がすごく大きいと思うのです。だからこそ、「どのツールを使うか」「どのツールが自分にはあっているか」ということはこれからも追い求めていく必要があるな、と思っています。
 こうした「どのツールが自分にあっているかな」というのを、学校の授業のなでももっとできればいいな、と思っています。アウトライナー的な考え方をシンキングツールを使って実践することで、作文を好きになる子もいるのではないかな、と思っています。そうした実践なども、機会があれば参観させていただいて、レポートしていきたいな、と思いました。

 たくさんの執筆をしてきた、『ライティングの哲学』の著者4人でさえ、こんなに悩み、ツールをいろいろ使いながらやっているのですから、時間をとってしっかりやっていく必要があるのだろうな、と思います。

(為田)