よしながふみ さんの『大奥』が第42回日本SF大賞に選ばれました。何度も何度も読み直している、大好きな作品なのでとてもうれしいです。
natalie.mu
『大奥』は、2004年に連載が開始されて、テレビドラマ化されたタイミングで少しだけ見て、原作を読んでいなかったので、「男子だけがかかる謎の疫病 赤面疱瘡が国中に蔓延し、男子の数が激減した江戸時代の大奥を舞台にした話」というところで僕は理解が止まっていました。
昨年、2020年に最終巻が発売されたタイミングで、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」のポッドキャストで、出演者の皆さんの好きが溢れた『大奥』解説がされて、そこからKindleで全巻集めて一気に読みました。ぜひ、テレビドラマのイメージが強い人は、以下のコンテンツを聴いてみてほしいと思います。
赤面疱瘡の話だけじゃないんです。赤面疱瘡、ちゃんと克服するんです。そのうえで、その先にまだ歴史が進んでいって、ちゃんとペリーも来るし、公武合体も進められるし、大政奉還も行われます。幕府の終わりのところは本当に、「和宮様…」と涙しながら読みました。幕末はいろんな作品で読んでいて、エピソードや史実をある程度知っているからこそ、「あ、そう来たか…」というポイントがたくさんあります。男女逆転している世界で、裏返しになるところと、史実のとおりになるところと、本当にストーリーが見事にマッチしていくのです。
また、読みながら「『大奥』でこうやって描かれているってことは…?」と実際の歴史を当たることもたくさんしました。平賀源内の描かれ方とか。大奥での権力闘争などについては、たくさん調べました。『大奥』を読んだことがきっかけで、歴史に興味をもつ人も出るかもしれないと思いました。
高校生たちと一緒に『大奥』を読んでみて、「どう?」と話し合いたいけれど、ちょっと学校でみんなで読むにはいろいろ難しいかな…?と思う描写などもあります。図書室に置いておける範囲の作品なのかな…。図書室にあって、この本を必要とする人に届けばいいな、と思います。
…ということで、日本SF大賞受賞やったー!というエントリーでした。『大奥』をお好きな方、お声掛けください。好きなシーンとか、語り合いましょう。
(為田)